ヒートショックとは
ヒートショックとは、急激な温度の変化によって、身体が受ける影響のこと。室温の変化によって、血圧が急に上がったり下がったりするため、身体に負担がかかり、さまざまな健康リスクを生じる恐れがあるのです。住まいの構造や間取り、設備機器、個々の体調などによってその影響は異なりますが、たとえば、暖かいリビングから寒い廊下やトイレ、冷えきった浴室や洗面室など、温度差のある空間へ移動した際に、起こりやすくなります。北側に設けられることも多い洗面脱衣室の室温にも配慮したい。既存の窓に内窓を用いることで、断熱性能が高まり快適な空間に。 [インプラス(施工例) 開き窓:内観(洗面)ホワイト フロストガラス] LIXIL
断熱性能の高い住まいをつくることが基本
ヒートショックを防ぐためには、できる限り室内の温度差が生まれないような住まいとしたいもの。ご家族に、高齢の方や血圧や心臓に不安がある方などがいらっしゃる場合には特に配慮が必要でしょう。新築やリフォームの際には、間取りやデザイン性だけでなく、性能面を重視したプランニングを。外気温の影響を受けにくい高断熱の建物とすることが基本です。建築する地域や環境に適した断熱性能を持つ住まいとすることが重要ですが、断熱材はもちろん、窓や扉などの開口部をトータルに検討することが大切でしょう。
住まい全体の温度を管理する
家の中の温度差をできるだけ少なくするためには、住まい全体での冷暖房プランを検討することも重要です。可能であれば、空気を循環させていずれの空間も一定の温度を保つことができる全館空調などを取り入れても。住まい全体の温度のバリアフリーを実現することが可能でしょう。重視したいポイントは浴室と洗面脱衣室
温度差が気になる場所として挙げられるのは、浴室と隣接する洗面脱衣室。ヒートショックを低減するためのリフォームを行うのであれば、まず、最初に検討することをおすすめします。■浴室空間の断熱性を高める
天井・壁・床に保温材を追加するなどして、断熱性を高めたシステムバスも増えている。空間全体を保温できるタイプも。[SPAGE(スパージュ)天井・壁・床 まるごと保温] LIXIL
■浴室空間をあたためる
浴室換気暖房乾燥機も身近な設備機器のひとつ。暖房以外の性能も含めて検討したい。 [浴室換気暖房乾燥機 三乾王 TYR600シリーズ] TOTO
事前にセットしておくことができる予約(予備)暖房機能、脱衣室を暖房する二室暖房タイプなども。また、低温になると知らせてくれるもの、入浴前に急いで暖めることができる機能、暖房の風量を変えることができるもの、入浴前と入浴中でパワーや吹き出し方向を変更できるものなど、メーカーや商品によってさまざまな工夫が施されています。
■脱衣室のあたたかさを確保する
脱衣室を兼ねる洗面室には、暖房機器も設けておきたい。スペースに限りがある場合は、壁面に設置しても。 [洗面所暖房機 TYR300シリーズ] TOTO
メーカーからは、天井近くに設置できる暖房機やタオルハンガーを兼ねた暖房機器などもみられます。リフォームでも取り入れることができるタイプもあるので検討してもいいでしょう。
トイレ空間の温度差にも注意を
夜間に使用する際など。トイレの温度差にも配慮を。真空断熱材とPTCヒーターを組み合わせた薄型輻射パネルで空間を温めることも可能。[アラウーノSII ウーノス] パナソニック エコソリューションズ
夜間に使用することも多いトイレ空間も寒さ対策を施しておきたいもの。小型のヒーターなどを持ち込んでもいいですし、コンパクトな壁掛けタイプの暖房機を設置しても。最近では、空間を暖めることができる壁面パネルを用いた商品などもみられるようになりました。また、温風でトイレ空間を暖める機能を持つトイレ商品もみられます。設定した時間に作動するもの、室温が低くなると自動で作動する機能などもみられます。
廊下や玄関ホールなどにも配慮したい
玄関ホールや廊下なども寒さが気になるケースも。玄関扉や窓などの性能にも配慮したい。リフォームで簡単に性能の高い扉に交換が可能な商品も。[かんたんドアリモ 玄関ドア 断熱タイプ 内観] YKK AP
リフォームでも取り入れやすい内窓も
冬場の寒さや結露を防ぐためには、窓をリフォームすることも有効です。大掛かりな工事を伴わずに取り付けることができる内窓は、注目されているアイテムのひとつでしょう。内窓とは、既存の窓の室内側に設置する窓のことで、既存の窓+内窓と、窓サッシが2枚ある状態から、二重窓(サッシ)と呼ばれることも。建材商品としての内窓には、リフォーム向けのタイプが多く揃っています。内窓を設置すると、既存の窓と内窓の間に空気層が生まれ、外気温の影響を受けにくくなるため断熱性能が高まります。
新築やリフォームの際には、断熱性を高めることを基本に、優先順位を明確にして、温度のバリアフリーを実現できる必要な建材や機器などを取り入れること。プランニングには専門的な知識が必要なケースも多いので、早めに設計担当者に相談し進めることが大切でしょう。
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