1位「続『中古"で"いい』から『中古"が"いい』~お墨付き住宅を買う決断」
■統一基準の品質規格を設ける。業界団体の取り組みが実績を伸ばす
見た目はきれいにリフォームされていても、買った後の問題発生が不安だった中古住宅。業界団体が統一基準で欠陥をチェックする品質規格が広がり、安心して買えるようになってきた。
中古住宅に関わる様々な事業者で組織される一般社団法人リノベーション住宅推進協議会では、マンションや一戸建てといった住宅のタイプ別に品質基準を設け、それを満たす物件を「適合リノベーション住宅」としている。その発行件数は今年、制度が始まった2009年からの累計で3万件を突破。10月末時点では33,208件となった。
また、大手ハウスメーカー10社が加盟する優良ストック住宅推進協議会では、加盟企業がこれまでに供給した住宅を査定し、一定条件を満たす既存住宅を「スムストック」としてブランド化。その成約棟数は、ここ3年間で倍増するほど伸び、現在では年間約1,600棟が取り引きされているという。
オールアバウトと住宅メーカー7社が合同で運営するサイト「イエノミカタ」が今年11月上旬、3年以内に戸建ての中古住宅の購入を検討したことがある東名阪エリア在住の30代から50代の男女661人に実施したインターネットリサーチでは、7割近くの人が検討の際に、どの建築会社によって建てられたかを考慮していた。この人たちが、「購入先として検討した建築会社」として最も多かったのが「全国展開する大手ハウスメーカー」で、約8割の人が回答(複数回答)。こうした調査結果からも、大手ハウスメーカーなどによるお墨付きは不安の解消につながることがわかる。
また、来年4月に施行される改正宅地建物取引業法では、媒介契約の時点で住宅を診断するインスペクション業者のあっせんの有無を明示することが求められるとともに、診断結果の重要事項説明が義務付けられる。様々なお墨付きが広まるなか、中古住宅の流通はますます活発になるだろう。
ガイドの解説コメント
「不動産売買」ガイド 平野 雅之
これまで新築住宅が重視されてきた住宅市場も、ここ数年で大きく変わりつつあります。国だけでなく、民間主体の取り組みも数多く生まれており、いまが変革の最中だといえるでしょう。しかし、中古住宅は玉石混淆の状態であり、消費者の不安を一掃することは困難です。また、近年スタートしたさまざまな制度も試行錯誤の側面があり、必ずしもベストな内容だとはいえません。これからも制度変更などを重ねつつ、中古住宅を買いやすい環境づくりが進められていくと考えられます。
空き家の増加が大きな社会問題となる一方で、住宅の省エネ性能向上も大きなテーマとなっています。新築住宅では省エネ基準への適合が義務化される予定ですが、中古住宅(既存住宅)においても一定水準を満たすリフォームやリノベーションの必要性がますます高まっていくでしょう。中古住宅流通市場を活性化していくためには、消費者自身の意識を変えていくことも欠かせません。
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