Q&A:外国語で悪い意味・連想になる名前と名づけとは?
名づけは外国語を基準にしなくてもよい
Q:タイガという読み方の名前が気に入ったので、息子に名づけようと思っています。ただ、先生の著書でドイツ語圏で要注意の名と書いてあったのが気になります。どんな注意が必要ですか?
A:タイガという呼び名が特にいけないということではありません。ただ、タイガは英語で「虎」を意味し、またドイツ語ではシベリアの森林も連想する言葉です。ドイツ人は英語に堪能な人が多く、また几帳面な民族ですので、何か具体的な連想を起こす名前には違和感を持つ人はいるようです。
日本人の名前について、外国一般でよく言われること
ドイツに限らず、外国一般である連想を起こしやすい呼び名があります。例えば「ミキ」という呼び名からミッキーマウスを連想したり、「ミウ」という呼び名から猫の泣き声、「ショウ」という呼び名から見世物を連想する、というようなことです。「マミ」という呼び名は、お母ちゃんという言葉に聞こえ、「ケンヤ」という呼び名はケニヤという国を連想させます。上記の質問にあった「タイガ」は、もちろん虎です。ほかにも、「マオ」という呼び名から毛沢東という人物を連想されることもあります。外国の学校では毛沢東は北京語の読み方でマオツートンと教えるからです。
また「ミサ」はキリスト教の儀式を、「ノア」は旧約聖書に出てくるノアの箱舟を連想させ、「マナ」とか「マナミ」という呼び名は、洗礼のとき配られるパンを連想させます。いずれも悪い言葉ではありませんが、人によっては「キリスト教徒でないのに何でそんな名なのか」と違和感を持つ人もいるようです。
しかし、名づけは外国語を基準に考える必要はありません。ただある国でよほど悪い言葉に聞こえる場合は「あの国で要注意」と知っておけば良いのです。
外国語で悪い連想につながる可能性がある呼び名とは
ドイツ語はオーストリア、スイスやデンマークの一部、リヒテンシュタイン、そしてチェコ、ハンガリーなど東ヨーロッパにまで、意外に広い範囲に流通しています。そんなドイツ語で、おかしく聞こえやすい呼び名もあります。たとえば「アルト」という呼び名が、老人を連想させたり、「シイナ」という呼び名がチャイナ(中国)を、「ユウダイ」という呼び名がユダヤ民族を連想させて、おかしく聞こえることもあるようです。
特にKOTの入る名、たとえば「マコト、コウタ、コウタロウ、ミコト、コトミ、コトネ」などの呼び名は要注意です。KOTの音はドイツ語で「糞」を連想させ、特に「ミコト、コトミ」という呼び名は、私の糞という言葉に聞こえてしまうのです。
あえてこういう例を挙げたのは、ほかでもない、音楽の好きな家ではわが子をドイツに留学させたいという願いをもつ親や、琴という楽器を表す字を使いたがる親もいるからです。将来的にドイツ語圏で暮らす予定があるならば、琴の字は入れないほうが無難かもしれません。
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