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音楽のためだけのパソコン?!(2ページ目)

ハードディスクトランスポートと呼ばれるパソコンがあります。音のためにはすべてをつぎ込む人々が作り出した究極のパソコンを紹介します。

執筆者:中村 伸

原理は簡単、でもノウハウいっぱい

 HDDトランスポートって結局何をしているの?と言う疑問をお持ちの方も多いのではないかと思いますので、簡単に説明をさせて頂きます。音楽の好きなパソコンユーザの中には、CDの音をMP3などに変換してパソコン内部にライブラリを作っていると言う方が結構いらっしゃると思います。HDDトランスポートは、原理はこれと全く同じですが、無圧縮のWAVファイルを使い、高級サウンドカードによってデジタル信号を取り出す、という違いがあります。つまり、搭載されたCDドライブ(PCM-S1には推奨品としてリコーのDVD+R/RWを搭載しています)から、WAV吸い出しを行い、これをHDD上にためておき、必要なときに聴きたい曲を選択して再生します。パソコンですから、音楽データの管理もお手の物ですし、インターネットを使って楽曲名データベースから曲名や演奏者などの楽曲情報を入手するのも簡単です。WAVファイルを作るのにはどんなソフトがいいとか、使用するドライブはどこのメーカのどのモデルがいいとか、サウンドカードはどれがいいとか、本当に静かなファンはどれかを無響室でチェックしたり、原理が簡単な割にはノウハウがいっぱい詰まっています。


ノウハウがいっぱい詰まった内部構造

PCM-S1誕生の秘密

 デノンの長江さんが、たまたまWAVファイル化した音楽データを再生したところ、あれ?CDから直接聞くより音がいいみたいだぞ、という発見から、長い試行錯誤の末、今日のPCM-S1が生まれたとのこと。国内の高級オーディオ機器メーカで培ったノウハウを惜しみなく投入し、オーディオマニアがやりそうなちょっとした工夫を随所に凝らしたシャシーから、長江さん、蓮見さんの熱意と努力がにじみ出ています。

 CDは元々機器による音の違いが現れにくいとされてきました。というのも、音の信号をデジタル処理して、例えエラーがあっても補正して元の音楽信号に限りなく近づけることが出来るから、ということだったからです。実際はエラー時の信号の補正が音にかなり悪影響を及ぼしたり、エラーそのものもCD1枚あたり1~2カ所というスペックのはずが、かなりエラーが発生しているらしい、ということが判明してきました。これに比較し、WAVファイルはHDD上のファイルであり、読みとりエラーがCDと違って原理的に発生しないこと、最近のパソコンであればCD1枚分に相当する650MB分のフリーメモリを利用できる環境が割と手軽に実現できるため、処理速度が追いつかないような心配も皆無に近いこと、などから、ジッターと呼ばれる時間軸のブレ、ノイズをCD対比1桁下げることが出来ることによる音の改善が非常に大きい、とのことでした。

 パソコンを自作する方なら、最近のハイパワーCPUのために大容量電源を使用するのはもはや当たり前、という事に異を唱える方は少ないでしょう。オーディオの世界でも電源、とりわけ微少な信号を扱うところと回転制御するところには、異常とも思えるほどの手当をすることが多いです。電源の影響が微細な信号の変化を生み、或いは回転制御機能が消費する電力の変化が音を汚すしてしまいます。CDのエラー補正は良い音の敵であり、これを減らす事に時間とお金をかけた結果、HDDトランスポートに行き着いた、ということでした。


HDDをがっちりくわえ込むフレーム

決してパソコンだと思わないで!

 巷、秋葉原や日本橋では、静音PCブームで、また、オーディオ機器風ケースが結構人気を呼んでいるようです。しかし、このPCM-S1は純粋にオーディオ機器である、と断言します。メールやネットサーフィンが出来ないわけではありませんが、そのようなことに使うためにこの機器を購入するのではありません。良い音を聞くためです。

 高級CDプレーヤーやアンプのごとく、充分な重量をもった、重厚なケースだけで20万円のプライスがついています。本体はオーダーメードなので、価格が変動しますが、おそらくこれを購入しようと考える皆さんなら、非常に安いと思われるのではないか、と想像できます。そして、そういう皆さんは、パソコンを自作する皆さんと似たところがあり、ちょっとした配線、ちょっとしたパーツの交換、ちょっとした工夫により、よりいっそう音が良くなるように日夜努力されている、というお話も伺いました。。

最高を求めるあなたに

 音楽を楽しむために、いくらでも投資できる方なら、きっと満足できると思います。筆者自らそう思います。イケオンさんでは毎週土曜日に定期試聴会を開催しているとか。PCM-S1をはじめとする著名な高級オーディオ機器が並んでいて、それらを聞き比べることが出来ますので、興味をお持ちなら是非出かけてみることをお薦めします。世間一般のパソコンとは全く違う世界を体験してみてください。

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