いわゆる素人は、本物の資産運用を知りません。そして、これは本人のせいではなく、資産運用教育が進んでいないのが原因です。そのせいで、大事なところに労力をかけず、どうでもよいものに時間やお金を浪費しています。
 
少々厳しい言い方かもしれませんが、はっきり言って、間違った労力のかけ方をしているうちは、成果も出せません。そこで今回は、もっとも成果につながりやすい「資産運用の秘訣」をご紹介しましょう。
 

秘訣1:プラス・サム・ゲームに参加する 

「投資=仮想通貨」と勘違いしている方もいるようです。しかし、そもそも通貨は経済活動をしていません。投資と勘違いすると痛い目を見る可能性が高いでしょうから、手を出さない方がよいと思います。
 
仮想通貨や外貨取引、商品取引は、基本的には「ゼロ・サム・ゲーム」です。ゼロ・サム・ゲームとは、「全体で見て損益がゼロになるゲーム」のことを指します。これは、「食うか食われるかの世界」と表現すれば分かりやすいでしょう。
 
よって、これらの取引は、実需がある場合や、競馬や宝くじなどのギャンブルの代わりとして使うのはよいかもしれません。しかし、確実に資産を増やしたいという方には、不向きという他ありません。
 
上手に資産を運用している人は、ゼロ・サム・ゲームよりも、「プラス・サム・ゲーム」を好みます。プラス・サム・ゲームとは、「全体で見て損益がプラスになるゲーム」のことです。つまり、「全員で利益を出す!」ことも可能なゲームです。
 
プラス・サム・ゲームが期待できる資産運用といえば、基本的には「株式」や「債券」(そしてギリギリ不動産)しかないと考えておいてよいでしょう。だから、これら以外の投資商品には手を出さないことが大切です。
 

秘訣2:「売り買いする」よりも「持ち続ける」 

経済評論家の山崎元氏の言葉(1)を借りるならば、資産運用は、「売り買いする」というイメージよりも、「持ち続ける」イメージを持った方がうまくいきます。
 
最近はメディアへの露出が増えたこともあり、「資産運用=デイトレード!」といった勘違いをなさっている方も少なくありません。しかし、経済学者らの研究(2)によれば、デイトレードは平均的に見れば利益につながりにくい運用法です。だから、よほどの実力者でもない限りは、近寄らない方が賢明です。
 
上智大学の研究(3)でも、「短期売買よりも長期投資の方がうまく行きやすいのでは?」という結果が得られています。間違ったイメージにとらわれず、むしろ「資産運用=放ったらかしにしておくもの」くらいのイメージを持った方がよいと言えるでしょう。
 

秘訣3:資産配分でパフォーマンスの8割~9割が決まる

資産運用において最も重要なのは、資産配分です。Financial Analysts Journalに掲載された論文(4)によれば、「資産配分でパフォーマンスの8割~9割が決まる!」のだとか。ですから、細かい銘柄選びや、タイミングに時間を使うことよりも、「どんな資産を持とうか?」を考えることに時間を割きましょう。
 
また、資産運用で得られるお金は、よほどのお金持ちでない限りは「おまけ」くらいのものです。ですから、資産運用のことを考える以上に、「支出の見直し」や「収入の見直し」といった、家計を見直すことの方が効果があります。
 
家計を見直す具体的な手順については、過去に解説していますので、ぜひお役立てください。
 

まとめ

以上が、資産運用を成功に導く3つの秘訣です。傍から見ると、「地味!」という印象かもしれません。しかし、お金持ちは、これらの秘訣を愚直に守り、着々と資産を運用しています。怪しげな「美味しい話」にダマされることなく、投資の王道を歩みたいものですね。
 
 
●参考文献
 
  1. 書籍:山崎元, 2018, 『お金で損しないシンプルな真実』, 朝日新聞出版
  2. 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2000, "Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors", The Journal of Finance, 55(2), pp. 773-806
  3. 論文:川西諭, 田村輝之, 功刀祐之, 2012, "長期分散投資vs短期集中投資 日経マネー誌アンケートから見えるネット投資家行動の実態", 行動経済学, 5, pp. 152-156
  4. 論文:Gary P. Brinson, L. Randolph Hood, and Gilbert L. Beebower, 1986, "Determinants of Portfolio Performance", Financial Analysts Journal, 42(4), pp. 39-44
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