お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

39歳貯金500万。残業代のない月は貯蓄できず焦る(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫の残業代の有無で貯蓄が左右されてしまうことに焦りを感じているという39歳の主婦・パートの方。しかも、ボーナスからは5万円しか貯蓄できず、自分の家計は適正かどうかを知りたいとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 教育資金2人分を用意することは可能

まず今後のキャッシュフローを試算してみましょう。

貯蓄は財形貯蓄と定期預金の積立が月6万円。ボーナスからの貯蓄は5万円ということですから、貯蓄額は年間77万円。ただし、収支データでは毎月の黒字額は6万円ではなく約4万円ですから、実質の貯蓄は年間53万円ということになります。ただし、4年後からはお子さんの歯の矯正費用がなくなり、ボーナスから捻出している24万円がなくなりますので、それを全額に貯蓄に回すことができれば、貯蓄額は年間77万円に増えます。

支出で考えておくべきは教育費ですが、まず学資保険で満期金200万円×2人分=400万円が用意できます。また、先の貯蓄ペースで10年間貯蓄すれば計700万円。私立文系で大学にかかる費用は平均390万円、理系で520万円ですから、今ある貯蓄を取り崩さず、大学費用は用意できることになります(ただし、自宅通学の場合)。

さらに、ご主人の定年まで貯蓄をしていくと、教育費がなくなりますので、今ある貯蓄分500万円と合わせて1700万円となります。

とは言え、ふーちゃんママさんも心配されているように、今後、通信費や教育費が増える可能性は十分あります。また、クルマを2台所有されていますが、60歳までに何回買い替えが発生するでしょうか。車種や使用頻度にもよりますが、もちろん、今後ご主人の昇給もあるでしょうが、それでも定年までに手元に残る資金は1000万円程度になるかもしれません。ともあれ、この手持ち資金に退職金を加算した額が、ご夫婦の老後資金ということになります。

これが足りるかどうかは不確定要素が多く、何とも言えませんが、生活費に対して公的年金だけでは不足する額を老後資金で補うと考えれば、仮に毎月5万円不足すれば、90歳までの30年間で1800万円。これに加えて予備費(長生きリスク、住宅リフォーム、入院・介護リスクなどに備える)も当然必要です。加えて、年金支給は65歳からですから、それまでの5年間、収入がなければ生活費の全額を老後資金から捻出しなくてはいけません。
 

アドバイス2 月3万円は貯蓄ペースをアップできる

家計が一般的に適正かどうかの判断は難しいですが、家計を見直すことでもっと貯蓄ペースを上げることは可能です。

現状の家計ですが、頑張って管理されていると思います。住宅ローンを抱え、小学生のお子さんが2人いて、月4万円ほど貯蓄をしているのですから、悲観する内容ではまったくありません。では、さらに貯蓄を増やしていくにはどこを見直すべきなのか。

実は、家計の中で突出して高い支出費目はありません。しかし、目立ってコストを抑えた費目もありません。しいて言えば、どの費目も少しずつ高いという印象です。改善策としては、支出の中で優先順位の低いものをこまめに削っていく、あるいは予算を組めるものは組んで、その範囲内でやりくりするといった作業しかないでしょう。月3万~5万円、今より生活費を落とすことを目標にしてみてください。

もちろん、何から何まで「節約」では息が詰まります。そこは上手に調整して、楽しむための予算も確保しつつ、一方で我慢するときはするといったメリハリのある家計を目指すといいと思います。
 

アドバイス3 がんに備えるなら死亡保障ではなく医療保障

支出を効果的に下げることができるのが、固定支出の見直しです。その代表が保険ですが、ご夫婦ともがんに備えたいということで、がん死亡の保障額を厚くされています。しかし、がんに備えたいのであれば、死亡保障ではなく、医療保障を確保すべきではないでしょうか。もちろん、もしものことがあれば遺族となる、そのことを心配する気持ちも理解できますが、優先すべきは治すことであり、治療費用を備えることが、家族のためにもなるはずです。

したがって、新たにがん保険に加入するか、医療保険(入院給付5000円)に加入して、がん特約やがん一時金、先進医療特約を付けることでがんに備えてもいいでしょう。

また、ご夫婦で加入している終身保険は、払済保険にします。貯蓄性も考慮して加入されたと思いますが、予定利率が低い今、必要な保障は割安なコストで確保し、資金は現金で貯めていく。この方が合理的です。
払済保険にした後は、ご主人は死亡保障1500万円を保険期間10年の定期保険で確保します。ふーちゃんママさんは死亡保障500万円、保険期間10年を同じく定期保険か、あるいは同程度の保障が確保できる共済でもいいと思います。

おそらくこの見直しで月1万5000円~2万円は保険料が下がるはずです。これだけで目標とする支出削減額の半分は達成できたことになります。

家計が毎月赤字でも、貯蓄がゼロでもないが、このままでは将来、資金的に大変なのではないか。そう感じて相談されたと思います。実は、そのような自覚があるというだけで一歩前進です。一般的に適正かどうかを気にするのではなく、今できることから始めてみてください。
 

相談者「ふーちゃんママ」さんより寄せられた感想

アドバイスを見て保険の見直しを検討しようかと考えました。自分の家計が適切なのかと不安に思うこともありましたが、悲観する内容では無いということを言っていただけて安心しました。まだまだこれから先に向けて色々な家庭の変化に対応していけるよう、少しずつ節約して対応し、今の貯蓄ペースを崩さないよう頑張ろうと思いました。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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