テレワーク導入時のマネジメントのポイント
テレワーク導入時のマネジメント
テレワークとは、インターネットなどを使って時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働くことをいいます。テレワークのほか、在宅勤務、在宅ワーク、モバイルワーク、リモートワークなどの言葉が近い意味で使われています。
今、多くの企業でテレワークの導入が進んでいますが、このテレワーク、上手に使わないと生産性がむしろ下がってしまいます。
テレワークの効果や課題、導入時に気を付けたいマネジメントのポイントなどをご紹介します。
こんなテレワークが、生産性を下げる!
「今日はテレワークだから、のんびり仕事をしよう」「誰も見ていないから、多少手を抜いてもばれない」……。こんなふうに、テレワークを“仕事をさぼれる制度”と思っている部下もいるかもしれません。逆に、「終わらなかった仕事を自宅で仕上げよう。深夜までかかってもテレワークだからばれないし……」という部下もいます。一見すると、仕事熱心ですが、これは立派な「残業」。決められた時間内で成果が上がらない(生産性が低い)状態を放置することになりますし、サービス残業自体も問題です。
基本的なしくみがない中でテレワークをはじめると、よほど個々の社員の自律性が高くない限り、成果が上がらなかったり、長時間労働を助長したりといった結果になってしまいます。
テレワークは上手に使うとあなたのマネジメントスキルを上げ、チームの生産性を向上させるものですが、上司と部下が注意点をわかっていないと、生産性を著しく下げるきっかけにもなりかねません。
テレワークで成果最大にする!マネジメントの「3つのポイント」
テレワーク導入の成果を最大化するポイント
1)あらかじめ、その日の予定を共有する
テレワークをする日は、部下に何時から何時までどのような仕事を進める予定かを共有してもらいます。これで仕事の内容が可視化され、一日の仕事のメリハリがつき、上司は進捗を気にしすぎることなく業務支援ができます。
このとき、共有する予定はあまり細かすぎないようにします。部下は、「いつもの通勤時間に本を多く読みたい」「家族の看病で離席が必要」など、さまざまな事情でテレワークを選択しています。
テレワークは「会社が社員のプライベートに配慮している」と伝える機会でもあります。テレワーク時こそ、勤務時間ではなく、出した成果で評価するようにしましょう。細かすぎる情報共有はお互いの信頼関係を損ねます。共有するのは所要時間の目処や優先順位程度にし、部下に判断を任せましょう。
2)成果や進捗を確認するタイミングを設ける
テレワーク実践者からよく聞く課題が「ちょっとした相談がしにくい」「オフィスの状況がわからない」といったものです。
オフィスにいれば、同僚や上司の状況が見えますし、雑談を通じた質問などもできますが、テレワークの場合はこれができません。
この解決策として、あらかじめ「ちょっといいですか」と尋ね合う時間を決めておきましょう。
「11時に10分くらいチャットで進捗の確認をしよう」「午後3時にチームのA・Bさんと資料の読み合わせをしよう」といった具合です。
3)上司自身がテレワークを体験する
なによりも大切なのが、この3つ目のポイント。それはまず上司自身がテレワークを実践することです。
私は企業の働き方改革のコンサルティングを行っていますが、各社の現場でよく聞くのが「部下はテレワークをしていますが、上司の私は経験がないので、良さがわからないんですよね……」という声。これは「部下には有給休暇をとらせているけれど、自分は3年間、1日も休んでいません!」と豪語する”残念な上司”と似ていますね……。
より効果的なマネジメントのためにも、まずは実践です。
とはいえ、いきなり「終日テレワーク」はハードルが高いかもしれませんので、まずは「午前中だけ」など少しずつ始めてみましょう。「水曜日の午前中にやってみるよ」と事前に周囲に伝えれば、さらにハードルは低くなるはずです。
また、テレワークの際には、
・テレワークに向く仕事・向かない仕事
・コミュニケーション上のメリット・注意ポイント
・それらのメリット・注意ポイントは、”テレワーク特有”のものか
という3点を考えてください。
特に3つ目のポイントが重要です。
つい「コミュニケーションがうまくいかないのはテレワークのせい」と考えがちですが、客観的に分析すると、そもそもチームの人間関係に問題があるケースや、情報共有の仕組みがないためにオフィス外では何もわからない、といったケースもよくあります。
テレワークをきっかけに、チームの本当の課題に目を向けてみてくださいね。
いかがでしたか?
私の会社では、創業時から10年以上、全社員がテレワークを実践しています。その威力を最も感じたのは、東日本大震災の時でした。交通機関がマヒして出勤できなくても日頃からテレワークに慣れていたため、問題なくコミュニケーションをとり、仕事を進めることができました。
「いつかやろう」ではなく、「今、はじめてみよう」と一歩を踏み出していただけたら幸いです!
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