個人賠償責任特約をダイレクト自動車保険につけるときのポイント
万が一を考えるのは自動車でも自転車でも一緒です
(出所:各保険会社ホームページ 2018年6月18日確認)
- A社:付帯は可能、保険金額は無制限
- B社:付帯は可能、保険金額は1億円
- C社:付帯は可能、保険金額は1億円
- D社:付帯は可能、保険金額は1億円、5,000万円、3,000万円から選択
- E社:搭乗者傷害保険の医療保険金の増額など他の補償とセットになった特約の付帯は可能、保険金額3,000万円
- F社:付帯はできない
自転車事故では、前述の神戸地方裁判所の判決の他、東京地方裁判所でも2008年に9,000万円を超える損害賠償を命じた判決が出ています。個人賠償責任特約の保険金額は少なくとも1億円以上にしたいものです。保険代理店やカーディーラーなどで加入する代理店型の自動車保険では、通常、保険金額1億円以上の同特約をつけることができますが、ダイレクト自動車保険では、それができない保険会社もありますので、注意が必要です。
同特約をつけたい場合、保険金額1億円以上で同特約をつけることができる保険会社から選ぶ、あるいは、今の保険につけることができなければ、保険会社の乗り換えを考えるというのも選択肢となるでしょう。
なお、自動車保険に同特約をつけた場合に注意すべき点も挙げておきます。
車に乗らなくなって自動車保険を解約すると、一緒に個人賠償責任特約も無くなり、他の方法で補償を確保する必要が生じます。また、更新時に補償内容を変更する、あるいは保険会社を乗り換える場合は、新しい保険にも同特約をつけることを忘れないようにしましょう。
他の保険の個人賠償責任特約もチェックしよう
個人賠償責任特約を自動車保険につけない場合には、加入している火災保険や傷害保険に同特約をつけることが考えられます。また、医療共済に追加して加入できる個人賠償責任保険を用意している共済もあります。これらの方法を選択する場合、必ずチェックしてほしいのが「示談交渉サービスの有無」です。損害賠償事故には加害者と被害者がいます。当事者同士が冷静に話し合いを行い、示談交渉を進めるのは簡単なことではありませんが、個人賠償責任特約では、損害賠償請求を受けたときに保険会社が示談交渉を行ってくれる、示談交渉サービスがついたものが多くなっています。ところが、例えば火災保険では同サービスがついていない商品が以前は主流で、現在でもついていない商品があります。同サービスの有無は必ず確認しましょう。
また、そもそもですが、新たに同特約をつけようという人は、重複してしまわないよう、これらの保険で既につけていないかを確認しましょう。同特約は、日常生活賠償責任補償特約、日常事故賠償責任補償特約などのように、異なる名称を使用している保険会社もありますので、保険証券などで確認するときには注意が必要です。
警察庁交通局が発表した「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」によると、自転車運転者による対歩行者死亡・重傷事故のうち、損害賠償責任保険等の加入が確認された自転車運転者は 60%にとどまり、未加入が28%、不明が12%にも達したそうです。自転車保険に加入しなくても、個人賠償責任特約を自動車保険などにつけることで、日常生活での損害賠償責任が幅広く補償され、自転車に乗っていて他人にケガをさせてしまった、あるいは止まっている車に傷をつけてしまったというような自転車による加害事故も補償されます。保険料負担もわずかなため、ぜひ検討してほしい特約です。
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