こたえのない永遠のテーマを描く医療ドラマ
医療ドラマのおすすめ11選!
常に視聴者の熱い視線が向けられる医療ドラマ。病院を経営する院長を中心に家族や病院のザワザワを笑いあり涙ありで描いた人気シリーズ『野々村病院物語』が1981年に放送されてから約40年、進化を続ける医療ドラマは、医療とは何か、命とは何かを様々な角度から私たちに見せてくれました。
最近ではオペシーンのリアリティーに加え、イラスト付きの解説や壮大な音楽でショーアップされる楽しさやミステリー要素も加わり、さらに奥ゆきを増しています。しかし、見せ方は違っても、いつも私たちに命の尊さを教えてくれることは変わりません。
克明に描かれる救命の現場に、医師たちの魂を見る
1.『救命病棟24時』(1999年/フジテレビ系)
孤高の外科医・進藤一生(江口洋介)を中心に救命救急を支える医療の現場を描いた人気シリーズ。病院における権力闘争、首都直下地震、救命現場の人員不足など、シリーズごとに問題提議するつくり手の真摯な姿勢は視聴者の胸を熱くしました。
刻一刻を争う救命現場の集中力や、何人もの患者に向き合う切り替え力は『救命病棟24時』シリーズならでは、プロの現場を堪能できます。60分にギュッと詰まったいくつものエピソードは、脚本、演出、俳優、すべてのパートがうまく調和し、「30分しかないんじゃない。30分もある。そう考えるのが救命医療」という進藤医師の言葉を実感できます。
全シーズンの主題歌はDREAMS COME TRUE。力強いメロディーを聴くと今も勇気に満ちあふれます。
美しさと厳しさと 孤島医療を切実に描く
2.『Dr.コトー診療所』(2003年/フジテレビ系)
沖縄の孤島に赴任した都会の医師・五島健助(吉岡秀隆)が、島民と心を通わせながら、島の医療を懸命に支える姿を描いた心和む秀作。
ロケ地となった与那国島の青い空と青い海を見ているだけでも、日々の雑念から解放され心が洗われます。美しいだけでなく自然が脅威となる厳しさも鮮明に映し、視聴者を引きこみました。
過度な演出をしない治療シーンや、素朴で人間性豊かな主人公に好感を抱く視聴者も多く、だからこそ、私たちはやさしい気持ちになれたのかもしれません。五島先生の聞く姿、悩む姿には、患者に寄り添う医師の原点を感じます。島の風景はもちろん、温かくたくましい島民たち、未来を想う少年にも癒やされてください。
絶対的な組織の闇と医療のあり方にせまった超大作
3.『白い巨塔』(2003年/TBS系)
原作は巨匠・山崎豊子。妻たちを巻き込んだ巨大病院における権力闘争や、誤審裁判を通して浮き彫りになるインフォームドコンセントの重要性など、重厚なテーマを徹底的に掘り下げた社会性が大きく注目されました。
フジテレビ開局45周年記念ドラマ版は最終回で視聴率32.1%をマーク、ドラマ史に残る大作となっています。人間の欲望と野望、貫く正義など、壮大な世界観を唐沢寿明、江口洋介、石坂浩二、伊武雅刀、西田敏行、池内淳子といった実力派の俳優陣が迫真の演技で表現しています。
佐藤慶版(1967年)、田宮二郎版(1978年)、村上弘明版(1990年)に続く4作目のテレビドラマですが、過去作と比較すると医療の進化やそれに伴う演出の変更も確認でき、時代の流れを感じます。
スターチームの登場に、新しい医療ドラマがはじまる
4.『医龍-Team Medical Dragon-』(2006年/フジテレビ系)
外科医・朝田龍太郎(坂口憲二)がバチスタ手術に挑むためのチームをつくり上げる物語。
バチスタ手術をスリリングかつダイナミックに演出、イラスト&解説付きの専門用語や躍動感あふれる音楽、わかりやすい善と悪、権力を嫌う孤高の医師など、エンタメ要素をふんだんに盛り込み、その後の医療ドラマの先駆者的存在になった作品とも言えます。
スーパーチームの結成はもちろん、ワケアリの医師たちが覚醒し再生していく背景に見える深い人間ドラマも視聴者を楽しませました。金髪に黒いアイマスクが印象的だった麻酔医・荒瀬門次(阿部サダヲ)の台詞「はい 落ちた」も話題に。エンターテインメントとして医療ドラマを進化させた怪作です。
医師だって迷う。だから成長し続ける。
5.『コードブルー -ドクターヘリ緊急救命ー』(2008年/フジテレビ系)
『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』/ 出典:Amazon
ドクターヘリの現場で成長する若き医師と看護師の物語。山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、5人の若い俳優による等身大の熱演に熱い涙がこぼれました。
一瞬の迷いが命を左右する緊急の現場で求められるスキル、救える命ばかりではない現実、医療現場の厳しさや限界を躊躇なく見せるところに『コード・ブルー』の素晴らしさがあります。
治療方法のみならず、スタッフの配置、他部門とのオペレーションなど瞬時に決断していく緊張感や臨場感があふれる映像は秀逸。医師として成熟していく姿とともに、自分を見失いそうになる苦悩や、仲間との距離感など、若者としての姿が生き生きと描かれている点も魅力です。青春群像劇の側面が光る新鮮かつ清々しい快作です。
医療現場に見る人間の業とミステリーを解き明かす
6.『チーム・バチスタ』シリーズ (2008年~/フジテレビ系)
原作は海堂尊の医療ミステリー。心療内科医の田口公平(伊藤淳史)と官僚の白鳥圭輔(仲村トオル)が、医療現場の謎に迫ります。
一話完結の医療ドラマが多いなか、ひとつの謎を追い続ける展開は、視聴者の「どうなる?」を二転三転させ、飽きさせません。医療現場の盲点を突いた斬新な犯罪と田口&白鳥コンビのドタバタ感。大人の辛さと可笑しさがミステリーを彩ります。
毒多き白鳥と人に寄り添う田口が浮き彫りにする事件の本質こそが作品のテーマ、原作とは違う結末や登場人物の見せ方も楽しめます。
終末医療にやさしく吹く風
7.風のガーデン(2008年/フジテレビ系)
麻酔医の白鳥貞美(中井貴一)が故郷の富良野で人生の終末を迎える物語。終末医療、緩和医療を通して、人生のあり方を考えるという重たいテーマに、脚本家・倉本聰の温かい視点が光ります。
スピード感ある医療ドラマが多いなか、時間の流れはゆるやか。老い、離婚、死への恐怖など、どうしようもない哀しみをやさしくつつむブリティッシュガーデンと、貞美の父で医師の貞三(緒形拳)のユーモアあふれるたくさんの花言葉、「わが青春のイングリッド・バーグマン(カサブランカ)」「星屑のバーゲンセール(バーベナ・ハスタタ ホワイトスピアーズ)」……が心を豊かにしてくれます。作品に登場した新富良野プリンスホテルの「風のガーデン」は今も富良野を彩りやさしい風を届けています。
古き時代の、未来への熱い想いに胸がふるえる
8.JIN-仁ー(2009年/TBS系)
脳外科医の南方仁(大沢たかお)がタイムスリップした幕末の江戸で、医療に尽力するファンタジー作品でもある『JIN-仁-』は、未来に希望をつなぐ人間の強さを教えてくれます。
緒方洪庵(武田鉄矢)をはじめ医療の発達に力を注いだ仁友堂の人たちや、坂本龍馬(内野聖陽)、勝海舟(小日向文世)、中岡慎太郎(市川亀治郎)など、国づくりに懸命に貢献した人物たちの想いにふれるたび胸が熱くなり、今を生きる尊さを痛感します。
最高の笑顔を見せる少年・喜市(伊澤柾樹)、のちに女医を志す咲(綾瀬はるか)、花魁・野風(中谷美紀)など、未来へ継ぐために必死に生きた子どもや女性の存在も忘れられません。
何ものにもとらわれない強さが痛快!
9.『ドクターX~外科医・大門未知子~』(2012年/テレビ朝日系)
フリーランスの外科医・大門未知子(米倉涼子)が大病院に所属しながら、組織のしがらみや忖度に埋もれることなく、難しい手術を成功させていく痛快活劇。
わかりやすい物語の展開とイエス・ノーを明言する未知子の生き方に憧れや共感を持つ視聴者が続出。奥歯にものをはさむことなく、長いものに巻かれることなく、自分の判断を貫くたくましさは見ていて気持ちがいいものです。
権力闘争にあけくれる医師たちをギャフンと言わせるスカッと感と、錚々たる俳優陣が演じる悪党たちのトホホ感はシーズンを重ねるごとにパワーアップ、未知子の快進撃に視聴者は湧きました。
高いヒールにミニスカートの医師らしからぬ出で立ちと、社会現象にもなった「いたしません」「私、失敗しないので」の名セリフを、老若男女が口にしたユーモアたっぷりの国民的ドラマです。
生命の誕生に涙があふれる
10.コウノドリ(2015年/TBS系)
児童養護施設で育った産婦人科医の鴻鳥サクラ(綾野剛)が「生むこと」「育てること」の背景に深刻な問題に直面しながら、チームとともに全力で赤ちゃんとその家族を支える感動作。
命の誕生を忠実かつていねいに描いていること、生むこと&育てることから生まれるシビアな問題をまっすぐに取り上げていること、地域社会の連携など現実問題をリアルに映し、力強く未来を提言していることが『コウノドリ』の魅力。同じ目線で視聴者に問いかける姿勢に好感が持てます。
かけがえのない命の誕生に立ち合える仕事は尊く、その感動を届けてくれる『コウノドリ』は、赤ちゃんや子どもたちの笑顔が本当に美しい作品です。
成長する彼とともに成長する私たち
11.グッド・ドクター(2018年/フジテレビ系)
サヴァン症候群の新堂湊(山﨑賢人)が小児外科医の研修医として成長する物語ですが、見るべきは、彼と一緒に働く医療現場のスタッフや患者の家族もまた、大きく成長していく姿。
小児科病棟で入院生活を送る子どもたちのつながりを見るたびに、胸に熱いものがあふれます。そんな彼らに違和感なく溶け込んでいる湊先生を伸び伸びと演じる山﨑賢人の透明感も、私たちを笑顔にしてくれます。
「すべての子どもを大人にしたい」のシンプルかつ強い意志は、少しずつ少しずつ、やがてたくさんの人を大きく動かすはず。小さな奇跡がやがて大きな奇跡となる人生の素晴らしさを実感できます。湊先生の指導医でもある瀬戸夏美(上野樹里)の、彼に何かをわかってもらおう、何かを伝えようとする時の愛にあふれた言葉にも注目してください。
看護師が活躍するドラマも見逃せない
医療ドラマで活躍するのは医師だけではありません。私たち患者に寄り添う身近な看護師を描いた作品にも、見どころがいっぱいです。
昼の時間帯に放送していた『いのちの現場から』(1999年)は”看護”の視点を追及した人間ドラマ。若葉会総合病院の看護師を描いて大人気となった『ナースのお仕事』(1996年)は、人としてピュアに医療に向き合う朝倉いずみ(観月ありさ)と先輩看護師の尾崎翔子(松下由樹)が、明るく私たちを楽しませてくれました。2002年には男性看護師の高沢裕次郎(松岡昌宏)を描いた『ナースマン』も登場、医師のドラマに比べ親近感がわきます。
【関連記事】