お金の悩みを解決!マネープランクリニック/病気、ケガ、心の病等がある方のお金悩み相談

41歳貯金100万円。産後うつで10年間療養、夫は家計には無関心(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、産後にうつを経験し、10年もの間、療養していた41歳の主婦の方。そのため貯蓄が少なく、夫は家計への知識、関心がないため、教育資金や老後資金の備えが心配とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 長く働き、老後資金をなるべく減らさない

10年間もの自宅療養後、いろいろご苦労があったはずですが、よく復帰されたと思います。社会復帰できたという点でも、毎月10万円の収入を得ている点でも、将来に向けて大きなプラスとなっています。
 
さて、今後のマネープランですが、まず優先すべきはやはり教育資金となります。現在の貯蓄、投資ペースが月10万円、ボーナスからは生活費の補てんなどでほぼ貯蓄に回らないとすると年間120万円、定年まで19年間で2280万円。これに、今ある貯蓄、投資、さらにお子さんの学資保険の満期金を加算すると、計2530万円となります。
 
ただし、途中で学資保険の保険料の支払いがなくなりますし、カードローン、自動車ローンも完済するでしょう。お子さんが独立すれば、食費などの生活コストも下がります。また、便宜上、かかる教育費をあとでまとめて差し引きますから、現状で支出費目となっている教育費2万6500円はここで貯蓄に回ることにします。それらを考慮すると、先の貯蓄額にさらに1500万円程度は加算できます。結果、60歳までに貯められる資金は約4000万円となります。
 
対して、お子さん2人の今後かかる教育費を計1500万円とすれば、残りは約2500万円。また、まとまった支出としては定年までにクルマの買い替えが発生しそうです。2台分を2回ずつ、計300万~500万円をさらに差し引いて2000万~2200万円。これに退職金を加えた金額が老後資金となります。
 
これで老後の生活費として十分かどうかは、まだ不確定要素も多く、判断はできません。ただ、仮に公的年金だけによる生活費の不足額が平均して月3万円とすれば、65歳から90歳までの25年間で900万円。これを老後資金から捻出することになります。月5万円不足なら1500万円。これに病気や介護、住宅の修繕・リフォーム費用、さらに長生きリスクを考慮して予備費1000万円必要とした場合、先の金額で足りるかどうかということが、老後資金のひとつの目安になります。
また、これには60~65歳の生活費が加味されていませんので、この間も働いて、できるだけ準備した老後資金を減らさないということが重要なポイントになることは言うまでもありません。
 

アドバイス2 住宅ローンは繰上返済で返済期間の短縮を

それを踏まえて、今できる備えとしては、家計を見直し、貯蓄ペースを上げることということになります。家計支出では食費の月10万円が目立ちますが、そこは本人も言われるように「仕方がない」と割り切るなら、他を削る必要になります。雑費、通信費、あるいはボーナスからも貯蓄ができるよう工夫してみてください。また、保険についてはご主人加入の医療保険と共済、どちらか解約してもいいと思います。
 
もうひとつ、収入アップも大きな効果があります。めるさん自身、今後フルタイムで勤務する可能性があるとのこと。もちろん健康が最優先ですが、それが可能なら当然、老後資金はさらに多く備えることができます。その意味で、ご主人にも言えますが、より長く元気に働けるよう、普段から健康に気を配ることが大切になってきます。
 

アドバイス3 相続で得た不動産は売却が望ましい

住宅ローンは完済が71歳。これもできれば、繰上返済で早めに完済したいところ。ちなみに金利が変わらないとして、 60歳の時点で500万円を繰上返済(期間短縮型)すると、返済期間は6年8カ月短縮され、支払利息は約35万円軽減されます。また、この時点で一括返済するなら、約840万円が必要となります。教育費がかかる時期に無理に繰上返済することは避けるべきですが、手数料が発生しないなら、早い時期から少額をこまめに返済していくのもひとつの方法です。
 
また、今後の家計で気をつけたいのは、安易にローンを組まないこと。住宅ローンを抱えている間は新たにローンを増やすのは、家計的に見てリスクとなります。ローンを組まないことで、結果的に無理な支出を防ぐという効果もあります。
 
最後に、ご主人が相続される住宅ですが、個人的には売却して現金を持っておく方がいいと考えます。賃料は継続的な収入が入り、資産として手元に残りますが、人に貸すことでの手間や管理が発生します、またどの程度賃料を得られるかは不透明です。お子さんに遺したいという強い思いがなければ、できるだけ早めに手放すことで、より確実でストレスのない資金確保につなげるべきでしょう。
 

相談者「める」さんより寄せられた感想

何度も読ませて頂きました。とても不安で、何が不安かわからなくなっていましたのでアドバイスの通り長く実行してみたい!と前向きになりました。ボーナスを25万貯蓄に回せるようなので 今回から始めます。長生きが怖くて仕方ないのでとても救われました。ありがとうございます!

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武



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