お金の悩みを解決!マネープランクリニック/公務員家庭のお金悩み相談

50歳公務員、夫が家に入れる生活費18万をアップしてくれない(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、健康面で早期リタイアを希望している50歳の公務員女性。しかし、収入が夫だけになった場合、生活費が不足するという不安があり、なかなか退職に踏み切れないとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 50歳からフルリタイアでも資金的には大丈夫

結論から先に申し上げますと、今すぐ退職し、なおかつご主人からの生活費がアップしなくても、まめさんの今後の生活は資金的には問題はないと考えます。
 
まずは今後のキャッシュフローを見ていきましょう。
実際は、ボーナス支給も考えて、早くても年内いっぱいは勤務、年明け退職となるでしょうが、便宜上、今すぐ退職し、その後は完全リタイアするとします。退職後のまめさんの世帯収入は、少なくともご主人が定年(65歳)となると今後9年間、ご主人からの月18万円と、ボーナスによる年間30万~50万円となります(お子さんからの生活費は、結婚も控えているということで省きます)。
 
一方、生活費ですが、基本的には今と変わらないとすれば、月22万円ほど。ただし、退職後、社会保険はご主人の扶養になるとしても、まめさんのボーナスから捻出していた支出分は、その後の生活費に月割りで加算しなくてはいけません。それを月2万円とすると、退職後の生活費は月24万円。結果、収入に対して平均で月2万5000円、9年間で約270万円の赤字となります。
 
手元の資金ですが、退職時の預金(財形貯蓄を含む)が2500万円。他に、勤務先で加入していた積立終身保険の解約返戻金が900万円、退職金が1500万円ですから、計4900万円。

しかし、2人のお子さんの結婚資金300万円と車の買い替え費用の200万円が別途発生します。さらに生活費の不足額270万円を差し引くと、9年後、まめさんが59歳のとき、手元に残る資金は4130万円となります。

このあと、ご主人からの生活費が途絶えるならば、公的年金支給の65歳まで無収入となります。その間、生活費はすべて貯蓄でまかなわなくてはなりません。6年間で1730万円ほど。ただし、生活費のうち、終身保険の支払いが55歳で終了していますから、それを加味すると、65歳の時点で、およそ2500万円が手元に残ります。
 
公的年金の支給額が年額217万円。この額が、今退職した時点での支給額(※)ならば、社会保険料や税金を差し引いて、手取額は月16万円ほど。65歳からの不足額を月6万円とすれば、90歳の時点で残る資金は700万円。さらに、死亡保障1000万円の終身保険を解約すれば、まとまった解約返戻金(解約する年齢等で額が異なります)も手にできます。そう考えると、クルマの買い替え、住宅リフォーム等を考慮しても、老後資金で大きく困ることはまずないと考えていいでしょう。
 

アドバイス2 子どもの保険料や通信費は本人負担が望ましい

この試算は、現状とほぼ変わらない生活費が続くと想定しています。ただ、節約と言うよりも、家計支出そのものを見直すことで、もっと老後資金に余裕が生まれます。
 
まず、保険です。お子さんに掛けている保険ですが、もう社会人なのですから、保険料は本人に負担させるべきではないでしょうか(継続するかどうかは、お子さんの意思に任せる)。1人3000円ほどですが、2人分で年間7万円超。退職後のまめさんにとっては、小さな負担額ではないはずです。
通信費も同様。ご主人の分の負担は仕方がないとしても、お子さんの分は自身で支払うことが、まめさんのためでも、お子さんのためでもあると思います。
 
保険料と通信費の負担がなくなれば、月額1万5000円~2万円は家計支出が減額できます。それだけで、少なくともご主人が定年になるまでは、ご主人が入れる生活費だけでカバーすることも可能でしょう。
 
さらに言えば、試算で計上している毎月の被服費(ネイルとエステ代を含む)とご自身の小遣い(医療費を含む)が計12万円。年間144万円。これも今後10年、20年と継続的に発生するとは考えにくいはず。節約を意識しなくても、自然と生活費が下がっていく可能性も十分あります。
 

アドバイス3 働くことで根本的な不安は解消される

そういう中で提案ですが、何より今、優先すべきはまめさんの健康です。数年間はゆっくり休んで、健康を取り戻す。そして、その後は、パートかアルバイトで構わないので、働くことをお勧めします。

5年間休んでも、まだ55歳。月8万円収入を得れば、年間で約100万円。10年間で1000万円になります。それが老後資金に上積みされると、50歳からフルリタイアでも資金的には大丈夫ですが、今のまめさんの不安の根本的部分である「夫に養ってもらう」ことへの不安が、確実に解消されます。同時に、社会と何かしら関係を持つことは、老後生活において収入とは別に意味のあることです。焦らず、頑張りましょう。
 
(※)50歳以降に郵送される「ねんきん定期便」に記載されている受給額は、60歳まで保険料を支払った場合の見込額のため
 

相談者「まめ」さんから寄せられた感想

ありがとうございます!自分ではここまで詳しく計画できませんし、考えられませんでした。
感動しました!そして少し心がほっとしました。今回のアドバイスを参考に見直すべき所は見直してみたいと思います。
 

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など




取材・文/清水京武

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