住宅設計・間取り/住宅設計・間取りのポイント

部屋の配色が気持ちを左右する?色の心理・生理効果

同じような間取りの部屋でも広く感じる部屋があったり、ウキウキした気分になる部屋があります。これはインテリアの色に一因がある可能性も。色使いが気分や体に及ぼす影響もあるからです。今回は、色がもつイメージの違いや配色の効果について取り上げます。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

〈目次〉
色にはそれぞれイメージがある
色が持つ力と体に与える影響とは
部屋の基本となる3つのカラーを決めよう
3つのカラーをどう組み合わせるかで部屋の雰囲気が変わる
どんな部屋にしたいかで色選びは異なる

 

色にはそれぞれイメージがある

服の色や髪の色を変えると、同じ人なのに「雰囲気が変わった」とか、「以前と違う」と感じたことはないでしょうか。これは、色の違いによって受ける印象が変わったことが原因です。
 
2つのリビング

同じような2つの部屋ですが、床や家具の色が違うと印象が変化します。左の写真のほうが若々しく、明るい雰囲気ですね


色はそれぞれイメージをもっています。

例えば、

赤:暑い、情熱的なイメージ →太陽や血、炎などを連想します
青:涼しい、知的なイメージ →空や海を思い浮かべます
白:清純、清潔なイメージ →雲や雪、真っ白いTシャツなどをイメージします

といった感じです。
 
ダイニング

オレンジ色のシステムキッチンに、赤い小物を多用した例。元気な気分になったり、食欲がわくでしょう


このように、色は個別のイメージをもっており、私たちは色によって、受ける印象や気分が左右されます。服の色や髪の色によってその人のイメージが変化するのと同様に、インテリアも色や配色によってさわやかな印象を与えたり、気分を高揚させるなど、心理的な影響を与えるのです。
 

色がもつ力と体に与える影響とは?

部屋の色や組み合わせによって見た目の印象が変わるだけでなく、どのような配色にするかによって、楽しい気持ちになったり、寒く感じたりと、気分や体感温度にも影響を受けることがわかっています。

具体例を挙げて説明しましょう。例えば、赤やオレンジ、ピンクなどの暖色系でまとめられた部屋は暖かい印象を受けます。一方、青やネイビー、水色などの寒色系でまとめられた部屋は、さわやかで涼しげな印象だと感じるでしょう。しかし、私たちは暖かさや涼しさという印象を感じとるだけでなく、身体にも影響を受けているのです。

個人差はあるものの、暖色系の部屋では暖かい(実際の温度より高い)と感じ、寒色系の部屋では寒い(実際の温度より低い)と感じるなど、部屋の色によって体感温度に違いを生じることが実験でわかっています。
 
統一感

室内ドアやテーブルの色を統一した部屋。木のナチュラルな色と素材がほんのりとした暖かさを感じさせます


色の選び方によって部屋の居心地も左右されるので、どんな色を選び、どういったコーディネートをするかはとても重要です。では、どのように色を決めていけばいいのでしょうか。
 

部屋の基本となる3つのカラーを決めよう

部屋のコーディネートをする際には、まず、ベーシックカラー、アクセントカラー、アソートカラーの3つを決めます。

ベーシックカラーとは基調色のこと。その部屋の中で一番大きなスペースを占める色で、割合としては50%以上に使います。

アクセントカラーとは強調色のこと。いわゆる差し色なので、使うのはごくわずかな面積です。多くても10%くらいに留めましょう。クッションや小物などに取り入れ、空間のアクセントにします。
 
ブルー系

アクセントカラーとして青いソファを選んだ例。白やブルー系でまとめられ、さわやかで涼しげな雰囲気


アソートカラーはベーシックカラーとアクセントカラーをつなぐ協調色。使用面積は30~40%程度と考えるのがよいでしょう。
 

3つのカラーをどう組み合わせるかで部屋の雰囲気が変わる

前述のベーシックカラー、アクセントカラー、両者をつなぐアソートカラーのそれぞれにどんな色を選んで、どう組み合わせるかによって、部屋の雰囲気は変わります。

なかでも、使用面積の大きいベーシックカラー選びは重要。どんな色にするかによって、部屋の印象が大きく左右されるので、このことを意識してベーシックカラーを選びましょう。

アソートカラーは、違和感がないように、ベーシックカラーとアクセントカラーにトーンが合っている色を選ぶのがコツです。トーンが合っているとは、色の性格が近いということ。色の明るさの度合い(同じ色でも明るい色か、暗い色か)や、色味の鮮やかさ(同じ色でも強い色か、弱い色か)が近いかどうかだと覚えておくとよいでしょう。
 
ベーシックカラー

ベーシックカラー:白→壁や天井に採用 アソートカラー:ナチュラルな木の色→床や家具に採用 アクセントカラー:赤→クッションと椅子に採用した部屋

 

どんな部屋にしたいかで色選びは異なる

ここまで色の効果や、色の選び方について説明しましたが、最後に基本となる考え方について簡単にまとめておきます。

●簡単に空間の雰囲気を変えたいとき
→小物でアクセントカラーを変える。例えば、夏には涼しさを感じさせるブルー系の小物を並べ、冬には暖かさを演出するため暖色系の小物を選ぶ

●広く感じさせたいとき
→膨張色を中心として部屋をまとめる。例えば、白やアイボリー、ベージュなど淡い色は広がりを感じさせる。逆に黒や濃いブラウンを大きな面積に使うと圧迫感を与え、狭く感じることがある

●柔らかいイメージにしたいとき
→明るい色でまとめる。例えば、パステルカラーのように淡い色を使う。ブラウン系でも淡く、明るいブラウンやベージュなどに。グレーでも濁りの少ない明るいグレーを選ぶようにする
 
淡い色で統一

白やベージュでまとめた部屋。清潔感があり、広く見えます。クッションなど、アクセントカラーの選択次第で印象が変わりそう


●部屋をまとまった感じにしたいとき
→部屋全体を近い色あいでまとめる。例えば、ベージュ系とか、ブルー系といった具合に、似た色にする

●メリハリをつけたいとき
→色あいの違う色を組み合わせる。例えば、ブラウン系の床に、赤い家具やグリーンの小物を選ぶといった具合に、全く違う色を選ぶ

●高級感・重厚感を出したいとき
→暗め色を中心に選ぶ。例えば、黒や濃いブラウンなどを大きな面積に使用する。そのほか、赤や青、グリーンのような色を選ぶ場合も、黒の入った暗めの色に。さらに、ゴールドを加えると豪華さがプラスされる
 
白基調に黒

白基調の内装でも黒や濃い茶を使うと、高級感のある雰囲気に。座面がオレンジ色のソファを採用して、柔らかさを演出


ここではダイニングやリビングの写真を紹介しましたが、寝室や子ども部屋など、部屋の用途によっても適切な色の選び方は違ってきます。インテリアコーディネートをするときには、大まかでも、色がもつイメージや特徴を意識したいものです。そして、その部屋の用途に合ったベーシックカラーを選び、小物でアクセントをつけて、望むインテリアをつくりあげてください。さらに、色に大きな違いがなくても、木やタイル、布といった素材が変わると、印象が変わることを覚えておくとよいでしょう。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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