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中小企業診断士1次試験の過去問:時期と目的別活用法

中小企業診断士1次試験の対策の中でも重要とされている過去問題を使った勉強。過去問はどこから解けばいいの? 知識がちゃんと身についていなくても取り組むべき? 具体的にどういう使い方があるの? これらの疑問について、中小企業診断士受験の講師がわかりやすく解説します。

つだ まどか

執筆者:つだ まどか

中小企業診断士ガイド

中小企業診断士試験対策では欠かせない過去問学習

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過去問題集、ちゃんと使えてますか?


中小企業診断士試験:過去問を使った勉強はなぜ必要?でお話ししたとおり、過去問を学習ツールとして使わずして、試験合格はありえません。

資格学校の講師のみならず、合格者も「試験合格の秘訣」を語る時に、必ず取り上げるのが過去問学習の重要性です。

ところが、その重要性を認識しながらも、効果的に過去問を活用できている受験生は少ないのが現状です。

では、具体的にどのように過去問学習を取り入れればよいのでしょうか?

今回は、1次試験対策としての過去問学習について、目的別・時期別の有効な方法をお伝えします。


過去問学習に取り組む前に必要なこと

いくら過去問学習が重要だからといって、基本知識の習得ができていない時点でやみくもに過去問を解いても、時間のムダです。

中小企業診断士試験は、一問一答形式で経営用語が問われるような試験ではなく、経営知識が体系的に身についているかどうかを試される試験です。

だからといって、基本知識の習得に専念してテキストの丸暗記をしても、意味がありません。

テキストによる知識のインプット学習と基礎問題集や過去問題集を使ったアウトプット学習をバランスよく取り入れることによって、合格レベルの知識とスキルに近づいていくのです。


過去問題集の目的別活用法

一口に過去問学習といっても、その目的は一つではありません。

つまり、何を目的として取り組むかによって、学習ツールとしての過去問の使い方が異なるのです。

具体的に、

  1. 頻出論点や重要論点別に出題形式を把握する
  2. 正答率の高い問題から攻略する
  3. 現時点の実力を測定する
     
の3パターンについて、お話しします。


目的1:頻出論点や重要論点別に出題形式を把握する

市販のテキストの中には、過去に本試験に出題された論点については、ページの端に該当する年度と問題番号を明記しているもの(TAC出版)があります。

 

テキストでのインプット学習を進めながら、必要に応じて過去問の該当箇所を開き、その場で確認したり解いたりすることができるようになっているのです。

繰り返し出されている論点は、年度と問題番号の表記も複数になることから、わざわざ他のページにある出題領域表などで確認をするまでもなく、頻出論点であることが把握できます。

市販の問題集は、年度別に問題と解答・解説が構成されているものが多いですが、論点別に編集されたものもあります(同友館)。

 

最初のページから取り組むことにこだわらず、 頻出論点を優先して出題形式を確認する方法は、過去問学習の基本です。


目的2:正答率の高い問題から攻略する

中小企業診断士1次試験は、各科目で平均60点取れれば合格です。

100点を狙う必要がないというのが、ポイントです。

60点を取るための勉強が必要で、そのためには多くの受験生が正答できた問題は解けるようにしておかなくてはなりません。

ここで有効な判断基準となるのが、正答率です。

TACでは、1次試験直後に受験生が自己採点できるツールを提供することで、多くの有益な情報を取得しています。

その一つが、問題ごとの正答率です。

よって、過去問題集も全問について、正答率A(80%以上)~ E(20%未満)の5つのランクに分けて記載しているため、正答率の高いA・B問題から取り組むことが可能です。

科目や論点にもよりますが、正答率が低いD・Eランクの問題は二度と出ないケースもあるので、過去問学習においてもメリハリが必要です。


目的3:現時点の実力を測定する

これまでの学習経験や実務などを通じて、一定の領域(会計・ITなど)についてある程度の知識を持っている場合は、実際に本試験レベルの問題を解いて何点取れるのかを確認するとよいでしょう。

過去2年分(できれば3年分)程度の問題を、試験時間と同じ時間で解いてみて、自己採点をするのです。

トライアルの時点で60点前後の合格レベルであれば、その科目は得点源(高得点を狙える)となる可能性が高いと判断できるでしょう。

逆に、思ったほど取れないようであれば、アウトプット中心の学習を進めて、出題形式に慣れたり不足している知識を部分的にインプットしたりする学習に地道に取り組むことが必要です。


過去問題集の時期別活用法

過去問題集の有効活用の仕方は、1次試験が実施される8月上旬から遡ってどれぐらいの時期かによっても、異なります。

基本的な知識がまだしっかり身についていない時期と試験直前期では、過去問の取り組み方を変えるべきだと私は考えています。

一つの基準として、ゴールデンウィークの前後で過去問の使い方を変えるとよいでしょう。


ゴールデンウィーク前は論点別・優先度別にじっくり取り組む

おそらく、大半の方はゴールデンウィーク前までは7科目(ないしはその年度の受験科目数)について、一つずつじっくり取り組むのではないでしょうか(もっとも、コツコツ取り組むことが重要な財務・会計や経済学・経済政策と並行学習をしながら、ですが)。

各学校のカリキュラムも、概ねそのようなスケジュールになっています。

ゴールデンウィーク前は、知識のインプットを中心としながら、過去問については論点別・重要度別(正答率が高いもの)に読んだり解いたりすることで、対応力を高めていくといいでしょう。

この時期重要なのは、過去問は難しいからと後回しにしないことです。

解けないのであれば、解き方を学ぶインプットツールとして活用しましょう。

最初は解けなくても、繰り返すうちに、必ず解けるようになります。

繰り返し解くうちに答えを覚えてしまっても、問題ありません。

正答することではなく解き方のプロセスを身につけることが、目的だからです。


ゴールデンウィーク後は、タイムマネジメントの対策にも使う

ゴールデンウィークを過ぎると、これまでインプットしてきた複数の科目を並行して学習する時期になります。

ゴールデンウィーク前は、知識のインプットと解き方を身につけることを重視してきましたが、直前期になるにつれて試験時間を意識した取り組みが必要になります。

試験時間の60分ないしは90分で、自分が狙った点数を積み上げるトレーニングです。

時間を計って、特定の年度に出題された問題に、実際の試験と同じように集中して取り組むのです。

時間配分や取り組み順序、正答すべき問題とそうでない問題の見極めなど、実践的なトレーニングが目的です。


今回ご紹介したように、一口に過去問学習といっても、目的や時期によって、その活用の仕方も大きく異なります。

重要なのは、皆さんにとって今必要なやり方を選んで、過去問学習に取り組むということなのです。

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