犬にチーズを与えても大丈夫?
犬に食べさせていいチーズの種類は?
チーズは犬に食べさせることができる食材ですが、種類によっては犬の健康管理に適さないこともあります。犬に食べさせやすいチーズの種類、与えすぎには注意しておきたい理由を具体的にお伝えします。
<INDEX>
- 犬にチーズを食べさせる時はナチュラルチーズを!
- チーズに含まれる栄養素はカルシウム補給や皮膚の健康維持が期待できる
- チーズを与えすぎると肥満や、腎臓・心臓に負担になる可能性が
- 犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
犬にチーズを食べさせる時はナチュラルチーズを!
犬に食べさせるチーズはプロセスチーズよりもナチュラルチーズを!
チーズは犬に与えることができる食材ですが、種類によって栄養成分にかなりバラつきがあります。ナチュラルチーズに分類されるモッツァレラチーズ、カッテージチーズ、リコッタチーズは比較的脂肪や塩分が少なめなので、犬に食べさせるチーズとしておすすめできる種類です。
マスカルポーネチーズは塩分をかなり抑えることができますが、クリームを固めているため脂肪が多く含まれています。与える場合は少量にとどめておきましょう。これらのチーズもメーカーによって原材料にばらつきがあるので、必ず原材料表記を確認して判断してください。
ブルーチーズ、カマンベールチーズなどカビを活かしたチーズは、犬への安全性が不明瞭なため、念のため避けておきましょう。
切り分けるのも困難なほど硬いチーズを、犬にそのまま食べさせることはあまりおすすめできません。硬さのある食べ物を犬に与えてはいけないということではありませんが、あまりにも硬すぎると犬の歯が欠けたり折れたりする事故の原因になることもあります。
ハーブやベーコンなどの味付けがされたフレーバーチーズやチーズ鱈は、塩分が多いだけではなく犬に適さない食材が紛れている可能性があるため、与えないようにしてください。
人間用に作られたチーズケーキには、犬にとっては過剰な砂糖やアルコール製品が含まれていることもあり、健康を害す可能性もあります。犬用として作られたチーズケーキ以外は食べさせないようにしてください。
チーズに含まれる栄養素はカルシウム補給や皮膚の健康維持が期待できる
犬にチーズを食べさせるといいことは?
犬がチーズを食べた場合の健康への働きについて、明確な研究発表は存在していないようですが、期待できる働きを4つご紹介します。
1:手作り犬ごはんで不足しがちなカルシウム補給に
モッツァレラチーズやマスカルポーネチーズにはカルシウムが豊富に含まれています。カルシウムは犬のごはんを手作りにすると不足しやすい栄養素のひとつなので、少量を定期的に補ってあげてもいいでしょう。
2:腸内環境を健やかに保つ
犬も加齢と共に腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増えることが研究でわかっていますが、食事の内容、年齢、犬種や体格によって差があります。チーズに含まれる乳酸菌は腸内の善玉菌を増やす働きがあるので、腸内環境を健やかに保つためにチーズを取り入れることもおすすめです。
3:皮膚や粘膜の健康維持に
特にモッツァレラチーズやマスカルポーネチーズに多く含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜、目の健康に一役かってくれます。皮膚や粘膜は免疫に大切なバリア機能ですのでこれらが健康であることで免疫力を維持することにつながります。
4:食欲が落ちた時の風味付けに
犬は肉食寄りの雑食動物であることから、動物性食品や脂肪の風味を好む傾向があります。カッテージチーズは他のチーズと比べてカロリーが控えめなので、食欲が落ちてしまった犬のごはんに混ぜる方法を試してみてもいいかもしれません。
チーズを与えすぎると肥満や、腎臓・心臓に負担になる可能性が
犬にチーズを食べさせる時の注意点は?
どのような食材でも、良い面と良くない面を持ち合わせています。チーズを避けた方がいい犬はいるのか、チーズと相性の悪い薬はあるのか、飼い主としては気になるところ。犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)にお伺いしました。
「チーズは犬がとても好む食材のひとつであるため、しつけのごほうびや、薬を埋め込んで飲ませるなど様々な使い方ができますが、与えすぎには注意が必要です。
与えすぎに注意しておきたい理由は2つあります。
1:過剰な脂肪によって肥満の原因になりやすい
チーズは種類によって脂肪がかなり多く、そのぶんカロリーも高くなります。与えやすい形状になっていることも多く、犬が喜ぶから、好きだからとついつい与えすぎてしまう場合も。肥満になってしまうと関節や内臓など体のあらゆる箇所に不調が出ることもあります。
2:チーズには多くの塩分が含まれる場合がある
チーズの種類にもよりますが、人間向けに作られているチーズは一般的に塩分が含まれています。塩分が多い食品を犬が食べ続けると腎臓や心臓に負担がかかります。犬用と販売されている物でも塩分が含まれているものがありますので、原材料や栄養成分をよく見てから与えるようにしてください。
そのほか、犬に牛乳を使った製品を与えた場合、下痢や腹痛などの症状を起こしてしまう乳糖不耐症が問題となります。チーズは製造過程で乳糖がほとんど除去されるため問題になることは考えにくいですが、チーズに牛乳や生クリームを加えて作られるクリームチーズは、乳糖不耐症の症状が出る可能性があるため注意が必要です。
牛乳に対してアレルギー反応を持っている犬は交差反応(※)を示す可能性がある為避けておいた方が安心です。現時点でチーズと飲み合わせの悪い薬に関する報告は特にありません。」
(※交差反応:アレルギー反応が出る対象物と分子構造が似ているまたは同じという理由で、別の食材や植物などにもアレルギー反応が出てしまうこと)
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
上記の表を参考にして、与えすぎないように注意してください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は必ず少量ずつ与え、体調に変化がないか様子を見てくださいね。
犬にチーズを食べさせても大丈夫?まとめ
- チーズを犬に食べさせる時はナチュラルチーズのカッテージチーズ、モッツァレラチーズにする
- 乳酸菌の働きによって腸内環境の改善が期待できる
- 脂肪が多いので、与えすぎは肥満のもとになるので注意する
- 与えすぎると犬にとって塩分が過剰になり、腎臓や心臓に負担がかかることがある
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
【関連記事】