新築マンション着工戸数は12%減少。市街地再開発タワーに注目
不動産経済研究所発表の首都圏のマンション市場動向2017年度によれば、2017年度の首都圏の新築マンション供給戸数は、前年度比+1.1%増加の3万6837戸と4年ぶりに増加しました。一方、価格は6.9%上昇の5921万円、平米単価は7.9%上昇の86.4万円となっており供給が大きく上向かない中で着実に供給価格は上昇しています。2018年4月度の首都圏新築マンションの供給戸数は、2342戸で前年同月比14.6%減少。国土交通省発表の2017年度の建築着工統計調査報告によれば、首都圏のマンションの着工戸数は、前年度比で12%の減少となっています。
一方で、供給増が顕著なのがホテルなどの宿泊業・飲食サービス業用の建物。着工床面積は、前年度を32.2%も増加した360万平米となっており、事業採算性の高いホテルが増加する傾向にあります。また、収益不動産としての新築賃貸住宅のニーズは根強く、工事費の上昇や用地取得難の中で先行きの供給戸数が更に萎む可能性もあります。
そうした中で、注目なのが市街地再開発を活用したタワーマンションの供給です。不動産経済研究所発表の「超高層マンション市場動向」によれば、2018年以降に計画されている超高層マンション(20階建て以上)は、全国で10.9万戸と1年前の前回調査比で1.6万戸増。
首都圏は、181棟8万303戸で全国シェアは73.8%にも上ります。そのうち2022年以降に竣工するものが4万戸近くになっており用地取得が難しい中でタワーマンションの供給比重が高まりつつある傾向が見えます。
池袋エリアは、第一種市街地再開発事業によるタワーマンションの供給が活発なエリアです。中でも東池袋周辺は、エアライズタワーやアウルタワー、ブリリアタワー池袋など大規模な再開発によってタワーマンションが造られているエリアです。今春、第一種市街地再開発事業によって新たなタワープロジェクト「プラウドタワー東池袋」がスタートしています。
「プラウドタワー東池袋」は、豊島区東池袋5丁目に第一種市街地再開発事業で誕生する地上20階地下1階建ての総戸数132戸のタワーマンションです。現地は、都電荒川線の線路が近い低層住宅が建ち並ぶエリアです。
東京都では、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ、都内の木造住宅密集地域(木密地域)を「燃え広がらない・燃えないまち」にするため、10年間の集中的・重点的な取り組みで改善させる「木密地域不燃化10年プロジェクト」を進めています。
その内容は、都と区が連携した市街地の不燃化の促進(不燃化特区)、延焼遮断帯となる都市計画道路の整備(特定整備路線)、地域における防災まちづくりの機運の醸成です。豊島区では、5地区が不燃化特区に、5路線7区間が特定整備路線に指定され、事業が実施されており助成などの支援が行われています。
「プラウドタワー東池袋」の立地する沿道も特定整備路線に指定されており、補助81号線の整備(2019年度末開通予定)が進んでいます。同プロジェクトの敷地を含む東池袋5丁目は、不燃化特区に指定されています。沿道の整備が進めば、街の再生が進むことが期待されます。
角住戸比率は約85%!低層住宅街が広がる開放的な景色が魅力
「プラウドタワー東池袋」の建物は、制振構造採用の20階建て。全132邸の20階建てということもあってか、角部屋比率は約85%と高く、居住性の高い開放感ある専有部が特徴です。南側方面は、文京区の第一種住居地域が広がるエリアが続くので、将来的な眺望も期待できそうです。1階には、2層吹抜けのエントランスホールとラウンジを設け、プライバシーに配慮した内廊下設計になっています。開口部が広いのが間取りの特徴で、躯体柱をバルコニー側に出したアウトポール設計でリビングだけでなく居室も開放感があります。階高を約3.3m確保することで、リビングの天井高は最大約2.6m。採光性の高いつくりになっています。
モデルルームでは、室内からの開放感を確認することが出来ます。バルコニーの奥行きも約2m確保されており、住戸内の居心地を高めています。
住戸プランは、60.00平米~ 83.48平米の2LDK~4LDKが用意されておりタワーマンションにしては、4LDKタイプの比率が高いのが特徴。都心エリアのタワーマンションに4LDKの供給が少ないこともあり4月上旬の販売開始で、既に50戸超(5月11日時点)の申込が入るなど堅調な売れ行きを示しています。
タワーマンションにしてはスケールが大きなプロジェクトではありませんが、丁寧な住戸プランニングで中央層マンションを探しているファミリーを中心とした実需層に高い評価を得ているようです。
池袋のある豊島区は、持続発展する都市を目指し「女性に優しいまちづくり」などの柱を掲げ矢継ぎ早に対策を実施。2017年には、待機児童数ゼロを実現しています。防災公園の整備をはじめ、池袋西口地区、東池袋4丁目2番街区、「国際アート・カルチャー都市」シンボルプロジェクト「Hareza 池袋」など街の活性化につながる多くのプロジェクトが進行中。市街地再開発事業で誕生するプロジェクトも多く、既成市街地の再生に注目のエリアです。
17世紀に世界的な大都市となった江戸とロンドンは、ともに大火災に見舞われました。江戸は区画整理と広小路の整備などで対処し、ロンドンは建物をレンガや石で造ることで対処したそうです。そのことは、防災効果を上げた一方で街の固定化につながりました。
今、東京がかつてないスピードで、木でつくられた街から、鉄とコンクリートの街へと変化しています。山手線の内側の限られた場所に開放的な住まいを提供する第一種市街地再開発事業で誕生する「プラウドタワー東池袋」。好調な売れ行きも当然なのかも知れません。