知らないうちに PC が使われる
「呪術でよみがえった死者」をゾンビ(Zombie)と言いますね。いま世界中で増えているのが、ゾンビ PC と呼ばれるコンピュータです。ゾンビ PC とは、不正侵入者に遠隔操作ソフト(バックドア)を仕込まれた PC のこと。ユーザがそれと気づかぬまま、PC は別の用途に悪用されてしまいます。まさに、PC が呪術師にあやつられて人を襲うゾンビとなってしまうのです。
PC がゾンビ PC になること(ゾンビ化)は、コンピュータウイルスに感染することがもっとも多い理由です。コンピュータウイルスといえば、以前は「ファイルを消去する」「勝手にメールを送る」などの症状を引き起こすものでした。しかし、最近増えているのは、PC をゾンビ化する種類のものです。MyDoom、Bagle などの名前を持つウイルス(ワーム)がこれです。
ブロードバンドによるインターネットへの常時接続が当たり前となる一方、残念ながら、セキュリティに対する十分な知識は普及していません。あなたの PC も、知らないうちにゾンビ PC となっている可能性があるのです。
「死んだ」PC が売買される
昨年6月、米プロバイダの Akamai が大量のデータを送りつけられるという攻撃を受け、この影響で、Google、Yahoo!、Microsoft などの Web サイトがアクセスできなくなるという事態になりました。攻撃を仕掛けたのは、「ボットネット」と呼ばれる、多数のゾンビ PC よるネットワーク(ゾンビネットワーク)だとされています。ゾンビ化した PC が、同じウイルスが入り込んだ PC と自動的にゾンビネットワークをつくり、第三者のコンピュータに攻撃を仕掛けたのです。
この事例のほか、ゾンビネットワークによる攻撃の種類としては、迷惑メールの送信、Web サイトに大量のデータを送ってダウンさせる、個人情報の不正取得、新たなウイルスの配布などがあります。現在、迷惑メールの4割以上(一説では8割)が、ゾンビネットワークから送信されています。
世界的なゾンビネットワークは、第三者にさまざまな攻撃をしかける |
また、ゾンビ PC は1日平均 150,000台の割合で増え続け、全世界で 2,000,000台を超えるとも言われています(CipherTrust 社、Sandvine 社などの調査)。
ゾンビネットワークの一つひとつは、5,000~10,000台のゾンビ PC で構成されています。
しかも、このようなウイルスを作成する人物は、自らがつくりだしたゾンビネットワークを迷惑メールの送信用途に販売し、利益を得ることさえ行っています。
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CONTENTS
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