「M&Aをすると株価はどうなるのか?」を調べた興味深い論文(1)を見つけたので共有します。AFA(American Finance Association)が発行する金融論文誌「ジャーナル・オブ・ファイナンス」に公開された論文です。
 

M&Aとは?

 「そもそもM&Aって何?」という方もいると思うので、少しおさらいをします。M&A(Merger and Acquisition)は、直訳で「合併(Marger)と買収(Acquisition)」という意味です。つまり、「買収を通じた企業の合併」とイメージしてください。
 
M&Aした会社の株は買うべきか

M&Aした会社の株価は上がる?

 
具体例としては米Facebookによる、米Instagramの買収・合併が記憶に新しいですね。日本の例としては、2018年に武田薬品工業がアイルランドのシャイアーを買収しました。これも印象的なイベントでした。
 

M&Aした会社の株価はどうなる?

M&Aがあると「企業が大きく動いたぞ!」という感じがし、感覚的には「M&Aをした企業は、その後株価が上がりやすい」という傾向がありそうなものです。
 
ですが、実態を見てみると結果は残念なものでした。今回見つけた研究によると、「M&Aを実施した企業は、M&Aから5年間は株価が上がりにくい」ことが確認されました。僕の期待は、見事に外れました。
 
論文の要旨ではマイナスの影響が大きく、「M&Aから5年間は統計的に見て、およそ10%もの損失に苦しむ」と書かれていました。株式投資の平均利回りは「年5%」と言われます(2)。M&Aをした企業は、平均的な企業と比べて利回りが半減してしまうということです。そう考えると、10%という数値はかなり大きく見えます。
 

株を買うなら、どんな会社が狙い目?

他人の目につくと、それだけ株価が割高になりやすいとも考えられます。事実、「有名な会社の株は上がりにくい!」ことも、過去のデータから確認できています(3)。
 
M&Aをはじめ、「面白そう」「ワクワクする」ような大きなイベントでもてはやされている企業の株は投資家を惹きつけ、すでに割高である可能性が高いです。何もイベントがない企業よりかは、イベントのある企業の方が目につくものです。僕自身、ダメとは分かっていても、盛況な株に目がいきがちです……。
 
目立つ会社の株は、投資対象としては魅力に欠けるでしょう。投資先を選ぶときには、やはり目立たない会社を選ぶのがベターなのでしょうね。

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 【参考文献
 
  1. 論文:Anup Agrawal, Jeffrey F. Jaffe, and Gershon N. Mandelker, 1992, "The Post-Merger Performance of Acquiring Firms: A Re-examination of an Anomaly", The Journal of Finance, 47(4), pp. 1605-1621
  2. 論文:山口勝業, 2016, "株式リスクプレミアムの時系列変動の推計 --日米市場での62年間の実証分析", 証券経済研究, 93, pp. 103-111
  3. 論文:Craig G. Beard and Richard W. Sias, 1997, "Is There a Neglected-Firm Effect?", Financial Analysts Journal, 53(5), pp. 19-23
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