経済学者らの間では、「自信過剰は資産運用の大敵だ!」という考えが一般的でして。過度に自信を持っている人は、資産運用が下手だと言われています。
 
日本は投資家が少ない国とよく言われています。どこのアンケートで見たかは忘れましたが、投資を始めない大きな理由の1つが「自信が無いから」なのだとか。日本人としては、ありがちな回答ですね。
 
でも、実は「自信の無い人の方が資産運用が上手だよ!」なんて研究結果がありまして。だから、ぼく個人としては、「自信が無い人の方が才能があると思うから、資産運用を始めてみたら?」と言いたいところです。
 

なぜ、自信の無い人ほど投資が上手いのか? 

経済学者のブラッド・バーバーとテランス・オーディーンらの論文(1)によると、「自信過剰な人ほど資産運用が下手なのでは?」という考察がされています。
 
彼らの研究では、「男性と女性の、どっちの方が投資が上手なのか?」という点が調査されました。調査の結果、男性の方が、女性と比べて投資に対する自信があることが分かりました。しかし、その一方で、自信の無い女性の方が、自信のある男性よりも優れた運用成績を残したことが分かりました。
 
この原因としては、「男性陣の自信過剰が、近視眼的な(短絡的な)取引につながったのが原因ではないか」としました。要するに、「自信過剰な人は余計なことに手を出して失敗するから、投資がヘタだった!」ってことですね。
 

「自信」は「能力」とは関係が無い 

そもそも「自信がある人は能力があるのか?」みたいな話には疑問が呈されておりまして。自信があろうと、能力がなければ意味がない訳です。
 
この点については、心理学者のロイ・バウマイスターらの研究(2)が有名でして。彼らの研究によれば、「自信と能力の間には、大した相関関係が無い!」ということが分かっております。
 
この論文の著者の一人であるロイ・バウマイスターは、彼の著書(3)の中で「自尊心が高い人が成功しにくい!」「成功に必要なのは自尊心ではなく自制心だ!」なんて話もしております。ごもっともな話ですね。
 

能力のない人ほど「自信過剰」に陥りがち 

ちなみに、心理学者の間では、「能力が無い人ほど自信を持っている!」なんて法則(4)が見つかっておりまして。この法則は、心理学者のジャスティン・クルーガーと、デビッド・ダニングの2人によって発見されたことから「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれております。
 
彼らによれば、「能力が無い人は、自分に能力が足りないことすら認識できない」という点を指摘しており、結果的に、自信過剰に陥りがちな傾向があるのだとか。
 
そういう意味では、「自分に自信が無い」と考えている人は、「自分には何かが足りていないのかも?」ということに、きちんと気づけているということになります。こと投資では、根拠なき自信ほど危険なものはありません。だから、「自信の無さ」は優れた武器になると言えるでしょう。
 

まとめ 

世の中には、知っているだけで得するような、素晴らしい投資法がたくさんあります。ノーベル経済学賞の理論を組み合わせて作られた投資法や、優れた貯金テクニックが数多く開発されてきました。こういったチャンスを「自信が無いから…」という理由ひとつで見逃しては勿体ないです。
 
むしろ、「自信の無さが武器なんだよ!」というのが、心理学者・経済学者の間での通説です。ですから、あなたも「自信が無いから…」と投資を諦めるのではなく、一歩だけ踏み出してみてはいかがでしょうか?
 
●参考文献
 
  1. 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2001, "Boys will be boys: Gender, overconfidence, and common stock investment", The Quarterly Journal of Economics, 116(1), pp. 261-292
  2. 論文:Roy F. Baumeister, Jennifer D. Campbell, Joachim I. Krueger, and Kathleen D. Vohs, 2003, "Does High Self-Esteem Cause Better Performance, Interpersonal Success, Happiness, or Healthier Lifestyles?", Psychological Science in the Public Interest, 4(1), pp. 1-44
  3. 書籍:ロイ・バウマイスター, ジョン・ティアニー, 2013, "WILLPOWER 意志力の科学", インターシフト
  4. 論文:Justin Kruger and David Dunning, 1999, "Unskilled and Unaware of It: How Diffiulties in Recognizing One's Own Incompetence Lead to Inflated Self-Assesments", Journao lf Personality and Social Psychology, 77(6), pp. 1121-1134
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