食と健康

栄養学の本・初心者にもおすすめの基礎がわかる7冊

【管理栄養士が解説】食事や健康についての情報はインターネットでも調べられますが、栄養学の基礎を学びたいなら、まずはきちんとした書籍で学ぶのが近道です。子供と読める初心者向けから上級者向けまで、おすすめの栄養学の本7冊をご紹介します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

栄養学の本……初心者から上級者までおすすめの7冊

栄養学の本 栄養学初心者にもおすすめ

読んで体に役立つ本を読みたい人も多いと思います。ゴールデンウィークに、読書で健康に対する知識を深めてみませんか?

食事や健康について、正しい情報を身に付けたいと思っている方は多いでしょう。ネットの情報も調べものには便利ですが、栄養学を学びたい、栄養の基礎をしっかり勉強したいという時には、信頼できる書籍で学ぶのが近道です。

今回ご紹介するものは、いずれもガイド自身が本の内容に加えて一方的にでも著者を知っていて、この先生は尊敬できる、この著者の本なら大丈夫、と太鼓判を押せる本だけを集めました。

何でそんなバイアスをかけるの?と思われたら、申し訳ありません。
世の中には栄養学の本があふれているので、こうでもしないと、記事だけではご紹介しきれないほどの冊数になってしまうため、苦肉の策なのです。プロの管理栄養士としておすすめできる、確かな本ばかりですので、ぜひご覧ください。
 

栄養学の本【初心者向け】子供にもおすすめの基礎からわかる栄養学本

■いちばんやさしい栄養学 どうして野菜を食べなきゃいけないの?
子供に分かるように栄養学を絵本仕立てで解説してあります。小学校1~3年生くらいの子供にちょうどよいくらいの内容だと思います。監修は女子栄養大学の教授で管理栄養士の先生ですので、記述内容の信頼性にも問題はありません。
  ■たべることがめちゃくちゃ楽しくなる! 栄養素キャラクター図鑑
栄養素がキャラクターになって登場。イラストが多様されていて読みやすいです。女子栄養大学の教授である医師と管理栄養士が監修を務めており、内容の信頼性もバッチリです。上記の絵本より、文字数も多く内容も濃いので、小学校3~6年生くらいの子供さんと一緒に読むと楽しい1冊だと思います。
 

 

「キャラクター図鑑」は栄養素のほかにも「野菜と栄養素」「食品添加物」「人体」「感染症」「免疫」「漢方薬」の全部で7冊あります。シリーズの全巻を読破すれば子供博士になれそうです。最低限「栄養素」と「人体」の2冊を読めば、子供が知っておきたい体に関する基礎知識は身につきそうです。
 

栄養学の本【中級編】きちんと栄養学の基礎を学びたい人向け

運動・からだ図解 栄養学の基本 単行本
オールカラーで読みやすいです。「日本食品標準成分表2015年版」と「日本人の食事摂取基準2015年版」に準拠しています。

Kindle版もありますので、外出先で読みたい人はkindle版を。ソフトカバーの紙の書籍は重要語句を隠せる「赤シート」がついているため、しっかり「覚えたい」という人には紙の書籍をオススメします。
 

 

■栄養素の通になる(第4版)
著者は「日本人の食事摂取基準2020年版」の編集者のひとり。ご専門は「カルシウム」の研究ですが、近年は東洋大学の陸上部の栄養指導をされていることでも有名です。きちんとした栄養学の理論に基づいて解説された良書です。一般向けに栄養素を説明する本としては、上級者向けに近い本と言ってもよいかもしれません。インターネット等で栄養に関する情報を読んでいて「どういうことだろう? 」と思ったら、辞書的に紐解いてみるのにも適していると思います。
   

栄養学の本【上級編】栄養学のエビデンスの読み解き方を知りたい人に

■佐々木敏のデータ栄養学のすすめ 単行本
 「佐々木敏の栄養データはこう読む! 」につづく、月刊「栄養と料理」の連載に加筆修正を加えて書籍化したものです。著者は東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 疫学保健学講座社会予防疫学分野の教授です。肩書きで分かるように、ガチの研究者の先生です。

「栄養と料理」は一般向け雑誌なので、一般向けの内容であるはずですが、正直、かなり難解です。一昔前なら大学4年生または大学院生が勉強していた内容と言ってもよいかもしれません。

医師や栄養学が専門である管理栄養士でも読み解けない人もいるかも……?と感じるほどです。こんなことを書いていると知られたら、「これが分からん栄養士はもっと勉強したほうがいい! 」と叱られそうですが……。

ちょっと見ただけでは難解そうに感じられますが、実は1章完結の内容になっていますし、栄養学を専門としない一般読者を意識して丁寧に説明されていますので、丁寧に読めばさほど難しくはありません。しっかり熟読すれば、一般の人でも内容が理解できるはずです。

この本の意図が正確に理解できるようになれば、栄養ニュースを誤読する可能性は低くなります。

さらに、この考え方が日本人の栄養を考える上でも基礎となる「日本人の食事摂取基準」を策定する基本的な考え方になっています。この本が読み解けるようになったら、栄養学の未来も読み取れるようになると思います。

ちなみに、このシリーズは現在も月刊「栄養と料理」に連載中です(かなり長期連載です。人気のシリーズなのでしょう)。最新の研究を知りたい人は雑誌も併せてチェックしてみて下さい。
 

 

番外編:栄養、健康にもっと精通できる2冊

■調理のためのベーシックデータ 第5版 
読み物ではありませんが、調理をするのに役に立ちます。栄養管理室で献立を作る際に、もっとも参考にしている数冊のうちの1冊です。カラー写真と数字で調理による食材や栄養素について説明されているため、本のなかで調理の研究をしているような感覚になります。キッチンに置いておいて、乾物の戻し方やだしのとり方など、「ホントにこれで大丈夫かな?」と思ったときに確認するのもいいと思います。
 

 

■生きていくあなたへ 105歳 どうしても遺したかった言葉
最後に、栄養学ではありませんが、命や健康について深く考えたい人におすすめしたい1冊。2017年、惜しまれながら他界した元聖路加国際病院名誉院長の日野原医師の最後の著書です。

「医者のボクだって、死ぬのは怖い……」としながら、病床にて死生観を語っています。日野原医師は敬虔なキリスト教徒であっため、宗教色が強い面もありますが、医師や医療スタッフが命についてどのように考えて、日々、患者様と接しているのかが痛いほど伝わると思います。
 

 

栄養学は実践の学問です。知識をつけたら、ぜひ、実生活に活かしていただけたらと思います。

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