お金の悩みを解決!マネープランクリニック/30代シングルの方のお金悩み相談

38歳、貯金75万円。奨学金返済のため副業を2つ。疲労困ぱいです…… (2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、奨学金返済のため、本業の他に家庭教師のアルバイトと夜間勤務を掛け持ちで行っている38歳のシングルの会社員女性。しかし、その結果、疲れが蓄積し、身体的にもつらいとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 健康最優先に考え、副業は辞める

ご相談、拝見しました。現状のみかんさんにとって、もっとも避けるべきは「働き過ぎ」によって健康を害することです。したがって、健康を最優先に生活を切り替えなくてはなりません。つまりは副業を辞めることです。

しかし、家庭教師のアルバイトは今年度の受験が終わるまで継続しなくてはなりません。すぐに辞めることができるのは、勤務先の夜勤勤務となります。勤務先の事情もあると思いますが、少なくともしばらくは夜勤を断るようにしてください。
 

アドバイス2 奨学金は今すぐ完済してしまう

さて、副業をしているのは、奨学金をより早く返済することが、主な理由です。ならば、今すぐにでも完済されてはどうでしょうか。残債は50万円。手持ち資金が75万円ですから、割合としては大きな減額となりますが、さほど心配はいりません。半年程度で貯蓄額は元に戻ります。車検が重なり、全額がきびしいならば、先に月6万円返済の方(残債38万円)だけで完済し、残りは冬のボーナスで返済してもいいと思います。

仮に夜勤と家庭教師、ともにアルバイトを辞めると、毎月の手取額は26万円。一方、支出は奨学金の返済がなくなりますから、月19万7000円となり、黒字額は一気に月6万3000円となります。また、ボーナスから奨学金の繰上返済に充てていた分も不要になりますので、それ以外の支出内訳が昨年と同様であれば、45万円が貯蓄に回せます。つまり、年間の貯蓄額は約120万円。60歳まで22年間継続すれば約2640万円。退職金がおそらく500万円程度はあると思いますので、計3140万円となるわけです。

今後の大きな支出としてはクルマの買い替えがあります。希望車種を新車で購入するとして、60歳まで2回繰り返せば、諸経費込みで計600万円。結果、手元に残る資金=老後資金は、およそ2500万円になります。

60歳以降の再雇用が可能ということ。ずっと厚生年金に加入していること。そして現状の生活費から類推すれば、それなりに老後をカバーできる金額だと考えます。
 

アドバイス3 しっかり貯蓄目標も決め、趣味も楽しむ

また、趣味にかかるコストについては、問題ないと思います。それどころか、音楽ライブやドライブについて「(楽しむことは)欲張りかもしれない」と考えてはいけません。もちろん、いくら使ってもいいわけではありませんが、しっかり予算を組んでその範囲内で楽しむことは、むしろ継続したい部分です。

将来を考えて節約、節約では息が詰まります。毎日を豊かにし、そして楽しむことが、結局は明日の貯蓄につながるのです。希望するクルマも車両価格だけを見れば、贅沢の部類でしょう。それでも、それが生活の張りや貯蓄のモチベーションになりますし、なおかつ買えない額ではないので、程度のいい同車種の新古車を探すなど工夫の余地もありますが、あえて反対はしません。

今後にもしも不安があるとすれば、気の緩みでしょうか。奨学金を完済すれば、家計には余裕が生まれます。アルバイトをしなくても趣味を楽しめますから、そこで自然と支出が増えて、気がつくと貯蓄が思うように増えていない。そういった例は、ままあることです。

みかんさんの場合、奨学金完済後であれば、今の生活費を下げることなく、年間100万~120万円を継続的に貯蓄できるだけの下地は十分にあります。ですから、貯蓄目標をしっかり決めて、工夫しながらその範囲内に支出を収める。貯蓄や生活費のバランスという意味では、奨学金の返済に充てていた部分を極力貯蓄に回し、趣味のコストも今より削らない、そういう家計管理が望ましいでしょう。

保険については、病歴があり、新たに医療保険の加入が難しいとのこと。医療保障については、共済に加入が可能かどうかを確認してみてください。無理なら、かかる医療費は貯蓄から捻出すればいいのですから、現状のままでも構わないでしょう。
 

相談者「みかん」さんから寄せられた感想

大変興味深く拝見致しました。とても細かく考えて頂き感謝です。何かあったら備えていないと怖いな、という思いから貯蓄から奨学金を捻出することは考えていませんでした。でも、客観的に見ると大丈夫な気がしてきました。健康面からも貯蓄から奨学金を完済し、夜勤バイトは辞めようと思います。これから羽を伸ばし過ぎず(気の緩みが出ないように)、メリハリのある家計管理を実践し、趣味を楽しみながら人生を豊かに過ごしたいです。ありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など





取材・文/清水京武

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