キャリアプラン

突然の「転機」も乗り切れるキャリアアップ術

人生に「転機」はつきもの。転勤や異動などの仕事に関わる転機以外にも、結婚、育児、介護、病気などによっても、私たちの「働き方」は様々な影響を受けます。全ては予測できなくても、あらかじめ対応策を練ったり、乗り切る「コツ」を知っていれば、その影響を最小限にすることは可能です。突然の「転機」にも慌てずにキャリアアップを目指す極意とは?

いぬかい はづき

執筆者:いぬかい はづき

仕事に活かせる資格ガイド

突然の「転機」にも慌てないキャリアプランニングのコツ

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人生の転機にも慌てないキャリアプランニングとは?


人生100年時代と言われる中、キャリアプランニングについても中長期的な視点が欠かせませんが、私たちの人生には多くの転機がつきもの。転勤、異動など、直接仕事に関わる転機以外にも、結婚、育児、介護、病気など、人生に起こる様々な転機によっても、私たちの「働き方」は影響を受けることがあります。 もちろんすべての転機を予測することはできません。

しかし、あらかじめそれに備えて対応策を練ったり、転機によって引き起こされる変化を上手に乗り切る「コツ」を知っていれば、その影響をコントロールすることは十分に可能です。今回は、アメリカのキャリアカウンセリングの専門家、ナンシー・K・シュロスバーグが提唱した転機についての理論から、どんな転機に慌てないキャリアプランニングのコツをご紹介しましょう
 

「転機」には2種類ある

ひとことで人生の「転機」と言っても、その特徴によって2種類に分けることができます。

■イベント(ある出来事が起きること)
就職、昇進、失業、転職、結婚、育児、介護、病気など、皆さんが「転機」として思い浮かべるものはだいたいここに入ります。 さらに、これらのイベントは、就職、転職、結婚など、ある程度自分の意志で起こすものと、病気や死別など、必ずしも自分の意志とは関係ないものとに分けることができます。その違いによっても「転機」の影響の度合いは変わり、一般的には自分の意志で起こすイベントよりも意志とは関係なく起こるイベントの方が影響は大きく出やすいと考えられます。

■ノンイベント(予期したことが起きないこと)
一方、こちらは「起きてほしかったことが実現しなかった」を意味します。希望していた職業に就けなかった、期待していた昇進がなかった、ふさわしい結婚相手に出会えなかったなどがこれに当てはまります。 変化という意味では、「出来事が起きなかった」ノンイベントよりも、「起きた」イベントの方が大きいと言われますが、それでもノンイベントも、皆さんの人生に大きな影響を与えるものです。

例えば、結婚や育児を想定してキャリアプランニングを立てていた人にそれが「起こらなかった」場合、働き方や生活環境なども含めた見直しが必要になる、という具合です。
 

「転機」がもたらすさまざまな「変化」

「転機」は通常、以下の4つのうち1つないし2つ以上の変化をもたらすと考えられます。言い換えるなら、このような変化をもたらす出来事こそ、あなたの「転機」だということです。
 
  1. 役割の変化
  2. 人間関係の変化
  3. 日常生活の変化
  4. 自分や世の中に対する考え方の変化

例えば「就職」という「転機」を考えてみましょう。まずは、これまでの「学生」という役割から「社会人」「企業人」「部下」などの変化が起こります(役割の変化)。当然、それまでとは異なる人間関係が始まりますし(人間関係の変化)、起床時間や利用する交通機関、お金の使い方など生活も一変します(日常生活の変化)。仕事人として自己評価が変わったり、世の中を経済論理で見るようになるなどの変化もあるでしょう(自分や世の中に対する考え方の変化)。

このように一つの「転機」は、あなたの人生のさまざまな側面に変化をもたらします。変化自体は悪いものではありませんが、時には強いストレスになったり、変化についていけない事態が起こることもあります。 そこでこうした「転機」に伴う変化をうまく乗り切るために、適切なノウハウを身に着ける必要があるのです。そのノウハウをご紹介しましょう。
 

「転機」を乗り越える ー影響度を見極めて戦略を立てる

<ステップ1>「転機」の影響度を判断する
「転機」によってもたらされる「変化」を克服して、適切に「転機」を乗り越えるためには、まずその「転機」が、あなたのキャリアプランニングにどの程度の「変化」をもたらすか、見極めることが大切です。その判断の基準は、以下の2つです。

①「転機」そのものの状況を評価する
「転機」は、
 
  1. 深刻さ
  2. タイミング
  3. コントロール可能かどうか
  4. 持続性(期間)

の4つの視点で評価することができます。例えば、家族との死別は一般的に深刻さとしては大きいものですが、そのタイミングが、仕事が順調な時期と会社の倒産で失業中とでは、影響は変わってくるでしょう。 反対に、深刻さとしてはさほどではなくても、長期間続くことで影響が大きくなっていくということもあります。 子どもの独立や退職など、ある程度予測ができ、時期や方法を自分でコントロールできる「転機」では、変化への備えも十分にできるので、乗り越えやすいということもあるでしょう。

②あなた自身を評価する
同じような「転機」に遭遇しても、あまり影響を受けない人もいれば、大きな変化に飲み込まれてしまう人もいます。これは、その「転機」に遭遇した本人が持つ、「対処能力」の違いによるものです。「転機」に対処する能力は、
 
  1. 人生観(肯定的or否定的)
  2. 転機への向き合い方(自己の問題or運命)
  3. 対応する能力(ストレス解消の方法、意思決定、行動)
  4. 過去の転機の経験

の4つから評価します。 この「対処能力」こそが、「転機」にによってもたらされる変化を乗り切るために利用できるあなたのリソース(資源)です。特に、過去に同じような「転機」をうまく乗り越えられた経験がある場合、その時に助けになった人(家族、友人・知人、専門家)や物的なリソース(資源=金銭、住居、所有している物など)、公的機関や所属している組織・団体からの支援などは、別の「転機」でも利用できる可能性があります。

<ステップ2>戦略を立てて実行する
「転機」の状況、自分自身、活用できるリソースや支援を把握した上で、どのように「転機」に対応するかの基本方針を立てます。具体的には今あるリソースの活用、弱いリソースの強化、新たなリソースの創出という方向性が考えられるでしょう。

例えば、二度目の「転職」なら、過去の転職活動で用いた応募書類を再利用する、持っている資格の上級資格を取る、面接のトレーニングにキャリアコンサルタントを活用する、必要な公的支援を申請するなど、状況に応じて複数の戦略を組み合わせたり、使い分けたり、場合によっては現実に即して、臨機応変に最初の戦略を変えていくことも大切です。
 

最後に

最初に書いたとおり、すべての転機を予測することはできませんが、転機によって引き起こされる変化を上手に乗り切る「コツ」を知っていれば、あらかじめ備えたり、慌てずにその影響を自分にとって好ましい方向にコントロールすることは十分に可能です。

特に時間的、精神的、身体的にゆとりがある時に、「貯蓄」や「資格・免許」など、転機の際に活用できそうではあるけれど、実際に役立つようになるまでには時間や労力が必要なリソースを準備しておくことは、キャリアプランニングの観点から見ても意味があるでしょう。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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