お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

35歳貯金500万。夫がうつ病を患い、出費が続き不安に(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫がうつで倒れて、その後に何かと苦労した35歳の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 トラブル続出は仕方がないことと割り切ろう

突発的にトラブルが続出して、大きな支出が重なりましたが、ある意味、これは仕方がありません。もらい事故についても、そもそも買い替え時期が近づいていたクルマだったのですから、その時期が1年程度前倒しになっただけのこと。それでも、貯蓄を取り崩し、預金が大きく減っていくのは、確かに精神的にあまりいいものではない。しかも、これから教育費もかかる。グミさんの心配が必要以上に大きく膨らんでしまったということだと考えます。

では、資金的に今後、心配すべき点はないのか。結論から言えば、さほど心配は要りません。現状を維持していくことを基本に、今後も家計管理を継続してください。なぜ心配が不要かと言えば、まずは住宅ローンの借入額を抑え、繰上返済によって40歳前に完済としたことです。もうひとつは夫婦とも正社員として働いているということ。厚生年金の加入は、将来の老後資金に大きなプラスとなるからです。
 

アドバイス2 現状を維持できれば、老後資金も十分に準備可能

さて、現状のデータをもとに、シミュレーションをしてみましょう。
まず貯蓄です。現在、月10万円ですから年間120万円。60歳までの25年で3000万円となります。さらに、住宅ローンですが、現在のローン残高や返済額等から逆算すると、4年程度で完済となるはず(固定期間終了後も金利が変わらないとして計算)。したがって、浮いた住宅ローンの支払い分が、仮に全額貯蓄に回るとすると、21年間で1800万円。つまり、計算上は60歳までに4800万円の貯蓄の上積みできることになります。

ただし、そこから大きな支出を引かないといけません。教育費です。教育費については、大学が文系か理系か、中学、高校が公立か私立かなど、その進路によって必要額が大きな差が出ます。しかし、具体的な進路はまだ不確定ですから、とりあえず1人1000万円、2人だから2000万円かかるとします。また、学資保険で用意できる金額が460万円。あと、今ある貯蓄と投資商品の合計が474万円ですから、不足額は1066万円。これを先の貯蓄から捻出すると、残りは約3700万円となります。これに退職金を加えた額が老後資金の一応の目安となるわけです。

さらに、キャッシュフローを細かく見ていけば、学資保険は満期後の保険料負担がなくなりますし、支出計上している教育費3万6000円は「1人1000万円」としてまとめて差し引いたので、貯蓄に回るとして加算すべきです。一方で、児童手当はお子さんが16歳からは支給されません。また、お子さんの歯の矯正費用が2人分で200万円。さらに食費や雑費、そして通信費もお子さんの成長とともに増えていくでしょう。これら家計のプラス分とマイナス分を比較すると、ややプラス分が上。したがって、少なくとも先の老後資金は確保される可能性が高いということです。
 

アドバイス3 ご主人と、そして自分自身の健康に気を配る

3700万円に退職金を加えた金額が老後資金として足りるでしょうか。それは断言できません。それでも、老後の生活費は今の生活費から類推して、毎月25万円(税、社会保険料込み)には収まるのでは。夫婦の年金が月20万円なら、不足額は5万円。30年間で1800万円不足となりますから、その他大きな支出(住宅リフォーム、クルマの買い替え、病気・介護)があっても、少なくとも不足して困るということは一般的には考えにくいでしょう。

ただし、60~65歳までの、いわゆる無年金の5年間をどう過ごすかで、状況は変わる可能性があります。もし、リタイアされて、その間の収入がなければ、生活費として1500~1800万円を老後資金から捻出しなくてはいけません。一方、夫婦ともに働くことで、収入によっては老後資金を取り崩さずに済むことも可能です。パートで構いませんので、この期間に収入を得ることが、老後のひとつのポイントになります。

もうひとつ、ぜひとも注意してほしい点があります。それは健康です。まずはご主人の病気の再発。もちろん、今までも十分ケアされてきたと思いますので、それを継続してください。

そして、ある意味、もっと心配なのがグミさん自身の健康です。ご主人が患い、正社員として働いて経済的にも、精神的な部分でも家族を支えてきたわけですが、その頑張りが度を超すと、グミさん自身がパンクします。お子さんはまだ2人とも小学生。今、グミさんが倒れたら、それこそ大変です。そして、そんなグミさんを気遣えるのは、本人だけかもしれません。

自分の健康には、人一倍気張ってください。そして、現状では資金的に余裕があります。必要以上に不安にならないことです。節約も必要ですが、ときに自分や家族が楽しむためにお金を使うことも大切。旅行でも外食でも、家族のイベントでも構いません。すでに、されているとは思いますが、今後も予算を立てて、無理のない範囲で支出すれば問題はないでしょう。要は創意工夫とメリハリです。それがストレスをためず、家計管理を維持するコツだと考えます。
 

相談者「グミ」さんから寄せられた感想

深野先生に我が家の家計について、アドバイス頂き大変嬉しいです。しかも、60歳以降もアルバイトなどをすれば大丈夫な家計ということで、とても安心しました。深野先生の心配された私の健康についてなのですが、ほんと悪いことは重なるようで、ただの風邪だからと思っていたら、なかなか治らないばかりか他の病気まで併発してしまいました。深野先生のアドバイスを読ませて頂き、今後は自分のことでも後回しにせず、健康管理もしっかりしないとだめだなと痛感しました。アドバイスありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

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