上智大学が、面白い研究(1)を行っていたのを見つけました。これはマネー誌アンケート調査を利用した調査結果なのですが、「長期分散投資」をしている読者と、「短期集中投資」をしている読者の、運用成績やメンタルの傾向を調べたものです。
 
研究の結果分かったのは、長期分散投資は良いことずくめだということでした。具体的には、長期分散投資は短期集中投資と比べて、下記の点において優れている可能性が示唆されました。
 
  • 長期分散投資は、投資家間での運用成績のムラが少ない
  • 長期分散投資は、ストレスや不安が少なく満足感が高い
  • 長期分散投資は、資産形成が上手くいきやすい
 
もともと長期投資が大好きなぼくにとっては、嬉しい結果のオンパレードでした。しかも、長期分散投資はやることも少なく、ほぼ時間をかけずに実践することができます(詳しくは、インデックス投資について紹介した記事があるので、そちらをご参照下さい)
 
要するに、「長期分散投資は手間がかからずラクな上に、個人差が少ないし、不安も小さく、資産形成まで上手くいってしまう!」という、サイコーな運用術だと言えそうです。
 
では、なぜ長期分散投資が上手くいくのでしょうか? これには、それぞれ理由があります。
 

なぜ、長期投資が上手くいくのか? 

長期投資が上手くいく最も大きな理由としては、「コストが安く済む!」という点が挙げられます。それこそ、デイトレードなどの短期取引は、利益につながりにくいことが分かっています。
 
「コストを沢山払っている人は投資で勝てない!」ということは、金融誌「ジャーナル・オブ・ファイナンス」に掲載された論文(2)でも明らかにされています。この論文によれば、「ひんぱんに取引している人ほど利益を出せていない!」のだとか。
 
取引をひんぱんに行うということは、そのぶん多くのコストがかかるということです。コストには取引手数料や金利、そして税金などがあります。ひんぱんに取引する人は、長期で投資をする人よりもコスト面で不利になるので、利益を出しにくいのだと言えるでしょう。
 

なぜ、分散投資が上手くいくのか? 

分散投資が上手くいくのには、いくつか理由が考えられます。まずは、経済学的な理由です。ノーベル賞を受賞した経済学者ハリー・マーコウィッツによれば、「マーケット・ポートフォリオ」(全てのリスク資産の時価総額に連動するポートフォリオ)がベストな資産構成なのだとか。要するに、「分散投資をすればするほど、リスク・リターンのバランスが改善される!」ということですね。
 
分散投資の有効性については、著名人も認めています。プリンストン大学の名誉教授であるバートン・マルキールは、論文(3)の中で「幅広い銘柄に分散している投資信託を選ぼう!」と言及しています。
 
また、分散投資は運用成績以外の面でも寄与している可能性が考えられます。分散投資では、失敗をしても、その影響が小さく抑えられます。これにより、集中投資をする場合と比べて、ストレスや不安が生じづらく、安心感をもって資産運用に臨めると期待できるでしょう。
 

まとめ 

話をまとめると「長期投資をすることで、コストがかからずに利益を出しやすくなるよ!」「分散投資をすることで、リスクを抑えられる上、メンタルへの悪影響も抑える効果が期待できるよ!」と言えるでしょう。
 
「資産運用のせいでストレス障害になっちゃいました」なんていう人がたまに居るようですが、これはおかしな話で。そもそも資産運用は幸せになるためにやることなので、それ自体のせいで体調を崩してしまえば、元も子もない訳です。
 
それに、「不幸は経済的にも良くない!」ってことも分かっています。だから、資産運用で失敗したくない方は、長期分散投資をベースにして、資産形成を考えた方がよさそうですね。
 
 
●参考文献
 
  1. 論文:川西諭, 田村輝之, 功刀祐之, 2012, "長期分散投資vs短期集中投資 日経マネー誌アンケートから見えるネット投資家行動の実態", 行動経済学, 5, pp. 152-156
  2. 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2000, "Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors", The Journal of Finance, 55(2), pp. 773-806
  3. 論文:Burton G. Malkiel, 2005, "Reflections on the Efficient Market Hypothesis: 30 Years Later", The Financial Review, 40(1), pp. 1-9
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