子どもは2人希望、どうやって教育資金を準備すれば……

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、子どもを希望するものの不安も抱える30代の女性会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

子どもが欲しいが貯金がない

子どもが欲しいが貯金がない



■相談者
ぷにょさん(仮名)
女性/会社員/31歳
賃貸住宅

■家族構成
夫(会社員/34歳)

■相談内容
早く子どもが欲しいと考えていますが、貯蓄といえる貯蓄がなく、不安です。子どもは2人、大学まで進学させ、できるだけ奨学金には頼りたくないと考えています。この状況で、子どもができたらどうすればいいかわかりません。また、マンションを将来的には購入したいと思いますが、全く手の届かない話です。毎月の定期も、ある程度たまっては引き出すということが続き、ここ半年は定期を休止していましたが、今月より再開しました。毎月の生活や将来のことがとにかく不安でなりません。

■家計収支データ
「ぷにょ」さんの家計収支データ

「ぷにょ」さんの家計収支データ



■家計収支補足データ
(1)夫の勤務先について
妻の実家が会社経営をしており、そこに勤務している。

(2)ボーナスの使いみち
すべて生活費の補てん

(3)自動車ローンについて
借入額/80万円、借入開始/H28年夏、返済期間/4年間

(4)その他のローンについて
・夫借金返済/残高60万円、返済毎月3万円(キャッシング/夫の独身時代の娯楽費)
・旅行費用の分割分/残高10万円、毎月返済2万円
・他にカードのリボ払い/残高25万円

(5)交際費について
交際費として、夫婦で多くて月1万~4万円。とくに身内のイベント行事が、ほぼ毎月あり、それに多く支出する。食費やプレゼント代などで、1回につき1万5000~2万円。

(6)加入保険の保険料内訳
・夫/医療保険(入院日額1万円、他に特約)
・妻/医療保険(入院日額1万円、死亡10万円、他に特約あり)
合計で保険料1万500円ほど。ちなみに妻に持病あり。新規保険加入は難しい。

(7)出産後について
出産後、職場復帰は可能。夫婦とも実家が近く、出産後のサポート(育児等の支援)はほぼ問題ない。

(8)ご実家について
実家は賃貸のため、土地建物の相続は発生しない。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 すべての支出を明確にしてから家計を見直す
アドバイス2 今後は「ローンはしない」「余分な支出はしない」
アドバイス3 教育資金づくりも住宅購入も可能だが、あくまで条件付き

アドバイス1 すべての支出を明確にしてから家計を見直す

貯蓄ができない原因ですが、結論から言えば、それだけ支出しているということになります。ぷにょさんの世帯収入と家族構成や家庭環境を考えれば、貯蓄することはさほど難しくありません。まずはそこの改善から取り組みましょう。

家計データを拝見すると収入が手取りで月額44万円。支出合計は36万円で貯蓄が毎月3万円ですから、5万円の行方が不明となります。これは年間60万円にもなる金額。また、ボーナスも生活費の補てんで消えてしまうわけですから、実質68万円が、少なくともこのデータに明記されていない支出ということになります。

クルマの維持費(車検、保険、税金等)は、そういった支出となっているのでしょうが、それを差し引いても、おそらく50万円近くは余るはず。その支出が何かは明らかにしておくべき。使途不明金(何に使ったかが不明)であれば、なおさら。金額が大きいだけに、ここを最初にクリアにしておきましょう。

次に、支出を見直す作業になります。すべての支出が出揃ったところで、支出費目に優先順位をつけます。つまり、どの費目ならどの程度削ることができるのか。一般的に見れば、交際費は過大となります。しかし、それが重要であれば、他を削ればいいのです。あくまで、ぶにょさんの世帯の優先順位で構いません。

ただし、保険だけは見直しが必要。ご主人の医療保険は、入院給付が1万円ですが、家計状況を考えればそこまで必要とは思えません。5000円に下げましょう。それだけでご主人の保険料は半分程度に抑えられます。

アドバイス2 今後は「ローンはしない」「余分な支出はしない」

では、家計を見直す目安となる貯蓄額は、毎月どの程度していけばいいのか。

上記のマネーデータどおりの支出(月額36万円)であれば、月8万円の貯蓄が可能となりますから、まずはそれを目標にしてください。これで年間96万円。クルマの維持費や不定期な支出(冠婚葬祭、医療費など)、あるいはクレジットカードのリボ払いはボーナスでカバーし、それでも足りない分を貯蓄から捻出したとしても、年間80万~90万円はできるはずです。

また、自動車ローンが3年後に、ご主人のキャッシングは2年後に、旅行代金の借り入れは年内に完済となります。すべて完済すれば、月額で約7万円の負担がなくなります。つまり、今後は月15万円の貯蓄も可能ということになります。

実際は、奥様が出産となれば、一時期収入が下がりますので、それを考慮しても平均10万円の貯蓄は可能でしょう。つまり、ボーナスが少額であっても、年間120万円、25年間で3000万円貯めることができる家計だということになります。

それを実現するため注意したい点が2つ。
まず今後は住宅ローン以外、新たにローンを組むことやキャッシングの利用、さらにクレジットカードのリボ払いもやめましょう。クルマの買い替えも、下取りプラス現金で購入するくらいの気持ちでいいと思います。

もうひとつが、気の緩みによる支出増です。今後、ローンの支払いが軽くなっていくにつれ、家計にも余裕が出ます。そのため、気持ちも軽くなり、つい余分に支出してしまう。どんな人にもありがちなことです。
もちろん「ひたすら節約」では息が詰まります。貯蓄で大切なのは継続。そのためにはメリハリが効果的なのです。ときに家族で旅行に行ったり、外食をしたりといった息抜きをする。そういった予算は事前に組んでおき、その範囲内で行うようにしていくことがポイントです。

アドバイス3 教育資金づくりも住宅購入も可能だが、あくまで条件付き

さて問題は、この貯蓄ペースで教育費はカバーできるかどうかです。
お子さんが2人の場合で試算してみると、高校まで公立であれば、大学卒業までに子育てにかかるすべての費用は1人あたり1000万~1100万円と言われています。ここでは、2人で2200万円はかかるとします。一方、お子さんがいる世帯には児童手当が支給されます。これを全額貯蓄すれば1人あたり約200万円。したがって、実際に用意すべきは、2人で1800万円ということになります。

また、上のお子さんが来年、下のお子さんが3年後に生まれたとします。下のお子さんが大学を卒業するのが25年後。その間、3000万円貯蓄できるわけですから、それでも1200万円が残ります。

このとき、ぷにょさんは56歳。定年まで同じペースで貯めれば、60歳のときの貯蓄額は1680万円。あくまで概算ですが、たとえば1500万円程度の中古マンションなら、定年までに完済できる(諸費用は別途100万~150万円)ことになります。つまりは、お子さん2人を大学卒業まで育て、かつマンションも購入することが計算上は可能ということです。

しかし、そうなると、ぷにょさんが定年のとき貯蓄はゼロに戻ります。そして、退職金が出るとすれば、それが唯一の老後資金となります。したがって、夫婦とも少なくとも65歳まで、できれば70歳まで働くことを目標にして、できるだけ老後資金を取り崩さないようにする。そして、普段の生活費は公的年金で収まる範囲にすれば、貯蓄が大きく減ることもありません。

理屈の上では、老後生活も乗り切れることになります。
ただし、このとおりすべての事が進むとは限りません。大きな支出であればクルマの買い替えがあるでしょう。マンションを購入すれば、固定資産税に毎月の管理費や修繕積立金、駐車場代等の新たなコストが発生します。さらに、退職金も必ず支給されると断言はできません。その結果、老後資金が途中で底をつくというリスクも否定はできないのです。

対策としては、マンションの物件価格を少し引き下げる、貯蓄ペースをもう少し上げる、ご主人が転職し収入アップを目指す、といったあたりでしょうか。

ともあれ、今は目標の貯蓄ペースをしっかり作りながら、状況に合わせて、絶えず無理のないマネープランを組んでおくことが大切です。

ちなみに、大学にかかるお金は、私立文系であれば4年間で平均390万円、私立理系なら520万円ほど。「でるだけ奨学金に頼りたくない」とありますが、そのとおりです。返済の必要がない給付型奨学金がお子さんが大学に入学する頃に広く普及していれば、それはぜひ利用したいところですが、安易に返済型の奨学金や教育ローンを利用することだけは避けるようにしてください。

相談者「ぷにょ」さんから寄せられた感想

この度はご丁寧なアドバイスを頂きましてありがとうございます。漠然とした不安でしたが、先生からのアドバイスのおかげで、少しだけ不安は解消されました。まずは、アドバイスの通り、ローンやリボ払いをなくすことこれを実行し、毎月の返済を早く終わらせて将来に備えたいと思います。ありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  

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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ



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