●製造原価にまつわる実性能の問題
一昨年くらいから、統合チップというものが日の目を見るようになりました。これは何かというと、従来はパソコンに拡張ボードを搭載して実現していた機能を、パソコンの機能コントローラと言ってもいい、チップセットに内蔵してしまったものです。チップセットとはCPUの周りや周辺機器とのインタフェースを司るIC(群)のことで、今どきのパソコンには大きなIC(と言うかLSI)が1個又は2個搭載されています。最新型は発熱も大きく、ファンを背中にしょったものも見られます。そして、このチップセットにサウンド機能やLAN機能、ディスプレイアダプタ機能などを盛り込んでしまったものが統合チップと呼ばれるものです。わざわざ別々の部品を組み合わせるより、ずっと安くパソコンを作ることが出来ますので、大手メーカー製の安価なシステムは殆どこれらの統合チップを採用しています。
もう一つ、メモリの問題がこのチップセットに絡んできます。Pentium時代の後半から、Pentium !!!までは、主流のメモリがSDRAMと呼ばれるものでした。時代に従い、だんだんと高速なものになっては来ましたが、一時期の普及状態から一気に安くなり、他のメモリが太刀打ちできない状況を作ってきました。ここへ来てより高速なメモリへと移行が進んできてはいるのですが、大手メーカー製パソコンではまだまだ大半がこのSDRAMメモリを使用しています。
これは値段の問題が大きく影響しています。SDRAMに取って代わるといわれたDRDRAMは、Intelの失敗により主流から大きく外れ、今後はごく限られた用途でのみ使用されるようになるといわれています。Intel以外のチップセットメーカーが推したDDRDRAMは、DRDRAMに匹敵する性能を持っています。製造コストはSDRAMと大差なく、メモリメーカーにしてみればDDRDRAMへスムーズに移行して欲しいと言うのが本音です。IntelもこのDDRDRAM対応システムを出してはいるものの、その前に出したSDRAMに対応したシステムがうんと安いことも手伝って、メーカー製SFFパソコンではSDRAM搭載のものが多くなってしまっています。
最近多く見られるPentium 4を搭載したSFFパソコンは、SDRAMを搭載したPentium 4/1.6G程度のものが多いようです。SDRAMとDDRDRAM若しくはDRDRAMのパソコンを比較すると、速度比較で2割から3割低くなると言う話を以前にしました。ということは、1.6GのPentium 4が1.3G程度の性能しか出ないということになります。Pentium 4で1.3G相当ということは、Pentium !!!なら1G程度の性能になってしまいますので、結局、安くなったPentium !!!の1GモデルやCeleronの1.2G~1.3Gを求めた方が良くなってしまう事も考えられます。
この点も4ページ目の比較表を見ると明らかですが、VALUESTARの場合、VT700とVT500ではクロック数が700MHzも異なっているのに、実際には1ランクしか速度レンジが違わないということになります。