マツダCX-8の販売が好調
マツダの3列シートSUV「CX-8」の販売が好調に推移しているという。先行予約の期間も含めてという前提付きだが、発表後1か月で月間販売計画1200台に対して、10倍超となる1万2042台を記録。
身長171cmの筆者でも十分に実用になる3列シートを含めて、CX-8の走りがどう仕上がっているか気になるところ。2列のCX-5に対しCX-8では、マツダらしい軽快感を残しながらも、1列目から3列目まですべての乗員が快適に過ごせるような乗り心地を目標にしたという。
上質かつ素直な走りが魅力
まず、運転席に乗り込んで走り出すと、とても素直な挙動なのが分かる。たとえば、アクセルを踏み込んだ時の反応(踏んだ量や踏む速さに応じた反応)や、ステアリングを切った時の動きなど、大型SUVというサイズや重量をあまり感じさせないスムーズさを味わえるのが大きな美点だ。
また、ハンドリングに関してもCX-5と比べると、「鈍重ではないけれど、軽快過ぎない」という納得できる落としどころに収まっている。これなら山道などでサードシートに座っても必要以上に頭が揺すぶられずに、乗り物酔いなどを誘発しなそうな気がする。
3列目の乗り心地は?
短時間ではあったが、実際に2列目と3列目にも座って走ってみた。2列目の乗り心地の良さはもちろん、3列目では多少突き上げ(上下方向)を感じさせたり、タイヤハウスから音の侵入が大きめだったりするが、それは致し方ないところ。前後と左右方向の揺れは抑制されている印象で、3列シートSUVとしては十分に納得できる仕上がりといえそうだ。
さらに感心させられたのが、1列目と2列目乗車時の静粛性の高さ。とくにディーゼルエンジンが発する音、振動の遮断がお見事。
ディーゼルエンジンも着実に進化。シートアレンジで3列目がフラットに
マツダCX-8は2.2Lのディーゼル直噴ターボを搭載し、190ps/450Nmというスペックを得ている。トランスミッションは6AT。JC08モード燃費は17.6km/L(2WD)。WLTCモードは15.8km/L(2WD)
ディーゼルであることは気取れるものの、気になるレベルではない。なお、CX-8では、室内の反響音を抑えるため、吸音効果が期待できるトップシーリングが採用されている。さらに、Dピラー付近にも吸音材が配されているそうで、静粛性の確保に加えて、吸音材を使うことで耳がツンと詰まったような室内空間になっていないのも朗報といえる。
2.2LのディーゼルエンジンのみとなるCX-8は、その「足の長さ」も長所で、72L(2WD)のタンク容量により、計算上は横浜から九州まで無給油で行けるという。このあたりからしても長距離を走る人に向いたSUVといえそうだ。
さて、1800kg前後(2WD)となるCX-8の動力性能は、大きさと重さをほとんど感じさせない力強さを備えている。スポーティとは表現できないものの、ある程度の人数が乗車しても実用域でモアトルク、モアパワーを抱かせるシーンは少ないはず。どの速度域から踏んでも「むずかる」ことなく加速をさらに乗せていく感覚だ。
ただし、1850kgから1900kg近い4WD(試乗車のXDプロアクティブは19インチ装着車で1890kg)車は、ばね下がやや重く、ストップ&ゴーが続く街中、高速道路への合流時など2WDよりも少し重たく感じた。
ミニバンでは得られないスタイリッシュなスタイリング
CX-8が気になるという場合は、「本当に3列目が必要か?」という点を満たしているかと、ディーゼルエンジンのみなので、ある程度「距離を走る」というニーズを満たしてあるのがベターだろう。
3列目にはまず乗らないのであれば、CX-5でも十分にマツダらしい走りを味わえるし、イニシャルコストもランニングコスト(燃費)もCX-8よりも有利になる。「大は小を兼ねる」という考えでCX-8を選ぶのもアリではあるが、上記した点に加えて、取り回しなども考慮したい。
逆に、上記の条件を満たしているのであれば、ミニバンでは実現できないスポーティなスタイリングなど、数少ない3列シートSUVの中でも魅力的な選択肢であるのは間違いない。
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