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国産パソコンへの情熱 MCJ高島社長(2ページ目)

株式会社MCJの社長兼CEOである高島勇二にインタビュー。1994年にマウスコンピュータを設立、昨年は東証マザーズに上場し、連結売上高321億円。高島社長が、国産パソコンや経営への思いを熱く語る……。

大島 克彦

執筆者:大島 克彦

デスクトップパソコンガイド


「死なない坂本龍馬」になりたい

高島社長Photo
新商品のアイデアは、人との出会いから生まれる。
ガイド
そのシステム化という話ですが、中小企業が飛躍する上で、その点での踏ん切りは難しいところがあるんじゃないかと思いますが……
高島
自分で組み立てていれば、お客様の声もダイレクトに聞けて面白いんです。けれども、本当のスーパーマンは自分でなんでもやってしまう人ではなくて、他人に任せられる人だと思うんです。
僕の目標とする企業は、経営者がいつまでも組み立てに従事するようなレベルにはありませんでした。MCJを大きくして、世界に通用するメーカーになりたいという思いがありましたから。

ガイド
新商品のアイデアなどは、ご自分で常に考えているんですか?
高島
スタッフもいますが、僕自身も常に考えています。
一般的には、MCJは「安売り」とイメージがあると思うんですが、僕自身は価格競争にはあまりこだわっていないんですよ。
むしろ、キューブ型パソコン(MCJがいちばん最初に販売した)もそうですが、コアなユーザーさんは、MCJは新しいものをいち早く出す会社だと思ってくれていると思います。
大手メーカーのモデルチェンジは年3回に限られていますが、うちは新製品が出れば毎月モデルチェンジします。新しいものを早く出すのは楽しいですしね。

ガイド
そのアイデアは、どこから生まれるんですか?
高島
やはり、人との出会いだと思います。
デザイナーさんとの出会いの中から、リビング向けのパソコンをコラボレートしたりとかですね。出会いの中でこそ、MCJのスタッフのセンスが生きてくるんだと思います。

ガイド
ご自宅は紳士服メーカーと伺いました。生まれ育った環境は、いまのご自分の中に生きていると思われますか?
高島
実家は、室町時代ぐらいから続いていた店だったんです。私自身のことですが、変わった子供でしたね。お店に行くと、「ここは客単価いくらぐらいかな」「もうかっているのかな」と考えたり……

ガイド
それはすごいですね。
高島
実家が営業不振になったので、この事業を創業しました。
当時は借金が3,000万円で、現金は4万円ぐらいしかなかったんです。その状態から始められたのが、パソコン通信を使ったBTOというビジネスモデルでした。もちろん、そこでもパソコン通信で知り合った仲間たちの力があったればこそです。
そんな栄枯盛衰を見てきたことも、健全な財務体質と人に依存しすぎない組織体質が大事だという点で、自分にはプラスになっていると思います。

ガイド
MCJや高島さんは、すでにたくさんのパソコンショップにとって「目標」になっていると思うんですが……
高島
まだ目標といわれるようなものではないですよ。僕の目の前には、世界最大のパソコンメーカーのデルがいますので。ただ、自社より伸びている小さなベンチャー企業を見習うことは大事ですね。まだまだ勉強中です。

ガイド
最後ですが、高島さんの夢はなんでしょうか?
高島
いま、日本のパソコン業界は外資系のデルやHP(ヒューレットパッカード)が攻めてきていて、明治維新でいうと「黒船来航」です。その中で、既存の大手メーカーは、「徳川幕府」のように伸び悩んでいる。
その中で僕は、志半ばで倒れない、「死なない坂本龍馬」になるぞと。デルやHPに負けない国産のパソコン連合をつくる、という意思でがんばっているんです。
MCJは、「PC Japan」というビジョンを掲げています。パソコンだけではない、IT(情報技術)コングロマリット企業が目標です。その中にメディア部門や投資・資産運用部門を位置づけ、お客様に対する満足度を高めていこうと思っています。

ガイド
そのために、何をしていきたいでしょうか?
高島
情報を共有できる仲間をいかに増やすかですね。日本はどんどん変わってきていると思いますが、「だれかがどうにかしてくれる」という人任せの気持ちではなくて、自分でよくしていく。そういう意識を共有できる仲間を増やしていけたらと思います。
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