「言いにくいこと」をどう伝えるか

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働いていて難しいのは、「言いにくいこと」を伝えなければならない場面があること

たとえば、部下が不満に思っていることがリーダーの自分に伝わってこず、まわり回って別の部署の人からそのことを知らされた、とします。あなたの上司としての面目は丸つぶれですね。

このようなとき、あなたなら、どうしますか?

まずは、よくやってしまいがちなNGパターン2通りをお伝えします。

コミュニケーションのNGパターン1:一方的な意見を伝える

「不平不満があるなら、私に直接、はっきり言ってください」等と陰口をたたいていそうなスタッフに、ズバリ、直接、一方的な意見を伝える。

自分の気持ちを抑えることなく表現すると、自分はスッキリできますが、このように一方的に要求すると、事態が悪化する可能性が高くなります。

なぜかというと、相手を追いつめてしまうことになるから。

人は問いつめられ(追いつめられ)、自分の領域が侵されていると感じると、「ディフェンスしなければ!」と自然と怒りの感情が湧くものなのです。

怒りの感情が会話に入ると、逆ギレしたり、さらなる不満を募らせることになったりして、話し合いがうまく進みません。

このような、自分のことを中心に考え、相手のことをまったく考えない表現方法のことを、専門用語では「アグレッシブな表現」といいます。

コミュニケーションのNGパターン2:我慢する

「自分さえ我慢すれば、丸く収まる」と考え、何も言わない。

表面上は平和ですが、実は、このように自分の感情を押し殺すこともよくありません。

なぜなら、このように感情を抑え続けることで、あなた自身のなかで次第に不満が募り、「私はこんなに我慢しているのに、全然わかってもらえない」という恨みがましい気持ちが高まるだけでなく、長期的に感情を抑制することにより健康を損なうリスクも高まるからです。

また不満気なあなたを見て、相手も「言いたいことがあるのなら、はっきり言えばいいのに」と不満を感じ、長い目で見たときに、人間関係のさらなる悪化が予測されます。

このような、自分の感情を押し殺して、相手に合わせるような表現方法のことを、専門用語では「ノンアサーティブな表現」といいます。

「自分も相手も尊重して伝える技術=アサーション」、定義とポイント

では、どうすればいいのでしょうか?

ポイントは、感情的にならずに、「私は」を主語にして、自分の事情や意見を伝え、相談するイメージで頼るような伝え方をすること。

このような、自分の気持ちや考えを正直に伝えながらも、相手のことも配慮する、自分も相手も尊重した表現方法のことを、専門用語では「アサーション」「アサーティブな表現」と呼びます(※1)。

アサーションを使った対話の例

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アサーションを使って上手に伝える

  • ステップ1:事情や意見を伝える
「実は(私は)この職場をもっと皆が働きやすいと感じられるように改善したいと願っているの。 Aさんは洞察力がスゴイから、きっと私の見えていないことも、気づけているんじゃないかと思って」

  • ステップ2:相談するイメージで頼る
「どこを改善したら皆がもっと働きやすくなるか、Aさんの意見をもらえたら(私は)すごく助かるんだけど」

感情的にならず、「私は」を主語にして、自分の事情を伝え、相談するイメージで頼る。

頼るときには、「どこを改善したら皆がもっと働きやすくなるか、Aさんの意見をもらえたら」というように、相手にとってもらいたい具体的な行動を明確に伝えておくことが重要です。

こうした伝え方は、相手を攻撃せずに、自分の気持ちを真摯に伝えたいときに役立ちます。

言いにくいことを伝えなければならないときには、ぜひ、参考にしてみてください。

【引用文献】
※1 蝦名玲子(2016).生き抜く力の育て方~逆境を成長につなげるために.大修館書店.
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