アドバイス1 第二子は親御さんへの資金援助の減額が条件
貯蓄ペースは現在、月9万円、ボーナスからは半分貯蓄に回るとすると、年間120万円ほど。ご主人が定年65歳までということなので、昇給分を考慮しないと27年間で約3250万円。お子さん一人のあたりの教育費を含む養育費を1500万円とすると、学資保険の満期金が200万円ありますから、残りは今ある貯蓄と合わせて2000万円となります。したがって、第二子が生まれると、残りは500万円。お子さんの進路によっては教育資金はもっと下がりますが、老後資金は退職金に頼る部分が大きいと言っていいでしょう。現状のままでも、マネープラン的に「第二子は無理」とは言いませんが、リスクはそれなりにあると思います。また、第二子を3年後とすると、ご主人の年齢は45歳。そのお子さんが大学を卒業するとき、すでに67歳になっています。この時点でもし教育費が家計負担となっていると、老後資金そのものも、試算以上に目減りしてしまうことになります。
したがって、希望される第二子の資金的条件としては、65歳の時点でより貯蓄ができるということ。収入アップや生活費を抑えることも、そのための方法ではありますが、もっとも確実なのは、親御さんへの資金援助の減額です。
独身時代に親御さんと自分が住むために家を購入したこと、また頭金は親御さんが出してくれたというプロセスを考えれば、住宅ローンの支払いはまだ仕方がないかもしれません。しかし、生活費も加算して月12万円を渡しているのは、現状を考えればやはり過大です。援助は8万円に下げて、住宅ローンを除く4万円は、貯蓄に回すべきだと思います。
詳しい状況はわかりませんが、よほど困窮していない限り、親御さんの生活費は介護も含め、親御さんの貯蓄と年金の範囲内でというのが、FPの基本的な考えです。親御さんを思う気持ちは十分わかります。しかし、伊勢エビさんが資金的に優先すべきは、ご自身の家族です。第二子を希望されるなら、そのための資金が親御さんの援助より優先されます。もちろん、最後の判断は伊勢エビさんご夫婦がすることですが、アドバイスとしてはそうなります。
アドバイス2 老後資金はある程度備えられる
貯蓄を月4万円アップできれば、27年間で約1300万円、貯蓄額を上乗せできます。これはそのまま老後資金に回せると考えれば、夫婦の退職金1200万円と合わせて2500万円。公的年金の支給額は不明ですが、仮に公的年金で月5万円生活費が不足すれば、90歳まで生きたとして不足額の合計1800万円。長生きリスクや、不測の大きな支出(介護費用、住宅リフォームなど)にもある程度備えることが可能です。また、老後資金の作り方としては、やはりiDeCo(個人型確定拠出年金)が節税にもつながり有効な手段ですが、今はまだ流動資産として貯蓄を増やしていく時期。第二子が幼稚園もしくは保育園に通い始める頃から始めてもいいのでは。
生活費については目立つような無駄はありません。細かく見ていけば、トータルで1万円程度は削れるかもしれません。ただ、保険は見直しができそうです。夫婦とも医療保障がやや多めです。ともに医療保険は解約してもいいのでは。ご主人は定期保険の医療特約を外してもいいと思います。
アドバイス3 実家をどうするのかを決めることが大事
あとは、住宅購入ですが、借入額によっては住宅ローンを支払うことは可能です。金利を全期間固定1.5%、返済期間20年で1300万円借り入れると、毎月の返済額は約6万3000円。他にランニングコストとして、固定資産税と一戸建てであれば将来の修繕費用分として積み立て分を加えれば、住宅コストはほぼ現在の家賃と近い額になります。ただし、頭金をどの程度用意できるのか。実際は先に試算した老後資金を削ることにもなります。その上で、希望する物件価格に諸費用(100万~150万円ほど)を加算した額が用意できるかどうか。もうひとつの懸念は、ご実家です。ゆくゆくは伊勢エビさんが所有することになりますが、将来的にその実家をどうするのか。売却する場合、立地によってはなかなか売れない、更地にする費用を差し引くといくらも余らない、という可能性もないとは言えません。また、現在は部屋数が少なく、同居は難しいとのことですが、リフォームをすれば可能なのか。あるいは自分たちが老後に住むことも考えているのか。
おそらくすぐには答えは出ないと思います。少なくともそれが決まるまでは、購入は待つべき。新たに購入するにしても、もう少し家計が落ち着き、今後のマネープランがより固まってからにした方が賢明でしょう。
あと、気をつけたいのは伊勢エビさんの健康面。以前体調を崩されたわけですが、今も会社員として働き、育児に家事もこなす。親御さんが見てくれるとは言え、第二子が生まれれば、負担は倍増します。したがって、資金管理だけでなく、健康管理も十分に気を配るべき。ご主人にも協力してもらい、ときには息抜きもする。そのための支出は必要経費。その分、貯蓄ペースが落ちても、結局は貯蓄の継続につながります。予算を決めて上手に家族で楽しみ、豊かに過ごすことも忘れないでください。
相談者「伊勢エビ」さんより寄せられた感想
隅々まで拝読いたしました。やはりこのままの状況では厳しいと認識いたしました。同時に、何にどれくらいの資金が必要かもよく分かりました。深野先生から頂いたアドバイスをひとつずつ実践し、今後については夫ともよく相談しながら進めて参ります。ありがとうございます。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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