アルバイトでも税金や社会保険は給与から引かれる?
アルバイトや派遣などの収入で生計をたてているフリーター。正社員ではなくとも、一定の条件を超えると、税金や社会保険の負担がかかってきます。どんな時に何の負担があるのでしょうか? また、納付したお金が戻ってくる場合もありますよ。
フリーターの税金と社会保険料についてみてみましょう。
源泉所得税は税額表より決まる
毎月支払われる給料から「源泉所得税」などの名目で所得税が引かれることがあります。所得税は、本来1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税されるものです。ただ、一括で納税するのが高負担であるなどの理由から、会社が毎月の給料やボーナスから天引きして所得税の仮払いをしています。これが源泉徴収で、引かれる税金は源泉所得税と呼ばれます。
実際に給与から引かれる源泉所得税は、源泉徴収税額表によって決められています。
給与 → 給与所得の源泉徴収税額表(令和3年分)(国税庁HP)
ボーナス → 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和3年分)(国税庁HP)
※ 実際の税額は令和2年分も同じです
「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がカギ
この税額表で気になるのは、甲、乙と2つの税額が記されているところ。例えば、月額給与(社会保険料等控除後)金額が8万8000円未満の時、税額は甲0円、乙はその給与額(社会保険料等控除後)の3.063%。乙のほうが税負担は高いということがよくわかります。この甲乙の差は、「給与所得者の扶養控除等(移動)申告書」を会社に提出しているかどうか。この申告書は扶養親族がいるかどうか等を記入するものです。この申告書を出している人は甲、提出していない人は乙となります。
源泉所得税の負担を軽くするには、甲となれるように扶養控除等申告書を提出したいですよね。この申告書は通常は1つの会社へのみ提出できます。申告書を提出していない人は会社に確認してみてもいいでしょう。
職場に年末調整がなければ確定申告をする必要あり
正確な所得税はその年の所得にかかるわけですから、年末までわかりません。多くの人は扶養控除等申告書を提出した会社で、年末調整をしてくれます。1年間の所得に対して税額を計算し、仮払いしている源泉所得税と精算をします。源泉所得税として払い過ぎの場合は、税金が還付されます。この年末調整を受ける機会が無い場合は、所得税の精算ができていません。多くの場合は払い過ぎになっていることでしょう。この場合は、確定申告(還付申告)をして、払いすぎた源泉所得税の還付を受けましょう。この還付申告は翌年1月1日から5年間の間、提出することができます。
週20時間以上で雇用保険に加入する義務がある
税金以外にも社会保険料を負担している場合もあります。雇用保険は短時間労働者の中でも、一番加入対象となりやすい社会保険です。失業保険ともいわれる雇用保険は、加入によって、失業状態になった時に給付を受けられます。雇用保険料が差し引かれていたとしても、失業時には安心ですね。この加入条件ですが、短時間労働者でも、31日以上引き続き雇用されることが見込まれ、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば加入することになります。
厚生年金、健康保険は適用範囲拡大
平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の適用対象者が拡大され、以下の条件すべてあてはまる短時間労働者は、厚生年金保険・健康保険に加入することになりました。・週の所定労働時間が20時間以上
・雇用期間が1年以上見込まれる
・賃金の月額が8万8000円以上
・学生でない
・被保険者数が常時501人以上の企業に勤務
また、さらに2017年4月1日から被保険者数が常時500人以下の企業でも、労使合意に基づき申出をした事業所、または地方公共団体に属する事業所で、上記の条件にあてはまる人は、厚生年金保険・健康保険への加入対象者となっています。
厚生年金保険料、健康保険料ともに重い負担とはなりますが、受け取る年金額や手当などは大きな支えになることには間違いありません。
このように、フリーターでも条件がそろえば、お給料から税金や社会保険料の負担が生じます。自分が何を負担しているか、どのような保障が得られているかを確認しておきましょう。
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