お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

36歳貯金40万。頭金ナシで4000万円の住宅購入したい(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、1年以内に4000万円の住宅購入を考えている36歳の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 4000万円の住宅購入はリスクが高すぎる

4000万円の住宅購入についてのご相談ですが、ともあれ、試算をしてみましょう。
購入は来年(37歳)、頭金はなしで借り入れを全額の4000万円とします。予定されている変動金利で、金利はやや高めですが0.85%で設定します。その返済額ですが、30年返済とすると毎月約12万6000円(ボーナス払いなし)。これで完済が67歳のときです。

また、ランニングコストとして、固定資産税を月割りで1万円。また、マンションと違い一戸建ては管理費や修繕積立金がありませんが、その分、将来の修繕費用等は自分で備えなくてはいけません。それを低く見積もって月1万円としても、住宅ローン以外に月2万円は住宅コストがかかるということです。

結果、先のローンと合わせて月14万6000円。現在、家賃が6万円。毎月の貯蓄が9万円ですから計15万円。ほぼ毎月の貯蓄はできなくなります。ボーナスから現在どれほど貯蓄に回っているかは定かではないですが、あまり貯蓄できないのなら、老後資金はおろか教育資金もままなりません。現状の住宅購入はリスクが高すぎると言わざるを得ないでしょう。

さらに言えば、先の4000万円に諸経費(税金、登記費用、ローン手数料、引っ越し費用、エアコン等の家電や家具購入費用)を考慮していないなら、それもローンに組み入れることになります。余裕を見て200万円とすれば、借入額は4200万円(諸経費込みの住宅ローン)となり、毎月の返済は月13万2000円にアップします。

また、変動金利の利用も、確かに今は超低金利で魅力的ではありますが、今後30年間、この水準が維持される保証はどこにもありません。また、返済期間を35年に延ばすと月11万5000円ほど(4200万円借り入れの場合)に返済額が下がりますが、完済が72歳のとき。確実に繰上返済ができる状況(住宅ローンを支払っても貯蓄できる、手持ち資金がまだ十分あるなど)でなければ、定年後12年間も住宅ローンを支払う家計負担は、リスク以外の何者でもないのです。
 

アドバイス2 バランスを考えれば2500万円が借入の上限

では、どの程度の住宅ローンなら組んでも安心できるでしょうか。現在の家計状況を考え合わせると、概ね2500万円が上限だと考えます。

仮に2500万円を借り入れて、30年返済だと金利0.85%で、毎月の返済は約7万9000円。これが全期間固定、金利1.5%なら、月約8万6000円です。この程度の返済であれば、現状で毎月4万~5万円は貯蓄できます。これにボーナスから何とか頑張って半分の40万円を貯蓄に充てれば、年間の貯蓄は90万~100万円。定年までの23年間、これを維持すれば確実に2000万円超の貯蓄ができます。ここから教育資金(学資保険の満期金の補足分)を差し引いて、1500万円残ったとすれば、それに退職金を加算した額が老後資金となります。場合によっては、そこから繰上返済をしてローンの完済を60歳近くに前倒しすることも可能でしょう。

現状で2500万円を借り入れるということは、諸費用が用意できません。その分を差し引くと、物件価格は2300万~2350万円といったところ。希望されているプランの半分近く、価格を下げなくてはいけないということです。
 

アドバイス3 保険は見直しの余地あり。早く保障内容の確認を

そこまで住宅を下げられないのなら、現実的な方法は2つ。親御さんにまとまった額の援助をしてもらうか、世帯の収入アップです。前者は、例えば500万円資金援助があれば、その分、物件価格を上げられます。問題は後者の場合。ご主人の転職は不確定な部分が多いですから、結果的に奥様が今より働くしかありません。より長時間パートで働くか、フルタイム勤務を目指す。それで現在より月7万円ほど貯蓄に回せる額が増えれば、4000万円に近い物件価格も手が届くかもしれません。

ただし、それでも大きな借り入れは危険。また、クルマを購入したばかりとは言え、手持ち資金が40万円という状況も、不測の大きな支出に対応できません。まずは、数年貯蓄に励み、現金=住宅資金を作ることを優先するのがいいのではないでしょうか。

最後に家計について。見直して支出を下げることができれば、それだけで、貯蓄ペースは上がります。そこで気になるのが、学資保険以外の加入保険。月3万2000円の保険料となっていますが、ネット専業の保険会社の商品でこの保険料だと、かなり保障額が大きいか、特約を数多く付加していると考えられます。保障内容が不明なため、具体的なアドバイスはできませんが、必要な死亡保障額はご主人が現状で3000万円(小学生以下の子ども2人、持ち家なし)、これを終身ではなく、掛け捨ての定期保険か収入保障保険で確保するのが合理的。余分な特約を付けなければ、保険料は月5000円前後で済むと思います。奥様の死亡保障は、共済で医療保障とともに最小限確保すれば月2000円程度。これにご主人の医療保障(入院5000円)を加えても月1万円程度です。ご自身で保障内容をよく確認し、見直せる部分は見直すことをおススメします。
 

相談者「ティマトゥン」さんから寄せられた感想

ご回答ありがとうございます。相談してよかったです。現実を見つめることができました。住宅メーカーの営業の方の話がどこか不安だったので。今一度、自分でもよく考え直してみます。本当にありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

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