お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

40代子ども3人、貯金ゼロ。これから教育費を貯めたい(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、これまで散財によって貯蓄がまったくないという40代の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 保険は必要最小限の保障に抑える

これまでの散財によって、貯蓄はゼロ。しかし、今からしっかり家計管理をしていくことができれば、大丈夫です。所得が高いのですから、それを確実に貯蓄に回すことで、ご心配の教育資金も備えることができます。ただし、想定された今後のマネープランには、いくらか見直しが必要です。具体的に見ていきましょう。

まず、相談者のゆかりさんが目標して設定した家計ですが、このとおりであれば毎月2万円、貯蓄ができることになります。これまで、毎月赤字だった(ボーナスで生活費の補てんをしていた)わけですから、貯蓄できる家計になるだけで大きな前進ではあります。

しかし、このとおり支出が抑えられるかどうかは、まだわかりません。とくに夫婦の小遣いは5000円ずつ。雑費も、定期的に発生する医療費を含めて1万円。本当にその金額で足りるかどうか。そう考えれば、見直しが可能な部分は、さらに節約を意識していくべきです。

まずは、水道光熱費。下げる工夫が必要でしょう。また、保険も見直しの余地があります。ご夫婦とも、死亡保険と団体扱いの医療保険以外は不要です。どうしてもがんが心配なら残しても構いませんが、優先順位から考えて、保障は必要最小限に抑えたい。かかる医療費は貯蓄から捻出するという発想でいいと思います。お子さんの共済も必要性は高くありません。これで毎月1万2000円ほど保険料コストが下がります。

また、ボーナスからは年間260万円のうち、200万円は貯蓄に回すとのこと。もちろん、望ましい額ではありますが、当初数年は結果的に150万円くらいと考えていた方がいいかもしれません。ともあれ、現状はボーナスがマネープランの生命線であることは間違いありません。
 

アドバイス2 マネープランのポイントは妻の定期的収入

しかし、ボーナス依存の家計はリスクをともないます。勤務先の業績等で、支給額が下がる可能性も否定はできません。したがって、今後のマネープランのポイントとなるのは、ゆかりさんの収入です。「パートの仕事を探している、収入は5万円くらい」とありますが、すぐには無理でも、いずれは「月8万円」の収入を目指してほしいと思います。

パート収入が得られるようになって月10万円貯蓄できたとします。これにボーナスの150万円を加算すると、年間貯蓄額は270万円。ご主人定年となる60歳までの17年間で、計4590万円。教育資金はお子さんの進路等によって異なりますが、大学卒業まで平均1人1000万円かかるとすると、3人で3000万円。計算上は、十分用意できることになります。

学資保険に加入するかどうかは、貯蓄することがどうしても不安であれば、保険料が口座天引きのため、それなりにメリットがあります。しかし、しっかり貯蓄できるなら、あえて加入する必要はないでしょう。

また、話が前後しますが、心配されている借金の早期返済は、金利5.4%という数字から見て、家計の優先事項であることに間違いありません。ただし、これまではまったく貯蓄ができなかったわけですから、貯蓄体質がしっかり習慣として身に付き、まとまった額の貯蓄ができるまで待ちたいところ。

もっとも怖いのは、無理に返済を急いだ結果、手持ち資金がなくなり、そこで何か大きな支出が発生した場合。結局、また新たに借り入れをすることになる可能性があるからです。

返済の目安は貯蓄額500万円。貯まった時点で、完済してしまいましょう(手元には150万円以上は残るはず)。パートを開始すれば、2年で達成できます。そしてそれは、その期間、十分貯められる家計管理ができたという証しでもあります。
 

アドバイス3 繰上返済を行うためにも「長く働く」

もうひとつ気になるのは住宅ローンです。完済はご主人73歳の時。毎月10万円の返済は、収入が公的年金だけとなると、おそらく受給額の半分近くがローンの支払いに消えます。これはかなりの負担です。

対策は、やはり繰上返済ということになります。手数料が発生しないなら、こまめな返済でもいいですし、まとまった額を数年おきに行ってもいいでしょう。完済を65歳に短縮するには、金利や行う時期にもよりますが、トータルで700万~800万円は資金が必要です。

これに借金の早期返済も加算すれば、先に試算した貯蓄額で残るのは500万円ほど。ただし途中、月4万5000円の借金返済がなくなり、それが貯蓄に回れば、60歳の時点で手元に残る貯蓄は1300万円。これに退職金を加算した額が、老後資金となります。

退職金の金額によっては、老後はさほど心配することはないかもしれません。しかし、退職金も含めて、老後までには不確定要素が多くあります。そのためにも、夫婦とも少なくとも65歳まで働く、という意識が必要。また、マネープランで行った試算は「継続して貯蓄する」ことが大前提です。

ゆかりさんは、「家計の無駄に気づき、それを削る楽しさを感じている」とのこと。貯蓄家計を目指すにはいい傾向ではありますが、ゆかりさん一人が頑張っても、長続きしません。お子さんも含めて、家族の協力が不可欠なのです。したがって、途中息切れしないように、時に家族で楽しむなどメリハリをつけながら、上手に家計管理をしてください。
 

相談者「ゆかり」さんから寄せられた感想

「今からしっかり家計管理をしていくことができれば、大丈夫です。所得が高いのですから、それを確実に貯蓄に回すことで、ご心配の教育資金も備えることができます」と言って頂き、大変励まされ、涙が出ました。今後のアドバイスに関しても、どんなふうに頑張ればいいのかが具体的にわかり、大変ありがたかったです。お財布の紐と気を引き締めて、でも頑張りすぎず家族と楽しい時間を過ごすことも忘れないように、前に進んでいきます。本当にありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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