食と健康

チョコレートで仕事効率UP!集中力・疲労回復効果も

【管理栄養士が解説】チョコレートと他のお菓子の大きな違いは原料にカカオ豆が使用されていること。カカオに含まれるポリフェノール、テオブロミン、カフェインが、チョコレートの健康効果、疲労回復効果、集中力へのはたらきと関連していそうです。美味しく食べて仕事効率をあげる、チョコレートの上手な楽しみ方をご紹介します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

高カロリーだが健康効果も期待できるチョコレートの魅力

職場でチョコレートを食べる女性

チョコレートの原材料であるカカオの成分には、疲労回復効果や集中力を高める効果も……。仕事中に上手にチョコレートを食べると、業務効率UPにも役立ちそうです

一般的に「チョコレート」と言うと、お菓子の一つとして捉え、甘くておいしいけれど太る、健康に悪い、ニキビが増えるといったマイナスイメージを持っている人も少なくないかと思います。

例えば、板チョコレート1枚(50g)のエネルギー量は、275キロカロリー。コンビニのおにぎり1個が約170~200キロカロリーですから、板チョコレート1枚はコンビニのおにぎり1個分よりも多くのエネルギーが含まれている計算です。しかもチョコレートは、胃にずっしり来るような「食べた!」という実感が薄いことから「甘いものは別腹」扱いになりやすく、それも食べすぎにつながってしまう原因だと思います。

また、チョコレートの原材料である「カカオ」は脂肪分を多く含んでいることから、ニキビ体質の人はニキビが増えることを気にされているようです。

今回はそんなチョコレートの健康効果と、働く人が活用したいチョコレートの疲労回復効果、集中力を維持するはたらきについて迫ってみます。
 

チョコレートの疲労回復効果・集中力維持に関する実験報告

まず最初に「チョコレート摂取がコンピュータ演習後の疲労感に及ぼす影響(PDF)」という、面白い研究結果をお示ししましょう。

この研究は、看護学部の学生さん45名をランダムに3つのグループに分け、グループAにはチョコレートを、グループBには黒砂糖菓子を、グループCには何も食べずに3時間のパソコン演習を行わせて、その後の疲労感や作業への集中度を調べたものです。

演習後にアンケートで疲労度をチェックしたところ、チョコレートを食べてから演習をしたグループのみ疲労度の感じ方が低かったという結果が出ました。3つのグループに分ける前に甘いものを食べている人はその効果が出ている可能性があるため、演習開始8時間以内に甘いものを食べた人を除外しても、チョコレートを食べたグループだけが疲労度が低かったと報告されています。また、集中力もチョコレートを食べたグループだけが、最後まで維持できていたというのです。

よく「脳に直接入っていける栄養素は糖分だけだから」と、甘いものをデスクワークのカンフル剤として使う人がいますが、単に甘いものよりもチョコレートを使うほうが仕事の効率は上がるのかもしれません。

ちなみに、女子大生たちが演習の前に食べたチョコレートは100キロカロリー分程度。板チョコレート3~4欠片くらいの量でした。
 

チョコレートの原材料・カカオ豆の成分と心身への健康効果

この理由をチョコレートの成分から考えてみましょう。チョコレートと他の多くの砂糖菓子との最も大きな違いは、原料に「カカオ豆」が使われていることでしょう。実はカカオ豆は、中世ヨーロッパでは医薬品として薬局で扱われていたという歴史を持っています。日本に伝来した直後も、薬として販売されていたようです。

チョコレートに欠かせないカカオ豆には含まれる成分の中でも、主に以下の3つが健康効果をもたらすとして注目されています。
  • カカオポリフェノール
  • テオブロミン
  • カフェイン
以下でそれぞれについて解説します。

■強い抗酸化力を持つ「カカオポリフェノール」
「カカオポリフェノール」は、ポリフェノールの仲間で強い抗酸化力を持っています。抗酸化力とは、老化の原因となる活性酸素を除去するはたらきのこと。これによって、動脈硬化の予防やストレス緩和作用があると言われています。さらに、ポリフェノールの抗酸化力は肌の老化を抑える働きもあることから、美容にも効果があると考えられます。

■興奮作用を持つ「テオブロミン」
「テオブロミン」は気管支拡張、利尿作用、興奮作用等の生理作用があると言われています。過去には、血管拡張薬、中枢神経刺激薬、利尿薬などの薬の成分として使われていたこともあります。健康な人が適量を食べる分にはさほど問題はありませんが、薬として使われていたこともある成分であるため、若干の注意が必要です。詳しくは「職場のあんぜんサイト(厚生労働省)」をご覧ください。

■覚醒作用を持つ「カフェイン」
「カフェイン」は眠気覚ましとして有名な成分です。覚醒作用(眠気覚まし)のほかに解熱鎮痛作用があり、こちらも薬の成分として使われることがあります。やはりカフェインもテオブロミン同様、健康な人が適量を食べる分には問題ありませんが、若干の注意が必要です。
 

チョコレートと脳を活性化するBDNFの関係

また、最近になってチョコレートの新しい効果も注目を集めています。脳を活性化するBDNF(Brain-derived neurotrophic factor)という栄養分が、チョコレートを食べることによって増える可能性があるというのです(参考:チョコレートでおいしく健康に(明治))。

これはかなり面白い研究だと感じます。BDNFは年齢を重ねるごとに低下していきますが、高カカオチョコレートを食べた人はBDNFが増えるというのです。BDNFが増えると、脳の血流が増えて、うつ病やアルツハイマー型認知症なども抑制できる可能性があるということで、非常に夢のある話ですね。

明確な因果関係の研究報告はまだ確認できませんが、上述した別の研究報告の女子大生たちも、チョコレートを食べたことでBDNFが増えて作業効率が上がったのかもしれません。

このように、チョコレートにはさまざまな健康効果の報告があります。さらに、脳に対するカンフル効果もバツグンで、常温保存も可能なことも魅力といえるでしょう。デスクワークの引き出しに忍ばせておくには最適なお菓子のひとつと言えそうです。

とは言うものの、カロリーが高く、薬として使われる成分も含まれている食品。いくら健康によい成分が含まれているとはいえ、際限なく食べすぎてカロリー過剰になってしまうと、糖尿病などの生活習慣病リスクが高まることもお忘れなく。どんなものも食べ過ぎは禁物なので、1日3~4欠片くらいに留めるのが鉄則と言えそうです。

適量のチョコレートを上手に楽しみ、健康になりながら、仕事効率UPを図りましょう!
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