おせち料理は「作り置き料理」の元祖! お正月料理のメリット
お正月といったら「おせち料理」。これがなくては始まりませんね。でも、そんなおせち料理、栄養面が気になりませんか?
こう考えると「おせち料理」は「作り置き料理」の元祖。「おせち料理」のおかげでお正月三が日の3日間、家族の中の誰かが炊事に追われてしまうことがありません。本当の意味で家族揃っての一家団らんのひと時を過ごすための、生活の知恵だったのかもしれません。
おせち料理の定番の中身は?作り置きできる「縁起担ぎ」・その意味
最近は様々な種類のおせち料理が販売されているようですが、ここで定番のおせち料理の中身について、おさらいしてみましょう。- 黒豆:「まめに働けますように」との願いをこめて
- 数の子:粒の多いニシンの卵である「数の子」は子孫繁栄の願いをこめて
- 栗きんとん:黄金色で大きな粒の栗は商売繁盛を祈願して
- 田作り:江戸時代は、田作りの材料である「かたくちいわし」を原料とした高級肥料が使われていたため、豊作を祈願して
- 海老:腰が曲がった姿から「腰が曲がるまで元気で」と長寿の願いをこめて
- 伊達巻:丸まった形が大切な文書や絵画などの「巻物」を連想させるため、学業祈願に
- 紅白なます:紅白のめでたさと、細切りのにんじんと大根で「水引き」に見立てているという説も
- れんこん:穴があいていて「見通しがよい」
- 昆布巻き:よろ「こぶ」の語呂合わせ
お正月に不足しやすい栄養素・過剰になりやすいもの
冬野菜を使って、おいしい煮物を1品、重箱に詰めておきましょう。不足しがちな食物繊維やビタミン、ミネラルが補えます。
逆に多すぎるものもあります。「おせち料理」は作り置きのおかずであるという性質上、味付けを濃くしておかないと傷んでしまいます。そのため、なますとれんこんは酢を強く効かせますし、他の料理も塩や砂糖を通常の料理よりも多めに使って濃い味付けにします。「食塩過多」「糖分過多」になりやすいため、注意が必要です。
特に、三が日に濃い味付けのおせち料理で過ごした後は、通常の食事の味付けでは物足りないと感じたり、自宅での調理もおせち料理に倣って味付けが濃くなったりしがちです。例年、1月以降の患者様の様子を拝見していると、これが原因で生活習慣病が悪化してしまうケースも散見されます。お正月を楽しむことはたいへんよいことですが、その後はきちんとリカバリーするようにして下さい。
お正月の食の健康ポイント! 意識的に野菜を摂ることが大切
市販のおせち料理では入っていないことも多いのですが、縁起物の野菜を使った「煮物」を1品加えましょう。この時期に美味しくなる旬の冬野菜については、「旬の食材百貨」などのサイトにも詳しく掲載されています。一手間かかりますが、野菜は「飾り切り」をするとお正月らしく華やかになります。包丁で切る切り方もありますが、難しい場合は、抜き型を使ってかわいらしい形を切り抜いてもよいでしょう。どのように切るのか知りたい場合は「飾り切り」で検索するとさまざまなホームページにたどり着くと思います。You Tubeなどの動画で切り方を紹介しているものもありますので、参考にすると面白く、食べる楽しみも作る楽しみもさらに広がると思いますよ。
野菜不足は果物で補えない点も注意を
正月は野菜不足になりがちであることを頭に入れると、「なら手軽に果物で補えば?」と考える人もいるかもしれません。残念ですが、野菜不足を果物で補ってはいけません。野菜のよさは、一部の根菜を除いて炭水化物(糖質)が少なく、食物繊維とビタミンが豊富に含まれていることです。果物は、食物繊維とビタミンは豊富に含まれていますが、糖質が多く、完全に置き換えてしまうと「糖質過多」を助長してしまいます。果物を食べてはいけないわけではありませんが、野菜代わりに大量に食べればよいというものではないので、ほどほどにしておきましょう。
お正月は楽しいひと時ですが、栄養面ではお酒も入ってバランスが崩れやすく、体を動かす機会も減るため、不健康になりやすい時期でもあります。お正月をたっぷり楽しむためにも年末から体調管理を上手に行い、必ずリカバリーをするようにし、新春からまた新たな目標に向かってがんばっていきましょう。