人気だからこそ、基本用語をおさらい
ライトなアウターとしてはもちろん、シャツ代わりのインナーとしても根強い人気が続いているデニムジャケット。ところで、よく目にする「サードタイプ」のデニムジャケットがどんなデザインなのかはご存知ですか?知っている人も知らない人も、デニムジャケットのタイプについて把握しておいて損はありません。もっともポピュラーな「サード」タイプですが、それは文字通り3番目の王道モデルといった意味。ここではわかりやすく、最初に登場した「ファーストタイプ」から解説します。
ファーストタイプはポケットが1つ
まず「ファースト」などのモデル名ですが、実は日本の古着輸入業者が〈リーバイス〉のデニムジャケットを整理しやすいように名付けた呼び名で、正式なものではありません。ただし、整理しやすいように付けられた名前だからこそ、違いもわかりやすいのですぐに覚えられます。
「ファースト(1st)」は、1900年代初頭に登場した〈リーバイス〉の「506(XX)」を指します。大きな特徴は、左胸のみに配置されたポケット。当初はシンプルなパッチポケットで、1920年代からフラップポケットとなったようです。また、フロントのプリーツとバック中央の裾付近にセットされたバックル付きのアジャスターも特徴的です。細かいディテールの変更はその後に何度も行われましたが、「ファースト」=「ポケットが1つ」と捉えれば覚えやすいはずです。
セカンドタイプはポケットが2つ
1952年頃に登場した〈リーバイス〉の「507(XX)」が通称「セカンド(2nd)」です。ポケットが両胸にレイアウトされ、着丈が少し短くアレンジされました。また、背面のアジャスターは裾の両サイドに分かれ、ストラップからタブ仕様に変更。その一方でフロントのプリーツはそのまま継承され、「ファースト」と「セカンド」は「プリーテッドジャケット」とも呼ばれています。
サードタイプはV字型のステッチが特徴
「サード(3rd)」は〈リーバイス〉「557(XX)」が原型。1962年頃から登場しました。これまでのワークウェアではなく、ファッションウェアとしての性格が強く、胸ポケットから裾に向かって配置されたV字型のシーム(ステッチ)がさり気ないポイント。胸をたくましく、ウエストを細く魅せる効果もあります。
身丈が短めで身幅は太めというシルエットも特徴的。実は1967年頃から「フォース」も登場しましたが、これは「サード」の丈を長くして身幅をやや細くしたもので、デザイン上の大きな変化はありません。ちなみに、「サード」と「フォース」は「トラッカージャケット」と呼ばれることもあります。
さらに覚えるなら、リーの101Jタイプ
デニムジャケットは〈リーバイス〉の「ファースト」、「セカンド」、「サード」をベースにしたデザインが圧倒的に多数。とくにサード型が主流です。そして、そんなサードタイプと間違えがちなのが、1940年代に登場した〈リー〉の名作「101J」をベースにしたデザイン。V字状ではなく平行する2本のシームが大きな特徴で、カーブを描く胸ポケットや前立てのジグサグなステッチも独特なポイントです。
今回はデニムジャケットの王道である4つのタイプを紹介しました。他のブランドにも定番はありますが、現在のデニムジャケットは今回の4種類のいずれかをベースにしているデザインが多いので、選ぶ際の目安や基準になるはずです。
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