「ぼくらが貯金できないのは、遺伝子が原因なんじゃないか?」みたいな話がありまして。興味深かったので、今日はこの話を共有します。
ぼくらが貯金できないのは「遺伝子」のせいだった!?
古人類学者のダニエル・リーバーマンによれば(1)、人類にはおよそ600万年の歴史があります。このうちの大部分をぼくら人類は、「狩猟生活」をすることで生活してきました。そして、人類が「狩猟生活」に別れをつげ、「農耕生活」を始めるようになったのは、およそ2万年前のこと。いまのように文化的な生活をはじめたのは、ごくごく最近になってからなのです。
ここで疑問となるのが、「ぼくらの遺伝子は、狩猟生活に合わせて進化してきたのか?」それとも「農耕生活に合わせて進化してきたのか?」という点です。
ぼくらの脳みそは、狩猟生活をしていたころから進化をしていません。ですから、ぼくらは「狩猟生活に適した生き物として進化してきた」のであって、「農耕生活に適した生き物として進化してきたわけではない」と言えるでしょう。
遺伝子には「貯金」という感覚がない
なぜ、狩猟生活やら農耕生活の話をしたのか? というと、これこそ、ぼくら人間が「貯金が下手くそ」な原因だと考えられるからです。狩猟生活をしていたころの民族には、未来の感覚がありませんでした(2)。つまり、「将来のために何かを蓄えよう!」という発想が無かったのです。現に、なにも教育をされていない子どもに「そのお菓子は明日のために取っておきなさい!」と言っても、大半の子は言うことを聞かないでしょう。
「貯金行動」は「未来志向」と関連があるという研究(3)がいくつか行われています。ぼくらは農耕生活を始めてから、初めて「未来」という概念を知りました。そこから、はじめて「貯蓄」という行動を起こすようになったと考えられるでしょう。
ぼくらの遺伝子はあくまで「狩猟生活」に合わせてプログラムされています。だから、後天的に生まれた「貯金」という概念は、理解できないのです。もともと貯金は本能と逆行する行動なのです。
だから、「なかなか貯金ができないんだよね」とか、「つい散財しちゃう……」とか、なかなか貯金ができないという方は、生物学的な観点から言えば、「人間らしい」生き方をしていると言えるでしょう。「自分で計画を立てて、コツコツお金を貯めよう!」とすること自体が、かなり高度な行為であることには、違いないでしょう。
貯金をするには、どうすればよいのか?
とはいえ、「じゃあ、遺伝子のおもむくままに、散財して生きましょう!」という話をしたい訳ではなくて、今は狩猟生活時代ではありませんので、貯金のスキルは必要です。だから、上手に貯金するコツを身につけるとよいでしょう。ぼくらの遺伝子は「貯金向きではない」ので、「努力!」とか、「根性!」とか、そういった感情論で処理するのはよろしくありません。きっと、そのような計画を立てたところで、計画倒れとなるのがオチでしょう。
そこで、ぼく個人としては、「根性だけでは上手くいかないからこそ、『勝手にお金が貯まる仕組み』を作りましょう!」と言いたいところ。
すでに、科学的に有効な貯金テクニックはいくつか公開されています。これらの手法を組み合わせるだけでも、そこそこ貯金できるようになるでしょう。中でも効果的なのは、「iDeCoを使った積み立て投資」です。
まとめ
世間では「貯金はできて当たり前のもの」「貯金ができない人は頭が悪い」なんて偏見を持っている人もいるでしょう。でも、実際のところ、人間は本能的に貯金ができない生き物なんですよね。いま貯金ができない方も、それほど自分を悲観視する必要はありません。なんといっても「ぼくらはもともと貯金ができない生き物」なのです。練習をしなければ、自転車に乗れないのと同じで、貯金も練習して初めてできるようになるのです。
この記事をきっかけに、「貯金は技術だ!」ということを念頭に、いろんな方法を試し、貯金の練習を始めてみてはいかがでしょうか?
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【参考文献】
- 書籍:ダニエル・リーバーマン, 2015, 『人体600万年史:科学が明かす進化・健康・疾病』, 早川書房
- 書籍:ジョン・ムビティ, 1970,『アフリカの宗教と哲学』, 法政大学出版局
- 動画:キース・チェン, 2012, 『言語が貯蓄能力に与える影響』, TED