ハースストーンの無料で遊べる1人用モードが恐ろしい面白さ
カードパックを開けなくても遊べます
最近は、トレーディングカードゲームのゲーム設計をベースに、スマートフォンなどで遊びやすくしたデジタルトレーディングカードゲームという分野も盛んです。日本ではCygamesの「シャドウバース」が人気ですし、2018年11月2日にはスクウェア・エニックスから「ドラゴンクエスト」シリーズのデジタルトレーディングカードゲーム、「ドラゴンクエストライバルズ」がリリース、12月18日には1,200万ダウンロードを突破しました。
日本ではこの2タイトルが非常に人気なんですが、実はこれらはBlizzard Entertainmentが提供する「ハースストーン」という、先行タイトルのフォロワーと言えます。ハースストーンは世界的に人気な、デジタルトレーディングカードゲームの火付け役で、なんとプレイヤー数は7,000万人を突破しています。
このハースストーンが「コボルトと秘宝の迷宮」という新しいカードパックを2018年12月8日にリリースしました。新しいカードパックはゲーム内通貨で獲得、あるいは有料にて購入するんですが、新カードパックの購入の有無にかかわらず、すべてのプレイヤーに無料でアドベンチャーモードという、本編とは別のゲームモードが提供されました。
ハースストーンは集めたカードで戦う対人戦が本編と言えますが、これはコンピューター相手の1人用モード、おまけのようなものです。しかしこれが、すさまじく面白いのです。ガイドは前もって新カードの情報を念入りに調べ、5,000円を出して新カードのパックを購入し、初日からガッツリ対戦を楽しむつもりでいましたが、このアドベンチャーモードが面白すぎてしばらく対戦ができないほどでした。
そしてもう一度言いますが、そのすさまじく面白いアドベンチャーモードは無料なのです。ハースストーンに関して言えば、いわゆる「基本無料」なわけですが、このアドベンチャーモードに限って言えば、「完全無料」です。クリアするためにはカード資産が必要ということすらなく、お金を払う場面は一切ありません。
これをやらないのはあまりにもったいない話です。対人戦部分も非常に面白いのでオススメではあるんですが、今回は、この無料の部分だけでも大変に面白いので、オススメしておこうと思います。今はドラゴンクエストライバルズなどでカードゲームに興味を持たれた方も多いでしょうから、ぜひ試していただきたい次第です。
ダンジョンを潜ってカードを集め、ボスを倒す
基本は、カードで「ミニオン」と呼ばれるモンスターなどを戦わせて、スペルや武器なども駆使し、相手のヒーローの体力を削り切れば勝利というゲームです
ここでは、カードゲームとしての基本ルールは割愛しますが、シャドウバースやドラゴンクエストライバルズはそもそもハースストーンの派生と言えるゲームなので、それらをプレイしている人ならすぐに理解できる程度の違いです。以下は、基本のルールなどに触れた紹介記事となってますので、気になる方はご覧になってみてください。
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ハースストーンでは9人のヒーローがいて、それぞれに専用カードがあります。ヒーローを1人選んでスタートすると、まずは最初のボスと対戦します。カードセットはヒーローごとに初期のものが用意されていますが、カードの枚数はたった10枚、そして基本的なものしか入っていない貧弱なセットです。しかしご安心ください、最初はボスも極めて弱い敵しかいません。
ボスに勝つと戦利品がもらえます。3枚セットになったカードが3種類ランダムに表示されるので、そこから1セットを選びデッキに加えます。手に入るカードセットはそれぞれテーマごとにまとめられていて、巨大なミニオン(場に出して戦わせるモンスターなどのカード)や、逆にコストの安い小型ミニオン、スペルのカード、武器のカード、あるいは倒された時に発動する「断末魔」の能力を活用するカードなんていうセットもあります。テーマを持ったカードセットから選べることで、ランダムではありますが、意図的なデッキ構築がしやすくなっています。
また数回に1度、戦利品とは別にダンジョンのお宝を見つけることができます。カードゲームをやり慣れている人なら、一見してゲームバランスを破壊しかねないと思うような強力なアイテムばかりが用意されています。
そのターンのミニオンを全てコスト0で召喚する「ヘイストブーツ」、自分の味方のミニオン全てが常に相手の攻撃や能力、スペルの対象とならない「透明マント」、スペルによるダメージが常に+3される「魔術師のローブ」などなど、こちらもランダムに表示される3種類から1つを選ぶ方式です。
ボスを倒し、戦利品のカードをピックアップ、そしてたまに宝物を加える形でデッキを強化し、8体のボスを倒し切ればクリアという流れです。プレイヤーは自分のデッキがどうなっているか、どうしていきたいかを考え、カードセットや宝物を選択してより強力な組み合わせを目指していきます。
愉快でとんでもないボスたち
愉快で楽しいボスたちがダンジョンでプレイヤーを迎え撃ちます
ヴェックスはこの能力を利用して、例えば「倒されると復活する」というような断末魔能力を仲間に付与するミニオンを使ってきます。この能力が付与された状態でミニオンが倒されると、復活の断末魔が2回繰り返されるので、2体に増えるという現象が起こります。うっかり倒せなくなるわけです。
しかし、ものすごく強いかと思えば、必ずしもそうではありません。ヴェックスは、倒されると味方を含めた全てのミニオンにダメージを与える、そんな断末魔を持つミニオンも繰り出してきます。
全体ダメージの断末魔を持つミニオンが複数いて、さらに復活の断末魔が付与されていると何がおこるでしょうか?1体が倒されると全体ダメージが2回繰り返され、それによって倒された他のミニオンの断末魔によるダメージがまた2回繰り返され、復活で出てきたミニオンがさらに倒されて、そのミニオンがまた全体ダメージを繰り返し……まるで地獄の炎のように画面中を焼き尽くすまで連鎖が止まらなくなることもあります。
プレイヤーは何も考えずに進めれば、倒せば倒すほど相手のミニオンが増えてしまったり、大爆発に巻き込まれてあっという間に自分のミニオンが消えてなくなりますが、断末魔の連鎖をパズルのように見極めれば、導火線に火をつけるがごとく極めて少ない手で相手だけを壊滅させることも可能です。
さらにとんでもない力を得るプレイヤー
自分の陣地を爆弾だらけにする…なんていう宝物も
コストを無視して毎ターン強力なミニオンを召喚する者、プレイヤーのミニオンを破壊し、奪い、デッキに戻したりとやりたい放題する者、あるいは毎ターンプレイヤーのデッキのカードを破壊していくもの。
しかし、ここまでプレイヤーも様々な強化をしてきています。スペルカードをひたすらとった上に、宝物の効果でスペルの攻撃力を最大限にパワーアップしたり、巨大なミニオンとそれを低コストで呼び出すための宝物の組み合わせ。
さらには自分のヒーローがダメージを受けないという効果を発揮するミニオンと、自分のミニオンが攻撃や能力、スペルの対象にならない透明マントを組み合わせて、ミニオンを倒さないとヒー ローがダメージを受けないのに、そのミニオンに攻撃できないという、鉄壁の防御を固めてみたり。さまざまな方法でとんでもないボスをさらに上回るとんでもない力を得ることが可能です。
さあ、最後はボスのとんでもない能力とプレイヤーのとんでもないデッキのどちらが勝つか大決戦です。
ローグライクダンジョンカードゲーム
思わず「もう1回!」と言いたくなる面白さがあります(イラスト 橋本モチチ)
しかし、それこそ何度でもトライしたくなる魅力があります。何しろ宝物はどれも使ってみたくなる強力なものばかり。いろんな組み合わせが頭に浮かびます。最初から狙った通りのカードが来て、今回こそいけると意気込む時もあれば、うまくカードが取れなかったと思っていたのに思わぬ1枚で大逆転が演出されることも決して珍しくはありません。
とんでもない宝物、とんでもないボス達、そんな中で毎回ピックアップにワクワクして進むと、自分が思いがけないような能力と能力のシナジー、さらにボスの能力も組み合わさって予想もつかない展開となります。
そして、何度もトライするうちに、それはそれはドラマチックなクリアを収めるのです。ゲームが破綻しそうなレベルのワクワクが、絶妙なランダム性によって破綻することなく存在し、勝つにせよ、負けるにせよ、毎回ドラマを生みます。
そのワクワク感やドラマが、何度遊んでも、失敗しても、成功しても、もう1回やりたいと思わせます。やってもやってもやめられなくなり、クリアすると自分がどんなデッキで、何の宝物を使い、どんなボスを相手に何が起こってクリアしたのか、周りの人に言いたくなるのです。
実際、ガイドが所属しているハースストーンのLINEコミュニティでは、このアドベンチャーモードが実装されてからそんな声で溢れています。まるで学校から帰った小学生のように、みんな嬉々としてゲームで起こったことを話すのです。
この感じが非常に似ているのは、不思議のダンジョンシリーズに代表されるローグライクという分野のゲームです。ダンジョンを潜って、アイテムを集め、どんどん強くなる敵に対し、それ以上に自分を強化して最奥を目指す、かなり共通する部分があります。ローグライクダンジョンカードゲームと言って良いかもしれません。
いかがでしょうか、強力な宝物、毎回ピックアップで強くなるデッキ、手ごわく、たまに間抜けなボス達、そしてそれらが巻き起こすドラマチックなバトル。興味をもっていただけましたでしょうか。そしてもう1度繰り返しますが、これは無料なんです。
別にパックを買う必要はありません。対人戦も大変オススメではありますが、アドベンチャーだけ遊んで満足したら削除するのも個人の自由でしょう。躊躇する理由があるとすれば、あまりに面白すぎて他のゲームを遊ぶ暇がなくなることぐらいです。ぜひ、お試しくださいませ!
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