マディソン郡の橋

3月2~21日=シアタークリエ
『マディソン郡の橋』

『マディソン郡の橋』

【見どころ】

原作小説、クリント・イーストウッド主演の映画版ともに大ヒットを飛ばした『マディソン郡の橋』。90年代に世界的な社会現象を起こしたラブストーリーが2013年に舞台化、翌年のブロードウェイ初演を経て、ついに日本に上陸します。

アメリカの緑豊かな小さな町で暮らす主婦フランチェスカと、この地の橋の写真を撮りに来たカメラマンが出会い、恋に落ちる。たった四日間の出来事が、その後の二人の心に永遠に刻まれてゆく過程が、ジェイソン・ロバート・ブラウン(『パレード』)の音楽に彩られ、こまやかに描かれてゆきます。

今回の日本初演で主人公を演じるのは山口祐一郎さん、涼風真世さん。『貴婦人の訪問』では緊張感漲る状況での究極の愛憎を演じた二人が、今回は一転、多くの人々の心に生き続ける“永遠のカップル”をどう演じるか。また多彩な曲調の中にはオペラのアリアに限りなく近いものもあり、ブロードウェイ版ではオリジナルキャストのケリー・オハラが強靭な喉を聞かせていましたが、こうした楽曲が日本版ではどのように歌われるかも注目ポイントです。

【山口祐一郎さん、涼風真世さん取材会レポート】

合同取材会にて、山口祐一郎さん、涼風真世さん。(C)Marino Matsushima

合同取材会にて、山口祐一郎さん、涼風真世さん。(C)Marino Matsushima

1月末の昼下がり、都内で行われた山口さん、涼風さんの取材会。会場に現れた二人が撮影ポイントに立つと、「ではお願いします」の合図で山口さんがそっと涼風さんの肩に手を添え、涼風さんも自然に“彼”に寄り添います。既にお二人の中で“ロバートとフランチェスカ”の関係性がしっかり確立されていることがうかがえる光景を目の当たりにし、舞台への期待感の中で会見が始まりました。

――現時点で感じる、作品の魅力をお教えください。

山口祐一郎さん「原作小説にしても映画版にしても、『マディソン郡の橋』は本当に多くの人に楽しまれてきた作品で、皆さんそれぞれにその時の立場で感じたこと、思いがおありだったと思います。そうした中で、僕としては“ここが魅力”とお話するより、自分がいったいどんな形になるのかなというところを楽しみにしています」

涼風真世さん「おっしゃる通りですね。いわば“大人の純愛”と言える四日間の恋物語ですが、二人がその後どんな人生を送ったのか、考えながら稽古しています」

――演じる役柄について教えてください。

山口「本作は60年代が舞台で、当時は公民権運動やウーマンリブといったことがあり、女性は“こうあるべき”という枠の中で生きていたと思います。僕は先だって、作品に出て来る“屋根付きの橋”を見てみようと本作の舞台、アイオワ州に行ったのですが、現地は80マイルで数時間走っても360度景色が同じなんですね。そんな中で朝から晩まで牛の世話をしていて、お隣さんに双眼鏡で(生活を)監視されているような(閉塞的な日常を送る)ヒロインが出会うのが、僕が演じるロバート。仕事人間で、一度結婚したけれどすぐ分かれて、一般的な社会規範のぎりぎりのところで生きてきた男が、彼女と出会うんです」

涼風「フランチェスカはイタリア出身で、夫と子供二人と暮らしています。18年前にイタリアから船と列車、トラックを乗り継いでアイオワにやってきました。家族のために頑張ってきて、何不自由ないけれど、どこか、何か起こって欲しいというわけではないけれど“何か”を思っている。そこに突然ロバートが現れます」

――ジェイソン・ロバート・ブラウンによる楽曲はいかがですか?

涼風「オープニングの曲では、フランチェスカがイタリアからやってきた経緯を歌うのですが、将来どうなるんだろうという彼女の不安や葛藤、そして故郷のイタリアを多分に匂わせる楽曲です。彼女のナンバーは主に3拍子で、そこに作曲家の思いが込められているのだと思いますが、日本人的には3拍子の歌ってなかなか難しいんですね。素晴らしいだけに日本語を乗せるのが難しいのですが、(稽古を)頑張っているところです」

山口「一曲の中で、四分の三拍子から四拍子、そして八分の七拍子にと変わっていったりして、歌う側としては“やめてくれー!”と言いたくなりますが(笑)、そこには登場人物たちのなかなかうまくいかないコミュニケーションが表現されているんですね。簡単には行きませんが、それがうまくいくとがちっとはまる。その感覚を楽しんでいます」

――共演機会の多いお二人ですが、お互いの魅力とは?
合同取材会にて、山口祐一郎さん、涼風真世さん。(C)Marino Matsushima

合同取材会にて、山口祐一郎さん、涼風真世さん。(C)Marino Matsushima

山口「(涼風さんと“永遠の恋”を演じる機会が)今で良かったと思っています。今はコントロールが効くけど、以前だったら人生が(きっと)ダメになっていましたね(笑)。いいものって自然に滲み出てくるものですが、涼風さんにはそれがある。皆さん、舞台の涼風さんを御覧になって、“あれだな”と思われるもの(魅力)をぜひ盗んでください。きっと人生の色、質感を変えてくれると思います」

涼風「これまで何度か山口さんと共演しましたが、これほど(距離が)近いお役は初めてですので、ドキドキしています。お顔が見られません。これが純愛なのかな(笑)」

――本作は原作小説、映画版と様々な形態がありますが、舞台ならではの特徴は?

山口「(登場人物の)息遣いや体温が感じられるのはライブならではだと思いますし、映画版ではキャラクターが脚色されているところがあって、例えば朝食時にフランチェスカは家族から無視されているけれど、舞台版ではそんなことはありません。いい父親、いい母親がいる家庭だけど、なにかが“かみ合わない”ために彼女は孤立している。そこをクローズアップしているのが舞台版です」

涼風「おっしゃっるように、ミュージカルということで歌がプラスされるし、ライブの高揚感を楽しんでいただけると思います」

――どのような役作りをして臨みましたか?

涼風「私はこう見えて(笑)地方出身で、石巻で生まれて釧路、富山、大阪、宝塚で暮らし、今は東京で生活しています。フランチェスカとはどこか似たところがあるので親しみがあるし、女性として気持ちもわかるし、料理や洗濯、掃除もしますが、お客様がどうとらえているかはわかりません。私が自然に立っている姿が(主婦の)フランチェスカに見えればと思っています」

山口「(役作りという話からはちょっと逸れますが)ロバートは常に現場に行き、現実を写す仕事をしています。その視点は常に客観的で、社会の端っこにいるような存在ですが、今はそういう存在の方が少数派ではなくなっています。彼のように一人で死んでゆく人間は60年代には少なかったけれど、今は(少子高齢化社会で)それがベースとなりつつありますよね。彼の孤独に、現代のお客様はどこか共感できるのではないか。むしろ今の時代こそ、人々が心の中にもやっと抱えているものが、この作品を通してクリアになるんじゃないか、いいタイミングで日本で上演されるのではと感じています」

――(質問・松島まり乃)日本版の舞台がどのようなものになるか、想像するヒントをいただければと思いますが、お二人が個人的に気にいっていらっしゃるシーンはありますか?

涼風「今回、出演人数がものすごく少なく、全部で9名なんです。一人一人がいろんな役柄を演じたり歌ったり、そんな中で今まで以上に責任感をもって演じている稽古場だと感じていて、私も集中してやっています。そんな中で、山口さんとの稽古を1時から4時まで、そして四時から他の皆さんとの稽古をしているので、祐さまとの稽古がものすごく濃密で、ロバートとの場面が深く進んでいます。ここから全員がどのように演じていくのかな。2月が勝負だと思っているところでございます」

山口「(平素は)作品に自分を引き寄せたりしながらやっていくのですが、今回、作品の中にいろんな台詞があって、個人的にもフィットするものがあって、それを“こことここ”というのは一番パーソナルな部分だから、出来れば触れたくないんですね(笑)。それがどこかというのをぜひ、“今、額から汗が流れたけどなぜ言いよどむんだろう”というふうに注目していただければ。自分でも、そのことに後で気づくんですよ。夜中に台本を見直していると、あそこで引っかかるのはなぜかというと、僕自身がこだわっていることだから。このことがそんなにまだ心に刺さるものなんですか、と自問自答できる。それがこの作品にはいっぱいあるんです。ぜひそれを見つけていただければと思いますね」

――最後に、本作への意気込みをお願いします。

涼風「私は生まれて初めて“演じるとはこういうもの”(という概念)ではないところから今回、(役作りを)スタートしています。自分がどうなるのか、まだわかりません。ぜひ劇場にお運びください」

山口「以下同文でございます(にこり)」

【『マディソン郡の橋』プレビュー観劇レポート】
『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

映画のセットのような写実性を厳密に追うのではなく、“余白”の空間を生かして観客の想像力に訴える舞台空間の中に、響き渡るチェロの低音。クラシカルからカントリー・ウェスタンまで、多彩な曲調のナンバーが登場する中で、このチェロの旋律はヒロイン・フランチェスカのテーマとして、彼女が心の奥底に秘めてきた思いを引き出します。夢と不安を抱いてイタリアからアメリカの農家へと嫁ぎ、妻として母として、少しずつ自分の“家”を築いてきたという自負。娘時代、奔放な姉に対する複雑な思いが自分にアメリカ行きを決意させたこと……。
『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

ジェイソン・ロバート・ブラウンの現時点でのベストといっても過言ではない、主人公たちの人生の陰影を織り込んだ“コクのある音楽”が魅力の本作。その日本初演にあたり、演出の荻田浩一さんは、加賀谷一肇さんの抑制のきいたダンス(振付・ステージングもご本人)をビジュアル的な趣向として盛り込みつつ、ヒロインの家庭生活とロバートとの甘美な恋のギャップを際立たせ、観客を二人の心の旅へといざないます。
『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

ロバート役の山口祐一郎さんは、心優しく魅力的な男性だが、生来の“自由人”で結婚生活には向いていないカメラマンを、柔和にして誠実な物腰・口跡で体現。ソフトに歌い上げるナンバーが多いだけに、永遠の愛を歌う終盤の力強い歌声からは、ロバートという人間の“人生の厚み”が圧倒的に迫ってきます。
『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

夫・子供が家畜の品評会に行っている間に、屋根付き橋を探していたロバートと知り合い、恋に落ちるフランチェスカ役の涼風真世さんは、可憐さと主婦としての生活感が同居。ふとした出会いから次第に心を開き、恋へと変わってゆく女ごころを、芯のある歌声と台詞とで丁寧に、存分に表現しています。その夫・バド役の石川禅さんは、妻の変化に気づかない鷹揚な男を思いきりよく演じ、フランチェスカの動向を見守る隣人マージとその夫役の伊東弘美さん、戸井勝海さんは、妻はおせっかい、夫は他人のことには無関心、と性格は違えど、彼らなりにうまくいっている夫婦をリアルに表現。
『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

またロバートの元妻マリアン等の役柄を、彩乃かなみさんが安定感ある歌声できっちりと演じ分け、フランチェスカの子マイケル役・石川新太さん、キャロライン役・島田彩さんは、思春期特有の心の揺れ動きを溌溂と演じています。
『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

『マディソン郡の橋』写真提供:東宝演劇部

“道ならぬ恋”の物語として一世を風靡した原作ではありますが、舞台版はその行方をセンセーショナルに見せるといったものではなく、あくまで生身の人間たちの体温を感じさせつつ、彼らの“人生”を描写。キャストのドラマティックな歌唱によって一層の重厚感を与えられ、深い余韻が残る舞台となっています。

ツクリバナシ

3月13~18日=下北沢「劇」小劇場
「ツクリバナシ』

『ツクリバナシ』

【見どころ】

小劇場演劇の聖地・下北沢発のミュージカルで昨年誕生し、「若手演出家コンクール」で最優秀賞・観客賞をダブル受賞した舞台が、アンコールの声に応え、2組のキャストによって再演されます。

作品は柴幸男さん・作の『ツクリバナシ』。ある“悲しい記憶”を思い出せない漫画家の夫とその妻が、四コマ漫画の最終回に取り組む過程で“一歩”を踏み出してゆく様が、奥田祐さんによる疾走感溢れる音楽を織り交ぜ、描かれます。夫・妻をそれぞれ3人の俳優が同時に演じるという、新進演出家・永野拓也さんのアイディアが特徴的な舞台。皆本麻帆さん、水野貴以さんを始めとする実力派キャストによる「週刊チーム」「月刊チーム」2組の競演も見逃せません。

【出演 大野幸人さん・関谷春子さん・宮島朋宏さん・和田清香さんミニ・インタビュー】
『ツクリバナシ』稽古場にて、キャストの皆さん。(C)Marino Matsushima

『ツクリバナシ』稽古場にて、キャストの皆さん。(C)Marino Matsushima

――宮島さんと和田さんは昨年の初演から出演されているのですね。

宮島朋宏さん「初演の時はまず永野さんから“二人の人物を6人で演じる”と聞いて、どういうこと?と思いました。皆でディスカッションして、手探りで形にしていきましたね」

和田清香さん「一人を3人で演じるということが体に“落ちる”まで苦労したけど、そのうち一人で台詞を練習していて、分身が居ないと寂しく感じるようになりました」

――永野さんはどんな演出家ですか?

関谷春子さん「皆の良さを引き出そうとするエネルギーを感じます。それを信じて飛び込めばいいと思わせてくれるから、稽古は不安がなくて楽しいです」

大野幸人さん「明確なビジョンを逐一言葉で伝えてくれるいっぽう、僕らが持ってきたものも見てくれますね」

宮島「チャレンジして失敗しても、否定するんじゃなく“有難う”と言ってくれる。そこに何かいいエッセンスがないか、膨らまそうとしてくれます」

和田「とにかく人間が好きで、稽古はまず世間話から(笑)。稽古場は“自分が自分でいていい場”だと心から感じられます」
『ツクリバナシ』稽古より。(C)Marino Matsushima

『ツクリバナシ』稽古より。(C)Marino Matsushima

――会場は下北沢の小劇場です。

和田「初演では、毛穴まで見える距離での演技を初めて経験しました(笑)」

大野「まだ今回の劇場に行ったことが無いので、どんな距離感なのか、わくわくしてますよ」

――今回、ご自身の中でどんなテーマをお持ちですか?

関谷「役者として、いろんなものから解き放たれて子供に帰って、なんでも反応して自由な心・体でいることですね」

大野「この脚本の夫婦の、人と人との営みを一つずつ大事に積み上げていきたいです」

関谷「一人で演じるわけじゃないからね」

大野「奥さん役が3人いて、こちらの奥さんと喋ったりあちらの奥さんと喋ったりするので、いけないことしてるような気分にもなります(笑)」

――チームによってもカラーが違いますか?

大野「週刊チームはスピード感があるのに対して、僕らは月刊チームというだけあって(笑)、まったりしているかも。見比べると面白いと思いますよ」
『ツクリバナシ』稽古より。(C)Marino Matsushima

『ツクリバナシ』稽古より。(C)Marino Matsushima

――どんな舞台になるといいなと思っていらっしゃいますか?

和田「何か届くものがあることを信じています。お客様も、舞台の上のドラマを(客観的に)眺めるというより、登場人物と一体化して、一緒にラストを迎えていただけると嬉しいです」

宮島「再演でさらに(劇世界を)深めたいと思っています。小劇場ならではの見やすい空間の中で、ミュージカルの楽しさをお伝えしたいですね」

【演出・永野拓也さんミニ・インタビュー】

――永野さんは東宝ミュージカル・アカデミーで俳優修業をされた後、15年に自身のカンパニー「ヒコバエ×プロジェクト」を立ち上げたのだそうですね。

「はい、周りには“ミュージカルはやりたいけどオリジナルはリスキーだから、海外作品をやろう”という人が多かったのですが、僕はどうしてもオリジナル・ミュージカルをやりたくて、自分でカンパニーを立ち上げました」
『ツクリバナシ』稽古より。(C)Marino Matsushima

『ツクリバナシ』稽古より。(C)Marino Matsushima

――本作は哀しみを抱えた夫婦の物語ですが、抽象的な表現に“含み”がありますね。

「柴さんの原作に、今回、僕は一つのテーマを加えたいと思いました。僕も携帯をすごく見てしまう方ですが、現代社会には携帯、ゲーム、アニメ……と、いろいろなものがあって、情報過多社会と言ってもいい。例えば携帯をいじっている間に、僕らは“緩慢な死”に近付いているんじゃないか。でも、ある程度の節度をもって取捨選択することで、(本当の人生を)取り戻すことができるのかもしれない。

そういったことが、ミュージカルという手段だったら感覚的に伝えられるんじゃないか、と思えたのです。これからも“人との出会い”を繋げながら、演劇的であり、ミュージカル的でもある実験的な作品に挑んでいきたいですね」

【観劇ミニ・レポート】
『ツクリバナシ』週刊チーム

『ツクリバナシ』週刊チーム

RADWIMPSの「なんでもないや」を歌う俳優たち。ほんの1,2メートルほどの距離から響く生の歌声の厚みに場内が圧倒されたところで、中央の卓袱台に俳優(飯野雅彦さん)が登場。“皆さんはふだん、ミュージカルを御覧になりますか? ミュージカルといえば、こういうイメージですよね”と、左右の俳優たちの実演付きで、出会ってたちまち熱烈な恋愛という描写もミュージカルなら可能だ、というような喋りを展開します。どうやらこれは、もともとミュージカルを見慣れていない客層を想定して作られた作品ということでの導入部分、であるようです。
『ツクリバナシ』週刊チーム

『ツクリバナシ』週刊チーム

さて、舞台上には男女3名ずつの俳優がおり、奥田祐さんによるロックテイストの楽曲に乗せつつ、ある時は男女の二手に分かれて“一役3人”的に、またある時は3組のカップルに分かれて代わる代わる、“連載の続きが描けない漫画家とその妻”の葛藤を表現。“一役3人”とは言っても3人が一つの型にはまった演技をするのではなく、各人の人間性を尊重した演出(永野拓也さん)が特徴的。ある悲しみを抱え、その大きさゆえに一歩を踏み出すことが出来ない夫婦は、もがき苦しみつつ、“3年ぶりの一コマ”に取り組むのだが……。
『ツクリバナシ』週刊チーム

『ツクリバナシ』週刊チーム

観客はキャストの台詞に耳をそばだて、言葉の端々からわずかなヒントを拾いながら、夫婦が抱える悲しみの正体について想像を巡らせます。そして一つの推論にたどり着いた時、場内にはえもいわれぬ一体感が。ドラマティックな流れは無く、あるフリーズした瞬間を拡大して見せるこの劇世界を、この日のキャスト「週刊チーム」(和田清香さん、宮島朋宏さん、天野朋子さん、村井成仁さん、遠山裕介さん、皆本麻帆さん)は溢れんばかりの情熱とともに表現。その幕切れ、耳元でささやくような子守歌が、小劇場公演ならではの余韻を残す作品です。


*次ページで『Suicide Party』、第三回東京ミュージカルフェスをご紹介します!