運動と健康

有酸素運動効果を上げる「ちょい足し」筋トレのコツ

【アスレティックトレーナーが解説】体脂肪燃焼にも有効な有酸素運動の効果をさらに上げたいなら、運動前の「ちょい足し」筋トレがおすすめ!バーベルなどの準備は不要。スクワットや腹筋などの手軽な自重トレーニングを軽く入れるだけで、運動効果を上げることができるのです。その理由とメリットを解説します。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

簡単自重トレーニングで効果的に体脂肪を燃焼!

バーベルを持つ女性

有酸素運動前に行う筋トレは、筋肉に強い負荷をかけて体脂肪燃焼を後押しする

「筋トレ」と聞くと、「キツそう」「ハードルが高そう」と感じる人は少なくないようです。ダンベルやバーベルなどの筋トレ専用器具がないとできないと思っている人もいるかもしれませんが、自分の体重をウエイト代わりにして行う「自重トレーニング」であれば、今日からすぐ始められ、簡単に行うことができます。

そして、これらの筋トレは有酸素運動の前に行うのが効果的。有酸素運動を始めたときに、体脂肪がより多くエネルギーとして使われるようになるからです。以下で詳しく解説します。
 

筋トレのメリット……有酸素運動の効果が上がる2つの理由

1. 筋トレにより成長ホルモンの分泌が促される
筋トレによって筋肉を伸び縮みさせると、筋肉に適度な負荷がかかることで筋線維が傷みます。この傷んだ筋繊維、筋肉の修復のために、さまざまな物質が分泌されるのですが、その一つが成長ホルモンです。成長ホルモンは子どもの体づくりに必要不可欠なものですが、大人になってからは筋肉や骨などの組織を強くする働きがあります。さらに体脂肪をエネルギーとして使いやすい「遊離脂肪酸」の形に分解する働きもあります。

体脂肪は脂肪細胞の中で中性脂肪として蓄えられており、この状態ではエネルギーとして使えないのですが、遊離脂肪酸に分解されて血液内に入ると、運動などによって消費されるようになります。このため、筋トレを行った後に有酸素運動を行うと、体脂肪をより消費しやすくなるといわれています。
 
2. 筋トレでエネルギーを消費できる
運動で使われるエネルギー源は主に糖質と脂質です。糖質はすぐにエネルギー源として使いやすい一方で、脂質はエネルギー源として使われるまでに時間がかかるため、運動開始直後は糖質の方がより多く消費されます。

有酸素運動の前に適度な筋トレを行うと、まず体内にある糖質をエネルギー源として利用するため、その後に有酸素運動を行うときには糖質は少ない状態であり、必然的に脂質をエネルギー源として利用するようになります。さらに筋トレを行った後の体は血流も良くなっているため、代謝能力も上がっており、有酸素運動によってより体脂肪を燃焼しやすくなっている状態になるのです。
 

自宅でできる手軽な「ちょい足し」筋トレ……スクワット・カーフレイズ・腹筋など

腹筋運動をする女性

自宅で手軽にできる腹筋運動なども筋トレの一つ

ランニングやウオーキングなどの有酸素運動を行う前に「ちょい足し」筋トレを実践してみましょう。ウォームアップで体を軽く動かした後に、自重トレーニングを行います。なるべく大きな筋肉を使うように意識することがポイントですが、手軽な方法としては以下のような自重トレーニングがおすすめです。

■スクワット
「トレーニングの王様」と呼ばれるスクワット。太ももやお尻の筋肉を刺激してエネルギーを消費できるだけではなく、バランスを保つために腹部や背筋などにもトレーニング効果が見込めます。

■ステップ動作
階段を使って、上り下りを繰り返すようなステップ動作も効果的です。

■カーフレイズ
段差を利用してつま先立ちを繰り返すカーフレイズなども自重トレーニングの一つ。カーフレイズについては「簡単カーフレイズの方法」でも詳しく解説していますので、ぜひご参考になさってください。

■腹筋運動
多くの人に馴染みのある腹筋運動も、手軽に取り組めて効果的な自重トレーニングです。
 
上記の自重トレーニングがラクに行える場合は、500mlのペットボトルなどをウエイト代わりにして行いましょう。さらに強い負荷が筋肉にかかり、トレーニング効果が高まります。ただしあまり強い負荷で長時間行ってしまうと、今度は筋疲労によって有酸素運動に支障が出てしまう場合がありますので、10~15分程度の短時間にとどめましょう。短時間の筋トレ後であれば、体にとっても大きな負担になりにくく有酸素運動を行えると考えられます。
 

有酸素運動でもっと効率よく体脂肪を燃焼させる方法

有酸素運動を行う女性

有酸素運動を行うなら、その前の「ちょい足し」筋トレも忘れずに!

このようにさまざまなメリットがある簡単な筋トレ。有酸素運動の前に「ちょい足し」で筋トレを行うことで、体脂肪がより燃焼されやすい状態になることが分かるかと思います。また、運動前のちょい足し筋トレによってエネルギー源としても脂質をより多く消費できるようになるので、体脂肪を少しでも減らしたいと考えるのであれば、順番としてはやはり筋トレ→有酸素運動がより効率がよいと言えるでしょう。

以前は体脂肪燃焼には20分以上の継続した運動が必要であると考えられていましたが、細切れの運動でも体脂肪を燃焼させることは可能であり、短い時間でもエネルギーとして使われることがわかっています。詳しくは「有酸素運動は20分以下の細切れ時間でも効果あり」で解説していますので、あわせてご覧ください。

ただ体脂肪を燃焼させたいがために糖質を過度に減らして運動を行ってしまうと、体に必要な栄養素が不足してしまうだけではなく、運動によるケガのリスクなども高まることが考えられます。
 
見た目も若々しく健康的に体脂肪を減らしたいと考えるのであれば、食事はバランス良くとりながら運動を継続させることが一番の近道です。有酸素運動の前に行う「ちょい足し」トレーニングで体脂肪をより効率よく燃焼させましょう。
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