EMSとは……医療用に開発され、リハビリ・筋トレにも効果

EMSは電気刺激によって筋肉を収縮させ、運動効果を得る
私たちが体を動かすときは、脳からの「動け」という命令が運動神経を伝わって筋肉に届き、電気信号によって筋肉が収縮されて動くようになっていますが、EMSはこうした一連の神経回路を介さずに、直接筋肉に電気刺激を与えて収縮させることができます。
もともとは医療用として開発され、スポーツ選手のリハビリテーションなどにも用いられていましたが、筋肉に電気刺激を与えることで手軽に運動効果が得られるということから、近年は一般の方にも用途が広がっています。
EMSと実際の運動の違い…手軽さか、運動能力の向上か

運動は脳からの指令によって身体を動かす
一方で運動は脳と神経、筋肉を連動させて動かすため、敏捷性やバランス能力、安定した姿勢を保つための筋持久力といった筋力だけではない体力面での向上をはかることができます。特にスポーツ選手にとっては脳からの指令によって素早く動く能力が求められるため、EMSによる筋力アップだけでは運動時の筋力発揮が伴いません。EMSは神経回路をショートカットしている分だけ、運動よりも手軽に筋肉を刺激できますが、実際の動きと連動する筋力発揮にはやはり実際に体を動かして筋肉を鍛えることが必要です。
EMSによって得られる運動・筋トレ効果・メリット

腹筋運動を行うのはつらいもの。EMSを使うと手軽に腹筋を鍛えることができる
EMSのデメリット・危険性・注意点

EMSの特徴をよく理解し、正しく使って運動効果を高めよう
■必ず説明書に目を通し、理解した上で使用する
どの器具についても言えることですが、特にEMSは電気を用いて筋肉に刺激を与えるものであり、使い方を誤ると身体に悪影響を及ぼすことが懸念されます。使用に際しての禁忌を十分理解し、特に健康面で不安のある方は使用前に医師に相談することをオススメします。
■過度な電気刺激による筋肉痛に注意する
EMSは脳からの神経回路を介さずに筋肉を収縮させることができます。運動では脳が「これ以上強い刺激を加えると筋肉が傷んでしまう」と自ら制御することができますが、EMSはこうした制御機能を持たないため、どんどん出力を上げていった結果、過度な電気刺激によって筋線維が傷んでしまい、ひどい筋肉痛を起こしたり、場合によっては肉離れのような症状が見られたりすることがあります。高い運動効果を得たいからといって出力をむやみやたらに上げるのではなく、段階的に上げていくように心がけましょう。
■やけどや水ぶくれなどの皮膚疾患のリスク
パットを皮膚に直接つけて使用するEMSでは、パッドと皮膚との接触面積が小さくなるとそこに電気刺激が集中してしまい、皮膚のやけどや水ぶくれを起こすことが指摘されています。密着していると思っていても、動き回っているうちに部分的にはがれてきてしまったりすることで起こると考えられているため、パッドの粘着力などを確かめ、弱くなってきたものについては交換するようにしましょう。
EMSは安全に正しく使用することで手軽に運動効果を得られることが期待できるものです。その特徴をよく理解し、運動における選択肢の一つとしてみてはいかがでしょうか。