お返事/ご返事、どっちが正解? 敬語の正しい使い方
お返事いたします、ご返事いたしますなど、よく耳にする言葉ではあるものの正しいかどうか迷うこともあるものです
言葉を丁寧にする場合に用いられる「お」「ご」の付く表現ですが、どちらを付ければいいのか、その使い分けに迷ってしまうということは案外多いようです。
たとえば、相手からメールの返事をもらったような場合に、「お返事をいただきまして/ご返事をいただきまして ありがとうございます」のどちらなのか。
または、自分が返事をする際でも「明日、お返事/ご返事申し上げます」など、どちらも迷うようです。よく使う「お」「ご」の使い分けを改めて見直してみましょう。
基本は「お」+和語、「ご」+漢語
基本的には、和語(訓読みの言葉。別名「大和言葉」とも呼ばれる)には「お」が付き、漢語(音読みの言葉)には「ご」が付くとされています。■「お」が付く語 「お」+和語
例:おところ、お招き、お帰り、お戻り、お知らせ……など。
■「ご」が付く語 「ご」+漢語
例:ご住所、ご招待、ご帰宅、ご通知……など。
例外もあります。たとえば、和語なのに「ご」が付く例としては、ごゆっくり、ごもっとも……など。漢語なのに「お」が付く例は、お茶、お菓子、お食事、お弁当、お掃除、お散歩、お電話、お手紙……など。意外と多いので、基本のルールはあくまで目安として覚えておくとよいでしょう。
「お返事」「ご返事」はどちらも正しい
冒頭にあげた「お返事」「ご返事」ですが、こちらは、「お」「ご」の両方付く例です。このどちらを使うかは個人差もあるでしょう。強いて言えば、「ご返事」のほうがより改まった印象があり、「お返事」のほうはやや美化語的な響きもあり主に女性が多く使う傾向が見られます。その意味では「お返事」「ご返事」はどちらでも正しいということになります。ほかに「お」「ご」の両方付く語としては、お年始、ご年始やお通知、ご通知などがあげられます。
自分の行為に「お」「ご」を付けていいの?
相手側を高める働きという意味で「ご報告」はOK
また、「お」「ご」の使い分け以外に、自分の動作にわざわざ「お」「ご」を付けていいのか、という点でも使い方に迷う場合があるようです。
たとえば、「その件につきましては私からお話しします/ご報告します」というような例です。これは、話や報告をするのは自分なのだから、自分の行為に「お」「ご」を付けるのはおかしいのではないかという理由です。
しかし、「お」「ご」は尊敬語だけに付くものではありません。この「お話しする/ご報告する」は、謙譲語の代表的な例で「(お客様に/あなたに)お話しする/ご報告する」という意味で、お客様やあなたといった相手側を高める働きをもって使われる極めて正しい用法です。
「お」「ご」の使いすぎには注意
多少気を付けるべきなのは、以下のような「お」「ご」、特に「お」の付けすぎでしょう。美化語という意味では間違いとはいえないまでも、過剰な印象をもつ人も多いのではないでしょうか。たとえば、やや極端ですが「お昼はおごぼうとおにんじん、お野菜たくさんのおうどんにしました、その後お紅茶を入れて」のような例です。特に女性に見られますが、これも「お昼」の「お」ぐらいであとは取ったほうがすっきりする感があります。
もちろん、お茶、お菓子など付けるのが自然なものもありますし、個人差もありますから、一概には言えないものです。しかし、中には付けると明らかにおかしいものや過剰、不自然なものもあります。
先ほどの例も「おそば」に対して「おうどん」という場合もあるでしょうが、「おにんじん」「おごぼう」は付けすぎと感じる人がほとんどでしょう。ほかにも、おパン、おサイダー、おジュースなどカタカナの言葉には通常は付けません。
このように、言葉を丁寧にする意味で、尊敬語としても謙譲語としてもよく使う「お」「ご」の付く言葉、使い分けですが、基本の使い分けを知って言葉や場面に応じてうまく使い分けることがスマートな言葉づかいといえるでしょう。
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