食と健康

生理中に食べてはいけないもの・いい食べ物・摂りたい栄養素

【管理栄養士が解説】生理中に食べてはいけないもの、だめな食べ物、いい食べ物はあるのでしょうか。生理中に起こる生理痛や生理前後の体調不良に合わせて食事メニューなどを工夫することも大切です。生理中に避けるべき食べ物、積極的に摂りたい栄養素・食べ物について解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

生理痛の原因・症状……食べ物で悪化・軽減することはある?

パソコンの前で伏せっている女性

女性なら誰でも毎月起こる生理。「その度、辛い思いをしている」という人も少なくありません。食事で生理の不快感を和らげる方法はないのでしょうか?

毎月起こる生理(医学的に正しくは「月経」「月経痛」ですが、一般的に「生理」と呼ばれることが多いため、以下「生理」「生理痛」と表記します)。生理前後の不調や生理痛などは、多くの女性が経験したことがあると思いますが、生理痛が起こる仕組みを説明できる方は少ないのではないでしょうか?

実は生理痛のメカニズムはまだ明らかになっていません。生活習慣と関連しているという説もありますし、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの不足や過剰、ビタミンB群の欠乏症など、諸説あります。近年、最も有力視されているのは、なんと男性ホルモンのアルドステロン分泌過剰説。ただし、エストロゲン、プロゲステロンのどちらが分泌を亢進しているのか不明であるなど、はっきりしない部分が残されているのです。

また、特に出産を経験していない女性の場合、子宮頚管が硬く内膣が狭いため、凝血が通過する際に痛みを訴えたり、子宮の個人差によって経血がスムーズに排泄できずに子宮内に滞りがちになってしまうことで、腹痛や腰痛を招いたりすることもあるといわれています。

今回は管理栄養士としての知識から、生理中の食べ物、食生活の注意点とポイントを解説します。

<目次>  

生理中に食べてはいけない食べ物・生理痛を悪化させる食べ物

このように、生理中はホルモンバランスや体の物理的な状態が通常時と異なっています。このような時に避けたほうがよい食べ物は以下のようなものが知られています。

生理中に食べてはいけない「体を冷やす食べ物」
アイスクリーム、冷たい飲み物など、体が冷えて血流が悪くなり、経血がスムーズに排泄されず生理痛を悪化させてしまうことがあります。

生理中に食べてはいけない「糖類の多い食べ物」
クッキーやキャンディー、ケーキなど砂糖を多く含む食べ物はホルモンバランスが崩れて、生理痛がひどくなる恐れも。少しでガマンするか、フルーツ類を食べるようにしましょう。

生理中に食べてはいけない「インスタント食品」 
生理中に限らず、食べない方が望ましいのですが、添加物が多いため血流が悪くなり、生理痛が悪化すると考えられています。特に生理中は避けた方がよいでしょう。

 

生理中に控えるべきダメな飲み物……飲酒・アルコールで貧血リスクも

生理中でも女子会やデートの誘いがあったら、参加したい気持ちもあるでしょう。もちろん、気分転換に参加するのもよいと思いますが、少し注意が必要な飲み物もあります。

■生理中に控えるべき「アルコール」
アルコールを飲むことで血流が促進され、経血量が増えてしまうことがあります。経血量が増えることで貧血を起こしてしまうリスクがありますので、いつもよりも飲酒量は控えめにすることをオススメします。

生理中に控えるべき「カフェインを多く含む飲み物」
コーヒーや濃い緑茶、紅茶などのカフェインを多く含む飲み物には体を冷やす作用があります。体が冷えると生理痛が悪化しやすいので、ご注意を。
 

生理中に摂りたい食べ物・栄養素……ビタミンB群・亜鉛など

生理中に積極的に摂りたい栄養素についてもお話ししましょう。

■ビタミンB群 
ビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビオチンの8種類があります。これらのビタミンは体内で複雑に連携しあって働いています。どれか1つということではなく、日頃からまんべんなく摂取することが望まれます。これは生理中も例外ではありません。ビタミンB群は植物性食品に含まれているものが多いですが、ビタミンB12は動物性食品にしか含まれていません。動物性食品は太る、動物性食品はエストロゲンの分泌が増加して生理痛がひどくなる、などと考えて避けすぎると逆効果になります。気を付けてください。

また、妊娠を希望している方にとっては、葉酸は特に大事な栄養素になります。詳しくは「男性もシニアも摂るべき葉酸…脳梗塞・認知症予防にも」をご覧ください。妊娠前から積極的に摂取するようにしてくださいね。

■亜鉛
不足すると「味覚障害」になることが知られている亜鉛ですが、ビタミンB6と協力してホルモンを活性化させる働きがあります。亜鉛は、貝類、赤身の肉、レバーなどに多く含まれています。

■カルシウム・マグネシウム 
カルシウムとマグネシウムが減少すると、イライラしやすくなると言われています。生理中の不快感で上位を占めるのは「憂鬱になる」「イライラする」「怒りっぽくなる」「無気力になる」などが挙げられます。これらを解消するためには、カルシウム、マグネシウムの力を借りるのが一番です。

カルシウムは牛乳などの乳製品に、マグネシウムは大豆製品や緑の野菜に多く含まれています。栄養素ではありませんが、「食事回数」が少ない人は、イライラなどの「気分の不快」を訴える人が増えるという統計もあるそうです。

特に毎日、朝食を摂らない人は、イライラしたり、落ち着かないなど負の感情が強くなる人が多くなるようです。ちなみに、その研究では、睡眠習慣と生理中の気分の不快に関係はなかったとのことですから、しっかり食事を摂ることがいかに重要かお分かりいただけると思います。

朝食は、学業成績を上げたり、幸せな気分になったりと、よいことがいっぱいです。詳しくは「朝食抜きは絶対NG!その理由と朝食習慣化のコツ」「朝食効果は心の健康にも!朝ごはん習慣で幸福度UP」をご覧ください。ぜひ、朝食習慣を身につけるようにしてください。

毎月のことと分かっていながら面倒にも感じてしまう生理ですが、女性の営みとして大切なものでもあります。ぜひ、食生活などにも気を付けながら、快適に乗り切りたいものですね。

【関連記事】
参考文献:
齋藤千賀子、西脇美春:月経パターンと月経時の不快症状及び対処行動との関係 山形保健医療研究 8, 53-63, 2005
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