アドバイス1 現金を増やすことを最優先に
家計を見る限り、目立って無駄な支出はさほど見当たりません。現金貯蓄が少ないのは、支出が多いのではなく、資産づくりをすべて保険商品でしているためです。その意味で、資産づくりは確実にしていると言えます。とは言え、手元資金=貯蓄が50万円であること、保険料コストが月9万4000円であることを考えると、保険商品に資産配分が偏っていると言わざるを得ません。資金の流動性がないため、急に資金が必要なときに対応できないというリスクがあります。もし、そのためにローンやキャッシングを利用すれば、利息という余分なコストを抱えます。保険商品はすべて元本割れはしないということですし、貯めやすいというメリットもありますが、少なくとも、これ以上保険加入はしないことが大切です。
したがって、今すべきは現金を増やすことです。1年後に自動車ローンが終わり、またボーナスの9割をこれまで同ローンの繰上返済に充てていたとのことですから、それも合わせて貯蓄に回るとなると、年間で90万円貯蓄額がアップします。結果、現状の月2万5000円の貯蓄と合算して年間120万円。少なくとも、1年後から、実家の改築でローンを組むまでの2年間は、このペースで貯蓄が可能であり、ぜひその金額を目指してほしいと思います。
アドバイス2 妻の収入が今後のマネープランを左右する
次に、現状で各資金が用意できるかどうかですが、教育資金は、保険商品で用意できるのが985万円。私立大学文系で卒業までに大学にかかる費用は平均390万円、理系で520万円ですから、2人分の大学費用はほぼ用意できると考えていいでしょう。ただし、受験のための進学塾費用や大学への通学費用、また東京や関西等、自宅通学できない大学に進学した場合、仕送りが別途発生(平均で月8万円ほど)します。そこは頭に入れておいてください。住宅資金は、必要となるのが予定では3年後。二世帯住宅への改築費用として考えている2000万円を、仮に全額借り入れした場合、30年返済、全期間固定で金利1.5%とすると、毎月の返済額は6万9000円。家計は赤字になりませんが、年間で80万円支出が増えますから、35歳からは年間貯蓄がそれまでの3分の1、40万円に減ります。そのままのペースなら、60歳で手持ち資金は1300万円ほど。教育資金が学資保険の満期金等でカバーできるなら、これに退職金と、りょうちんさんの終身保険の解約返戻金900万円を加えた金額が老後資金となります。
気になるのはこれで老後資金は足りるかどうか。しかし、老後生活においてはまだ不確定要素があるため、断言はできません。ただし、先の試算では、住宅ローンの完済が65歳ですから、りょうちんさんも言われているように、奥様が働くことで貯蓄ペースを高く維持していくことが、今後のマネープランの大きなポイントになるかと思います。
具体的には、住宅ローンと同額程度、パート収入から月7万円を貯蓄ができれば理想的。30年間継続できれば約2500万円、貯蓄を上乗せできます。そのうち、一定額をiDeCoに回したいとのことですが、口座の名義は収入の高いご主人にしてより節税効果を受けましょう。また、iDeCoには口座管理料や手数料コストが発生します。金融機関によってその金額は異なりますので、事前によく調べておくことをおススメします。
相談者「りょうちん」さんより寄せられた感想
アドバイスを頂戴し、夫婦共に安心できたというのが本音です。自分たちに足りていなかったであろう現金の貯蓄が、やはり必要なものと捉えることができ、今後の計画をどのように進めるべきか理解できました。またどの程度金額がショートする可能性があるかも理解できたので、妻も具体的な金額目標を持って仕事を探すことに取り組めます。本当に相談して良かったと思います。夫婦でしっかり協力・相談しながらマネープランを考えつつ、生活していきたいと思います。ご協力ありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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