今度の『下町ロケット』は「ゴースト」と「ヤタガラス」

2015年10月にスタートした池井戸潤原作の『下町ロケット』から3年。技術者のプライドとあきらめない気持ちで私たちを魅了した佃製作所の熱いシーズンが、いよいよ開幕。原作は2018年7月発売の『下町ロケット ゴースト』と9月発売の『下町ロケット ヤタガラス』、大地を舞台に新しい挑戦がはじまります。

 
下町ロケット原作

   池井戸潤原作の読んでから見ても楽しめます/出典:Amazon

 

新ドラマの前に前作『下町ロケット』を6つの視点でふり返る!

いくつもの壁を乗り越えながらゴールを目指す物語は一見スタンダードですが、誰もがグイグイと引き込まれる展開と、現代社会の課題を骨太に浮き彫りにする時代性は『下町ロケット』だけが持つダイナミズム。最先端の映像技術や細部まで妥協をしない演出、ぜいたくすぎる俳優陣の力強い演技は圧巻でした。ドラマづくりの真髄を極めた作品が『下町ロケット』なのです。
下町ロケット

 日本中をワクワクさせた2015年の『下町ロケット』/出典:Amazon

 

視点1:専門性をていねいに描写、しかも、わかりやすい!

2015年の『下町ロケット』はロケット編とガウディ編の2部構成。バルブ開発、特許侵害、人工弁開発といった専門性の高いモチーフを様々な立場から描写しています。一見難しそうですが、小さなパーツが社会を大きく動かす過程は専門性を除外することなく、視聴者にわかりやすく表現され、制作サイドのスキルの高さを感じます。
脚本はもちろん、セット、小道具、映像、あらゆるところに配慮された「専門性とわかりやすさ」は作品の大きな魅力です。
 

視点2:たどり着く道のりこそドラマ!

下町ロケット

佃製作所の熱い思いが!2015年版『下町ロケット』/出典:Amazon


何かを成し遂げることは素晴らしいことですが、自分の人生を振り返ると、ゴールにたどり着くまでの紆余曲折にこそ、大きな収穫があるように思います。その道のりを丁寧に力強く見せてくれるのが『下町ロケット』。立ちはだかる数々の壁に人間らしく悔しがる佃航平が、やがて立ち上がるたくましさ、ともに闘う佃製作所のメンバーや協力者たち、ゴールへ向かう人間たちの熱血だけではおさまらない”ドラマ”に、私たちは心を大きく動かしました。

 

視点3:豪華すぎる俳優陣

俳優ではない肩書きの人たちが続々と登場すること、注目の実力派俳優が次々に登場すること、この贅沢こそ日曜劇場。落語家、アナウンサー、歌手、異分野で活躍している人たちの熱心な演技は刺激的で新鮮、物語に新しい化学反応を生みました。
新シリーズでは、天才エンジニア役のイモトアヤコ、ライバル企業の社長を演じる古舘伊知郎など、さらに各界から個性派が登場。キレ者を演じる吉本新喜劇の座長・内場勝則も気になります。
 

視点4:躍動感あふれる濃厚な2部構成!

『義母と娘のブルース』や『ハゲタカ』などでも見られる2部構成。視聴率を上げるための画策かもしれませんが、「わかりにくいから理解するために集中して観るドラマ」ではなく「おもしろすぎて、気が付くとグッと集中して観るドラマ」の3か月は、途中で息があがりそうです。いったん「よし!」と歓喜してホッとする瞬間があるから、さらなる高みを目指すこととなる後半戦も集中して楽しめるのです。裏を返せば、大した内容でもないのに2部構成にすると、脱落のきっかけになってしまうケースもあるということ。『下町ロケット』は途切れることのない躍動感で完走することができました。
 

視点5:360度全開!圧巻の悪役

どこから見ても「嫌なかんじ」のヒールに徹した演技も作品を盛り上げました。不敵な笑みの世良公則、負けたときの悔しがり方が絶妙だった東国原英夫、嫌味と皮肉が止まらない篠井英介など、憎たらしい演技を見るたびに「佃製作所がんばれ!」の気持ちが高まりました。
 

視点6:遊び心にクスッとできる

2017年に放送された『陸王』の最終回で開催されたマラソン大会のスポンサーとして『下町ロケット』に登場した大企業・帝国重工の名が映り、ネット上もざわめきました。今回もどこかに何かが隠れている、あるいは、将来どこかにつながっていく、そんな発見がありそうです。遊び心を感じる演出があると、ドラマを身近に感じられ、なんだかうれしいものです。
 

新シリーズ『下町ロケット』はココに注目して観たい!


TBS公式 YouTubooより

■ロケ地、新潟県燕市の美しい風景を堪能する
今回のロケ地は新潟県燕市。トラクターや稲穂の風景に心が洗われます。燕市のホームページにも撮影の様子が紹介され心が和みます。美しい夕陽も、ぜひ楽しんでください。


■とにもかくにも”総力戦”がすばらしい
佃製作所社長の佃航平(阿部寛)は常に前を向く信念の人です。しかし、決して一人で闘ってはいません。一人の大活躍で物語が進まないのが『下町ロケット』の素晴らしさ。
今回のポスターに映っているのは主人公を含め13人。前回は7人ですから、下町ロケットに世界がさらに広がったようで、うれしくなります。

また、しっかりエキストラを見せるのも日曜劇場流。エキストラを生かす福澤克雄の演出も見どころです。たくさんのエキストラが参加する現場の準備は本当に大変ですが、手間暇をおしむことなく現場をつくる空気は下町ロケットのHPからも伝わってきます。総力戦の楽しさは、こんなところにも感じられます。


■やっぱり気になる!佃航平の闘い方
農業が抱える問題とビジネスに群がる企業のかけ引き、今回も現在社会を鮮明に掘り下げます。ベンチャー企業や共同開発のほか、メディアや政治といったさまざまな立場が絡み合い、社会構造のもろさも見えてきそうです。町工場のプライドと下町の温情を合わせ持つ佃航平が、そんな「今」をどう闘うのか、何を決心しどう奮い立っていくのか、しっかり見守っていきましょう。


■さらにパワーアップ!豪華なキャストの迫真の演技
「ガウディ編」での臨床審査を承認する機関であるPMEAの面接時、技術者としての熱い想いを語り視聴者の心を熱くした佃製作所の立花洋介(竹内涼真)や、裁判に立つ父のためにシャツをアイロンがけした主人公の娘・利奈(土屋太鳳)など若い世代の熱い気持ちに、胸がふるえた前作。そんな2人は職場を大きく支える立場へ成長しているはず、再会が楽しみです。また、安田顕、吉川晃司、朝倉あき、木下ほうかといった親しみのあるキャストの登場や、中村梅雀、六角精児、馬場徹、坪倉由幸といった注目のバイプレイヤーの演技にも期待が膨らみます。

『下町ロケット』(日曜よる9時/TBS系)は10月14日スタート。25分の拡大版です。


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