大型猫種メインクーンの歴史や特徴、寿命・飼育法とは?

今回はメインクーンの飼育法や特徴、かかりやすい病気などを解説していきます。一般的な猫よりも大きくなるメインクーンは、ボリューミーな被毛も愛くるしい穏やかな猫種です。しかし、大型な猫種だからこそ、飼育するにはいくつかの注意点があります。

古川 諭香

執筆者:古川 諭香

猫ガイド

もふもふの被毛がたまらない「メインクーン」ってどんな猫種?

メインクーンの歴史や特徴、寿命・飼育法

メインクーンはロング&サブスタンシャルタイプの大型猫種

数ある猫種の中でも、貫録のあるボディとボリューミーな被毛が特徴的なメインクーンはノルウェージャンフォレストキャットと共に人気を博している大型猫種です。今回は、そんなメインクーンの歴史や身体的特徴、飼育法などを詳しくご説明いたします。

<目次>

猫種の歴史

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人の手が加えられず、「自然発生」した猫種

メインクーンは、アメリカの最東北部にあるニューイングランド・メイン州で自然に誕生した猫種です。一説では、大型の猫とアライグマを交配したという話やオオヤマネコ科のボブキャットとイエネコを交配して生み出されたという話もあります。しかし、これは遺伝子的にはありえないといえるでしょう。
 
メインクーンの被毛がこれほどまでにボリューミーなのには、メイン州の気候に大きな関係があります。この地方は冬の寒さが厳しかったため、身を暖められるよう、重厚な被毛を持つようになったといわれています。
 
そして、メインクーンは1600年頃からアメリカでネズミなどの害獣を捕まえる「ワーキングキャット」として飼われるようになり、19世紀頃には愛猫家に認められるほどの人気猫種になっていきました。アメリカの猫血統登録機関であるCFAの登録簿には、すでに28匹ものメインクーンが登録されていたそうです。
 
しかし、その後、人々の関心がペルシャなどのエキゾチックな猫種に映ると人気がなくなっていき、1950年代には絶滅の危機にさらされるほど頭数が少なくなりました。そんな状況を見かねて設立されたのがメインクーンのための展示会やショーを開催する「セントラル・メイン・キャット・クラブ(CMCC)」。
 
「セントラル・メイン・キャット・クラブ」はメインクーンのスタンダード(理想的とされる見た目)も作成し、ブリーダーたちと協力しながらメインクーンの頭数を増やしていきました。こうしてメインクーンは絶滅の危機を乗り越え、1976年にはCFAから正式に公認されたのです。なお、イギリスのGCCFは1994年にメインクーンを公認しています。
 

メインクーンの身体的特徴 

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最大の特徴は耳の先端にある「リンクスティップ」

頭部は変形くさび型(V字)で、顔がやや縦長なのがメインクーンの特徴。頬骨は他の猫種よりも高い位置に存在しており、一般的な猫よりもマズルが四角いため、正面から見ると口元はふっくらしていますが、横から見ると鼻と顎は一直線です。大きな耳の先端には「リンクスティップ」と呼ばれる飾り毛がみられます。
 
耳の根元に向かって傾いている卵型の目は、少し離れ気味についています。ロング&サブスタンシャルタイプであるメインクーンは肩と腰の幅が同じで、ボディは長方形。筋肉質で胸部の幅が広く、骨格もがっちりとしています。足先は一般的な猫よりも大きく、先端には飾り毛がみられるでしょう。
 
尻尾はボディよりも長く、根元のほうが先端よりも太くなっています。重厚な被毛は水を弾きやすくなっており、首回りや腹部の被毛はよりボリューミーです。なお。メインクーンは見た目によらず、シングルコート(皮膚の一番近くに生えているアンダーコートがなく、オーバーコートしか生えていない)の猫種です。
 

メインクーンの毛色

毛色

被毛はカラーだけでなく、パターンも豊富

メインクーンはブラック、チョコレート、シナモン、レッド、ブルー、ライラック、フォーン、クリーム、ホワイトといったすべての毛色が現れます。
 

メインクーンの目色

目色

サファイヤブルーとアクアの目色をしたメインクーンはいません


メインクーンはグリーン、ヘーゼル、イエロー、ゴールド、オレンジ、カッパーといった目色が現れ、白い被毛の子であれば左右で瞳の色が違うオッドアイやブルーも認められています。
 

ノルウェージャンフォレストキャットとの違い

ノルウェージャンフォレストキャット

ちなみに、この猫は「ノルウェージャンフォレストキャット」です

ノルウェージャンフォレストキャットとメインクーンはどちらも体が大きな猫種であるため、間違えられることも多いものです。そのため、見分けたいときは「鼻筋」と「耳の飾り毛」「マズル」「被毛の量」に注目してみてください。
 
ノルウェージャンフォレストキャットの鼻筋は横から見たときに一直線に見えますが、メインクーンの場合は少し丸みを帯びています。そして、メインクーンの耳の先端にある「リンクスティップ」は、ノルウェージャンフォレストキャットには見られないものです。
 
また、マズルが四角いため、ノルウェージャンフォレストキャットよりも口元がふっくらとして見えます。被毛の厚みも実は違い、メインクーンはシングルコートですが、ノルウェージャンフォレストキャットはダブルコート(アンダーコートとオーバーコートの両方が生えている)です。
 

平均体重はオスで6~8kg メスで4~6kg

一般的な猫の平均体重は3~5kgほどですが、メインクーンの平均体重はオスで6~8 kg、メスで4~6kg程度です。ただし、こうしたがっちりとした体型になるまでには3~4年ほどかかるといわれています。
 

平均寿命はおよそ11~15歳くらい

一般的な猫の平均寿命はおよそ15歳前後だといわれていますが、メインクーンの平均寿命は11~15歳くらいだといわれています。メインクーンには発症しやすい先天性疾患が多くあるため、飼い主さんは日頃からこまめに健康状態を気にかけてあげましょう。
 

メインクーンの性格

長毛の猫は大人しい性格であるという印象が強いかもしれませんが、メインクーンは活動的に遊ぶことも大好きな猫種なのです。水を弾きやすい被毛を持っているため、水を苦手に感じない子も多く、好んで水遊びをすることもあります。
 
また、知的で賢く、飼い主に対して忠実な態度を示してくれるのもメインクーンの愛くるしいところです。順応性が高いので、完全室内飼いでもストレスが溜まりにくいといわれています。
 

メインクーンの鳴き声は特徴的

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まるでお話ししているかのようにも聞こえます

メインクーンは見た目や性格だけでなく、鳴き声も愛くるしい猫種です。まるで鳥のような甲高くて小さな鳴き声は多くの飼い主さんを魅了しているよう。中には口を閉じて鳴き声を発する子もいます。

独特な鳴き声を耳にすると、「何か異常があるのでは……?」と心配になってしまうかもしれませんが、メインクーンは一般的な猫とは違った鳴き声を出すので、他に異常など見られなければ安心して大丈夫です。
 

【飼育法】年齢ではなく体重をフード切り替えの目安に

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子猫期には高タンパクで高カロリーなフードを与えましょう

大型の猫種であるメインクーンの体をしっかりと成熟させるには、栄養バランスにこだわった食事を食べさせ、たっぷりと運動させましょう。大きく育てるには一般的な猫のように、1歳を過ぎたらすぐに成猫用のフードに切り替えるのではなく、平均体重である数値に近づいてきたら変更するようにしてみてください。
 
成長期は朝食と夕食の間におやつを与えるのもよいです。また、子猫の時期は成猫期よりも必要となる1日のフード量が多いので、1日3~4回程度に分けながら与えるようにしましょう。その際は、丈夫な体が作れるように肉や魚が主原料(パッケージの最初に記載されている原材料のこと)となっているフードを選ぶようにしましょう。

より安全性を重視したい方は、穀物不使用な「グレンフリー」や人間が食べても大丈夫である「ヒューマングレード」のキャットフードを与えてみてください。
 

【飼育法】室内環境は?

メインクーンは大型の猫種なので、キャットタワーを設置ときは天井につっぱらせられるタイプを選びましょう。キャットウォークを取り付けたい方は1枚1枚のステップをやや大きめに作ってもらいましょう。筆者宅で標準体型の猫たちが使用しているキャットウォークは幅が21cmですので、これよりも大きめに作ってもらうのがおすすめです。
 

メインクーンがなりやすい病気

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遺伝性疾患は予防が難しいので、早期発見で対応を

メインクーンは「ピルビン酸キナーゼ欠損症」という遺伝性疾患が発症する可能性が高いとされています。この病気は「PKLR」という変異した遺伝子を両親から受け継いだことにより、「ピルビン酸キナーゼ」という酵素が赤血球に存在せず、赤血球の寿命が短くなることで起こります。
 
主な症状は、貧血や頻脈、黄疸などです。発症年齢は生後6ヶ月~5歳頃と幅広く、遺伝性疾患であるため予防も不可能です。しかし、中には「PKLR」という変異遺伝子を受け継いでも発症しない子もいます。病気の発症にはストレスや環境の変化が大きく関係していると考えられているので、普段からストレスフリーな生活をさせてあげることが大切です。
 
また、メインクーンは体の筋肉が萎縮し、筋力が低下してしまう「脊髄性筋萎縮症」やペルシャに発症することが多い「多発性のう胞腎」、左心室の筋肉が内側に向かって肥大化し硬くなる「肥大性心筋症」といった遺伝性疾患も発症しやすいといわれています。
 
なお、メインクーンは股関節の形が先天的に変形する「股関節形成不全(股異形成)」にもなりやすいので、定期健診をこまめに行い、異常を早期発見できるようにしていきましょう。
 

適している飼い主の性格

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長毛種はグルーミングでは抜け毛を完全にケアしきれないので、飼い主さんが必ずブラッシングを

メインクーンは活動的な性格であるからこそ、一緒に遊びながらスキンシップが取れる方におすすめな猫種です。シングルコートであるため一般的な長毛種よりは抜け毛が少ないですが、被毛の美しさを保つには1日2回のブラッシングやコーミング、2週間に1回シャンプーが必要になります。
 
ですから、お世話の時間をきちんと確保できないと飼育するのは難しいかもしれません。おうちに迎えたいと考えている方は、事前にメインクーンの飼育法をしっかりとチェックしながら検討していきましょう。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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