生まれ順によって違う! 兄弟姉妹が抱えがちな不満
きょうだいが仲良く過ごすために、親ができる工夫があります。
きょうだいはいちばん身近な遊び(けんか)相手。だからこそ「弟じゃなくて、お姉ちゃんがほしかった」とか「ひとりっ子がよかった」とか、子どもは色々なことを思います。
生まれ順によって子どもが感じやすい不満や抱えやすい淋しさに対し、親はどんな点に気をつければよいのでしょうか。
第1子が持ちがちな不満
下の子が生まれると、上の子が赤ちゃん返りするというのはよくある話です。上の子は、両親をはじめ周囲からの愛情を独り占めしてきたのに、それがいきなり半分になるわけです。赤ちゃんは手がかかるため、子どもの感覚としては「半分以下」でしょう。赤ちゃんに親を「取られた」と思うのも珍しいことではありません。「おにいちゃん、おねえちゃん」になった喜びもある一方で「おにいちゃん(おねえちゃん)なんだから」と言われるようになり、その時の親への不満や淋しさを大人になっても抱えている人は少なくありません。
いつも怒られるのは自分ばかり。下のきょうだいは上の子が怒られるのを観察してきているので、立ち回りが上手。それを「ずるい」と思っていたりもします。しかし、常に自分が上の立場にいるので、下のきょうだいから向けられているライバル心に気づかず、無神経な言動をしがちな側面もあるかもしれません。
ただ、第1子がしっかり者になりやすいのは、我慢をする機会が多いからでしょう。たとえば3歳差のきょうだいの場合、下の子が3歳になった時、親は「あの時、上の子はこんなに小さかったんだ……」と思うことはよくあります。
小さかった上の子に無理をさせてきたなと思ったら、いつからでも遅くはありません。率直に気持ちを伝えて、上の子のためだけの特別な時間を作ってみるなど、子どもが愛情を感じられる工夫をしてみましょう。
なお、障害や病気を持つ子どもがいる場合、親はほかのきょうだいに第1子と同じような期待をかけてしまいがちです。
末っ子が持ちがちな不満
末っ子からよく聞く不満には「いつまでも子ども扱いされる」というものがあります。甘え上手で、かわいがられやすい末っ子ですが、いつも親が頼るのは上のきょうだいばかり。自分だって同じようにできるのに、と思っても、それを証明するチャンスはなかなか巡ってきません。自分が大きくなれば、そのぶん上のきょうだいも大きくなっていきますから、いつまでたっても追いつけない。上の子の習い事の送り迎えについて行っているうちに興味を持ち「自分も習いたい!」という下の子は多いものです。親としても、別々の習い事の送り迎えは大変ですから、一緒に習ってくれるに越したことはありません。きょうだい共通の話題もできるし、切磋琢磨してくれれば言うことありません。
ただ、それは一方で、きょうだいを比較する場が増えることにも繋がってしまいます。下の子にとって、上の子は憧れであると同時にライバルでもあります。きょうだいで同じことに興味を持っている場合は、それぞれのいいところや得意なところを見つけていけるといいですね。
上に同性のきょうだいがいる場合「おさがりばかりで、新品を買ってもらえない」というのもよくある不満です。自転車など値の張るものは難しいでしょうから、そのぶん、服や文房具などを買うときに、その子の印象に残るような「特別感」のある買い方ができないか考えてみましょう。
真ん中っ子が持ちがちな不満
上にも下にもきょうだいがいる子は、親から最も放っておかれがちです。そのぶん自由で気楽でもありますが、注目されにくい。第1子のように頼られるわけでもないし、末っ子のように甘やかしてもらえるわけでもありません。時と場合によって上の子扱いされたり下の子扱いされたりするので、それに不満を持ちながらも、どちらの気持ちもわかるので、バランス感覚がよく手がかからない子も少なくありません。
自分の存在をアピールしてくる中間子も、手がかからない「いい子」の中間子も、根っこには淋しさがありますので、なるべく意識して注意を向けるようにしましょう。
「親と中間子だけの時間」を作ってあげられるといいですね。上の子の場合、下の子たちが寝た後に、といったこともできますが、なかなかそういうわけにはいかないのが中間子です。ですから、夏休みなどの長期休みに、ひとりで愛情を一身に受けられる時間を作れるよう、時間差できょうだいを祖父母宅に連れていくといった工夫も検討してみましょう。
一人っ子が持ちがちな不満
ずばり「きょうだいがほしかった」でしょう。親の愛情を一身に受けていても、生まれてからずっとそれが当たり前なので、ありがたみも感じません。大人の中で育つので、ルールやマナーに敏感で「大人ウケ」が良い反面、同世代の子どもたちの中にすんなり入っていけなかったり、感情をぶつけあうようなけんかが苦手で友達の顔色を見がちな子も少なくありません。
ですから、地域のスポーツクラブなど、学年の違う子どもたちが集まる習い事を検討するといいかもしれません。チームプレイだと個人競技より摩擦が大きい分、学ぶことも多いのではないでしょうか。
「ひとりっ子はかわいそう」というのは、当事者の親にも子にも向けられがちな心ない一言です。でも、「一人遊びができる」というのは、自分で自分を楽しませられるということであり、ひとりっ子が持っているたくましさでもあります。「かわいそう」という見下しを、子ども自身が内面化させないよう、親が負い目を感じないことが大切です。
仲の良いきょうだいでいてもらうために
きょうだいは多くの場合、子ども時代のいちばん多くの時間を一緒に過ごす家族です。きょうだい喧嘩はして当然だけど、基本的には仲の良いきょうだいでいてほしいもの。大人になってからも。でも、身近であるゆえに、こじれると修復が難しい関係でもあります。時々、子どもたちそれぞれに、1対1で「自分ばっかり我慢していると思っていることはある?」「自分だけ損していると思うことはある?」などと聞いてみてもいいかもしれません。家族がお互いを信頼し合い仲良く暮らしていくための、なんらかのヒントが得られるはずです。
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