上智大学が興味深い研究(1)を公開しました。この論文は、日経マネー誌と研究者が共同で行ったインターネットアンケート調査を分析したものです。調査対象は、全国の1万7080名の個人投資家です。これだけ多くの投資家が参加するアンケートは珍しく、研究としても有意義だと思います。
 
研究の結果、長期的に成功している投資家とそうでない投資家の違いが明らかになりました。こんな話をすると、「投資の腕の差では?」「投資先の差では?」と思うかもしれません。たしかに、それも大きな要素です。しかし、成功している投資家には、投資先以外にも興味深い共通点が見つかったのです。
 
成功している投資家の共通点とは

成功している投資家の共通点とは

 

成功している投資家にはある共通点が……!?

この研究では、投資家を2つのタイプに分類しました。1つ目のタイプが「長期パッシブ分散」型です。もう1つのタイプが、「短期アクティブ集中」型です。
 
「長期パッシブ分散」型は長期投資がメインで、ほどほどの利益で満足し、分散投資を好む投資家です。一方、「短期アクティブ集中」型は、短期取引がメインで利益の最大化を目指し、集中投資を好みます。
 
2つのタイプを比べてみると、短期的な運用利回りはどちらのタイプも同程度でした。1年や2年といった短期的な視点では、「どちらが良いとも言えない」のが実態のようです。
 
興味深いのはここからです。長期的な運用利回りにおいては、「長期パッシブ分散」型が「短期アクティブ集中」型を上回りました。つまり、「長期投資」「分散投資」「パッシブ(市場との連動を目指す放ったらかしスタイル)」を実践する投資家の方が、上手にお金を増やしていたのです。
 
10年以上の投資家の平均では、「長期パッシブ分散」型の方が「短期アクティブ型」型と比べて、1500万円近くも多く資産形成に成功していたことが確認されました。こりゃあ、かなり大きな差ですよね。
 

なぜ、こんなにも大きな違いが?

こんなにも大きな違いが生まれた理由は、 いくつか考えられます。僕の見解では、「投資対象の違い」による影響が大きいと考えています。
 
調査によると、「短期アクティブ集中」型の投資家は、「値動きが激しく短期の売買益が狙える」銘柄を好むことが分かりました。これ、科学的には逆効果なのです。
 
投資戦略に詳しいアンドリュー・アング博士の論文(2)によると、「値動きが激しい銘柄ほど、価格が上がりにくい」傾向が確認されました。この手の論文は数多くあり、古いものでは100年以上も昔から効果が確認されています。
 
「値動きが激しい=てっとり早く儲かりそう」と感じるものです。ところが、周りの投資家も同じように考えて株を買うので、値動きが激しい株ほど割高になってしまうのだと考えられます。
 

欲張らず、じっくり、コツコツが基本

「欲張りは身を滅ぼす」という諺もあるとおり、短期取引は失敗のもとです。「早く稼ぎたい」
「早くお金を増やしたい」「早くリタイアしたい」など、こういった欲望が強まれば強まるほど、株式投資は上手くいかないということなのでしょう。
 
株式投資は人付き合いと似ています。人付き合いは、「多くを求めすぎる」と上手くいきません。株式投資もそれと同じです。「多くを求めすぎる」と、泥沼にハマってしまうのです。
 
「短期間でドカンをお金を増やしたい!」、こう考えてしまうのは人間の性なのかもしれません。ですが、投資家としては負け犬になる原因です。欲張りな考えは捨てた方が良いでしょう。
 
「じっくり、地道に、コツコツと」を心がけるだけでも、上手にお金を増やせるようになるはずです。
 
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【参考文献】
 
  1. 論文:川西諭, 田村輝之, 功刀祐之, 2012, "長期分散投資vs短期集中投資 日経マネー誌アンケートから見えるネット投資家行動の実態", 行動経済学, 5, pp. 152-156
  2. 論文:Andrew Ang, Robert J. Hodrick, Yuhang Xing, and Zioayan Zhang, 2006, "The Cross-Section of Volatility and Expected Returns", The Journal of Finance, 61(1), pp. 259-299
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