予想テーマ3. 天皇陛下の退位特例法が成立
2016年8月に宮内庁から今上天皇のビデオメッセージが発表されました。この中で天皇陛下は、自身が高齢となり象徴としての務めを果たすことが難しくなることを心配し、生きている間に皇位を譲るいわゆる「生前退位」のご意向を示されました。しかし現在の皇室制度では「生前退位」は認められておらず、これを実現するためには皇室典範と呼ばれる皇室について定めた法律を改定するか、一代限りの特例法を制定する必要がありました。日本国憲法第4条には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。」とあり、天皇の政治的活動を禁止しています。そのため今上天皇の談話を受けて皇室典範を改定したり特例法を設置すること自体が憲法に違反するのではないかとの議論を呼びました。
現在の皇室典範では女性天皇は認められていません。しかし、これまでの日本の歴史では女性天皇は全部で8人(10代)存在しています。聖徳太子(厩戸王)を摂政とした推古天皇、天武天皇の皇后で藤原京への遷都を行った持統天皇、平城京への遷都・『古事記』の完成・和同開珎の鋳造などをおこなった元明天皇、銅鏡を寵愛したことで政治が乱れた称徳天皇などがいますので、これを機会にまとめておくとよいかもしれません。
予想テーマ4. 宗像・沖ノ島が世界遺産登録へ
2017年に「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が新たに世界文化遺産に登録されました。これで日本の世界文化遺産は17件、世界自然遺産が4件の計21件となりました。沖ノ島は4~9世紀に航海の安全と大陸との交流の成功を祈願する祭司が営まれ、その跡が手つかずのまま残っていました。また戦後の調査で、銅鏡や装身具など約8万点が出土し、「海の正倉院」と称されました。現在でも女人禁制で一般人の立ち入りは厳しく制限されています。
世界遺産とは、歴史的に重要な建造物や貴重な自然環境を保護する目的で、ユネスコ(UNESCO:国連教育科学文化機関)が「世界遺産条約」を採択してスタートしました。日本には上記の世界遺産のほかにも、世界文化遺産として歌舞伎・人形浄瑠璃文楽・能楽の3点が登録されて以降、和食や和紙など全21件が、世界の記憶として藤原道長の御堂関白記など5件が登録されています。
福岡県は古くから中国や朝鮮半島との橋渡し役を担ってきました。そのため日本の歴史ではたびたび福岡県が登場します。
福岡県志賀島(しかのしま)で発見された金印には「漢委奴国王」の五文字が彫られていました。中国の歴史書『後漢書東夷伝』には「漢の光武帝が奴国王に印綬を与えた」という記述もあります。663年の白村江の戦いで唐・新羅の連合軍に大敗したことを契機に、九州北岸の防衛のため設置された防人や、その指揮に当たった大宰府も福岡県ですね。文永の役(1274年、最初の元寇)ののちに元の再襲来に備え強化された異国警固番役も福岡県です。福岡県で大問が作れそうですね。
予想テーマ5. 2017年はあの出来事から〇周年
毎年「周年問題」は必ず狙われますので、駆け足でチェックしていきましょう。応仁の乱で京都は焼け野原に
2017年から180年前の1837年には、2つの大きな事件がありました。
ひとつは「大塩平八郎の乱」、もうひとつが「モリソン号事件」です。大塩平八郎の乱は、大坂町奉行所の元役人である大塩平八郎らが起こした江戸幕府に対する反乱のことです。幕府の元役人が起こしたことで天下泰平の江戸時代の人々に大きな衝撃を与えました。このちょうど200年前の1637年には「島原・天草一揆(島原の乱)」が起こっています。
モリソン号事件は、日本人漂流民を親切にも日本に送り届けてくれたアメリカの商船モリソン号に対し、異国船打払令に基づいて砲撃を行ったという事件です。これを受け渡辺崋山や高野長英らが幕府の対外政策を批判したため、逮捕されるという「蛮社の獄」が起こりました。
150年前には江戸時代が終わり明治時代がスタートするという歴史的転換点がありました。1867年の第15代将軍、徳川慶喜による「大政奉還」と、それに続く薩摩・長州による「王政復古の大号令」です。これにより約260年続いた江戸時代と、約700年続いた武家政権が終わりを告げ、日本は近代国家への第一歩を踏み出すことになりました。この一連の政治改革を「明治維新」と言います。なお明治維新の立役者の一人であった坂本龍馬は、大政奉還の直後に京都で暗殺されています。
2017時事問題集
この前後の歴史上の出来事(1931年:柳条湖事件→満州事変、1933年:国際連盟脱退、1939年:第二次世界大戦勃発、1940年:日独伊三国軍事同盟、1941年:太平洋戦争勃発、1945年ポツダム宣言受諾)は、入試においても出題頻度が極めて高いので、年号も含めてしっかりと復習しておきましょう。
時事問題で入試に出題されそうな話題はまだまだたくさんあります。2017年の重大ニュースをまとめた本は各出版社から出されていますので、小学生新聞などとうまく組み合わせながら入試に向けて学習を進めてみてください。頑張りましょう!
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