●もっとパワーを!
パソコンの歴史は、高速化の歴史と言っても過言ではないでしょう。もっと言うと、コンピュータ全般に、計算能力の向上は至上命題として存在していました。電卓用のプロセッサとして生まれたマイクロプロセッサ、すなわちパソコン向けCPUは、つい最近までそれを利用するシステムのソフトウェアの肥大化と競争するように高速化の一途をたどってきました。つい最近、CPUの進化はソフトウェアの肥大化に追いついた感はありますが、それでも人々はさらなる高速化を求め、Pentium 4やAthlon XPといった、最新CPUが搭載されたパソコンを買い求め利用するに至っています。
ところが、このような最新パソコンをどんどん更新できる状況の方は、世の中では少数派として他の大勢のユーザーから羨ましがられているのもまた事実でしょう。筆者のような、長くパソコンとつきあっている方ならなおのこと、手元には何年か前からのパソコンが複数台残されている場合が多いようです。そうでなくてもやっとの思いで購入した最新パソコンが、瞬く間に旧型機になったり、大幅値下げされてバーゲン価格で売られているのを見て、がっかりした記憶をお持ちの方も多いと思います。
今回のクローズアップでは、このような思いをされた方や、大蔵省がうるさくて新しいパソコンは買えないけれどそれなりにパワーアップしたいという方向けの、筆者サイトコンテンツでは初めて、パソコンの改造、自作系の話題を取り上げていきます。
●PL-iP3/T
パソコンを改造してパワーアップしたいという欲求は何も最近の話でなく、マイクロプロセッサが産声を上げた当時からいろいろ行われてきました。今のようにWindows全盛になる前、国民機と呼ばれたNECのパソコンを改造するのが当時のパソコン通信で大きな話題になりました。それまでの時代は、購入したパソコンにメーカー純正のオプション以外を搭載するようなことは、サードパーティーの実験室やよほどのマニアでもなければ行わなかったのですから、まさにパソコン文化がひっくり返るような快挙だったといえます。
その後、日本でも購入したパソコンをいじってパワーアップするということが当たり前のように行われ、また、パソコンのパワーアップをもう少し押し進めた形として、パソコンの自作ブームがやってきたのは、多くの方が実際に経験なさっているかと思います。そのような中、大手パソコン周辺機器メーカーであるアイオーデータさんやメルコさんなどでも、メーカー製パソコンに限って、CPUのパワーアップ用アクセラレータを製造、出荷するようになりました。ところがこれらアクセラレータは、自作向けに販売されている単体のCPUやアダプタを買うより結構高価だったりしましたので、直接CPUを載せ替えられるケース以外では、自作のメリットであるシステムボード交換という荒技で対応する方も多くいらっしゃいました。
というのも、メーカーのマーケティング戦略上の事由かと思いますが、二世代以上のパワーアップは行えないような細かい仕様変更をCPUに施したり、物理的に交換不可能なように形状の変更などを行ってきたからです。ところが人間の欲望としては、パソコンの機能としての設計上の問題さえなければ、出来れば以前のシステムでもこれら同系列のCPUが利用できると大変うれしいわけです。そこで、電圧変換アダプタとか、形状変更アダプタがもてはやされました。それらの中でも今回ご紹介するPowerLeap社の自慢のアダプタは、Pentium !!!/Celeron系のスロット1搭載システムをソケット370へ変換させることができる、大変な優れものといえるでしょう。
筆者は秋葉原のショップで購入しましたが、本体アダプタ、電源ケーブル、簡単な説明書、フロッピーが一枚と、かなり寂しい布陣でした。と見ると、CPUを冷やすクーラーが入っていません。おや大変。筆者が同時に購入しようとしているCeleron1.3GHzはCPUに付いてくるクーラーがありますが、大変大きくてちょっと見ると搭載可能には思えませんでした。
恐る恐る実物を当ててみると、なんと、すれすれでセーフ!ちゃんと考えられているものだなぁと、感心してしまいました。