今年の人気絵本は何?2017年ベストセラーをご紹介します。
今、お子さんと読んでいる絵本を、お孫さんと読む日がやってくるかもしれません。読み継がれているものが多いのも、絵本の特色です
2017年amazonランキングを元に、人気の絵本ランキングを作成しました。長く読み継がれている赤ちゃん絵本からSNSで話題になった絵本までが並んでいますが、共通しているのは、どれも、子どもだけでなく大人をも魅了している作品であるということ。読むことで、楽しくなったり、うれしくなったり、日常がちょっと変わって見えたりする絵本ばかりです。
また、惜しくもベスト10入りを逃した、おすすめの絵本もご紹介します。それでは、まずは、10位からどうぞ!
第10位 プレゼントにおすすめ! だるまさんシリーズ「が・の・と」3点セット
だるまさんシリーズ「が・の・と」3点セット
表情も、音も、動きも、なんともユーモラスなだるまさんに合わせて、赤ちゃんも声を出したり体を動かしたりしたくなるようです。『だるまさんの』には目や手などの体の名称が、『だるまさんと』にはフルーツが出てくるので、ことばを覚え始めた赤ちゃんも、とてもうれしそうな笑顔を見せてくれますよ。
この3冊、どれも読みやすいだけでなく、はずれなしの面白さですが、やはり赤ちゃんそれぞれに好みがあるよう。1番のお気に入りがどれになるかも、また楽しみですね。
【書籍データ】
書名 だるまさんシリーズ「が・の・と」3点セット
さく かがくいひろし
出版社 ブロンズ新社
価格 2754円
第9位 出産祝いの新定番! 『しましまぐるぐる』
『しましまぐるぐる』(いっしょにあそぼ)
赤ちゃんが好きなものを取り入れたという、鮮やかな色とかわいらしい顔に、指でたどって遊べるしましまやぐるぐる模様、そして、穴あけのしかけ。おしゃれで遊び心いっぱいの絵本ですから、赤ちゃんだけでなく大人にも喜ばれます。
赤ちゃん絵本ですが、ハムスターやソフトクリームなど、少し大きくなってから出会うものも出てくるので、文字を覚えたてのお子さんが、自分で喜んで読むこともあります
『しましまぐるぐる』裏表紙。この絵本が、赤ちゃんの特性に合わせて作られていることや、赤ちゃんへの見せ方などが書かれていて、絵本に慣れていない方も手にとりやすいよう
「赤ちゃんが自分で持ちたがるけれど落としてばかり」「お出かけにも持って行きたい」という方には、『しましまぐるぐる』布バージョンがありますので、ぜひご覧ください。
【書籍データ】
書名 『しましまぐるぐる』(いっしょにあそぼ)
イラスト 柏原晃夫
出版社 学研教育出版
価格 950円
第8位 エリック・カールの世界的ベストセラー『はらぺこあおむし』
『はらぺこあおむし』
日曜日の朝生まれたあおむしは、おなかがぺっこぺこ。月曜日にはりんごを一つ、火曜日には梨を二つ、水曜日にはすももを三つ……。ちっぽけなあおむしは、やがて、美しい蝶になるのでした。
『はらぺこあおむし』には、表情豊かなあおむし、美しい色、穴の開いたしかけ、曜日や数など、子ども大好きなものがつまっています。
作者は、「絵本は子どものもの」という意識を変えたいというエリック・カール。シンプルで洗練されているそのデザインは、子どもだけでなく大人にも愛され、世界中で読まれるベストセラーとなりました。
今回のランキングに入っているのはハードカバーですが、赤ちゃんと読むなら、丈夫で持ちやすいボードブックもおすすめですよ。
【書籍データ】
さく エリック・カール
やく もりひさし
出版社 偕成社
価格 1296円
第7位 読む人が皆ニヤニヤしている『もうぬげない』
『もうぬげない』
笑えるけれど、ちょっぴり切ないぼくの妄想と工夫、そして現実。「やらなきゃよかった」「けっきょく いつも おかあさんの いいなりだ」なんてことばを漏らしつつも、なんだかかんだと楽しく生きているぼくに、子どもも大人も、それぞれの「あるある」を噛みしめます。爆笑必至の予想外のラストもお楽しみに。
作者は、その視点の面白さで、幅広い世代に支持されるヨシタケシンスケさん。中でも『もうぬげない』は、インパクトのある表紙で、SNSでも大きな話題になりました。読むと、大変だなあと思うことの多い毎日に、ちょっとしたお楽しみが見つけられるようになるかもしれません。裏表紙も、お見逃しなく!
【書籍データ】
書名 『もうぬげない』
作 ヨシタケシンスケ
出版社 ブロンズ新社
価格 793円
■ヨシタケシンスケさんの絵本、こちらも上位に入っています!
第6位 記憶に残る、幸せな時間を『ぐりとぐら』
『ぐりとぐら』
大きな鍋で焼き上げたホカホカのカステラに、卵の殻で作った自動車といえば……「ぐりとぐらだー!」と、きっと元気な声があがるでしょう。
子どもたちにも、そしてかつて子どもだった大人にも大人気、日本の絵本の名作『ぐりとぐら』は、歌ったり、遊んだり、お料理したり、食べたりといった身近な幸せに満ちています。あたたかくて素朴な絵と、リズミカルでユーモアのある文章も、親しみやすく、魅力的。
『ぐりとぐら』を楽しめるようになるのは、3歳頃。くり返し読むうちに、絵本のことや、絵本を読んでもらったことが、記憶として残っていく時期でもあります。絵本との出会いは、世界との出会い。絵本で心からワクワクした体験や一緒に絵本を読んだ幸せな時間は、大人になってもずっと、心を支えてくれます。
【書籍データ】
書名 『ぐりとぐら』(こどものとも傑作集)
著 なかがわりえこ, おおむらゆりこ
出版社 福音館書店
価格 972円
第5位 くっつくというこの上ない幸せ『くっついた』
『くっついた』
ただただくっつくその繰り返しなのに、なんとも言えず優しくて穏やか。赤ちゃんと『くっついた』を読んでいると、赤ちゃんが、まるで「くっついた」をするのを待っているかのように感じるときがあります。くっつくという幸せを、赤ちゃんは知っているのですね。そんな赤ちゃんとくっつく大人も、やはり笑顔にならずにはいられません。
あたたかみがあるのにスッキリとしたデザインも魅力的です。
【書籍データ】
書名 『くっついた』
著 三浦太郎
出版社 こぐま社
価格 864円
第4位 五感で味わうおいしい絵本『しろくまちゃんのほっとけーき』
『しろくまちゃんのほっとけーき』
1番の見どころは、ホットケーキを焼くシーン。フライパンに「ぽたあん」と落したタネに、次第に火が通っていきます。「どろどろ」「ぴちぴちぴち」「ぷつぷつ」、そして「ぺたん」とひっくり返し、「ふくふく」「くんくん」いいにおいがしてきたら、「ぽいっ」とお皿に移して、「はい できあがり」。
徐々に色づいていくホットケーキの、いい音、いいにおい! ホットケーキのみならず、日本語の豊かさをも味わえる、まさに名場面です。
『しろくまちゃんのほっとけーき』は、「こぐまちゃんシリーズ」でも1番人気、きっと忘れられない1冊になるでしょう。
【書籍データ】
書名 『しろくまちゃんのほっとけーき』(こぐまちゃんえほん)
著 わかやまけん
出版社 こぐま社
価格 864円
第3位 分かっていても、探したい『きんぎょがにげた』
『きんぎょがにげた』
金魚鉢から逃げ出しだきんぎょ、どこにいるのかな? 「きんぎょが にげた」「どこに にげた」「おや また にげた」― カーテンの柄にまぎれて、お花と一緒にゆられて、上手に隠れるきんぎょ。
きんぎょの隠れ場所は、どんどん難しくなっていきます
きんぎょの表情も、穏やかなことばも、どこか誘い込むようなところがあって、次々とページをめくりたくなってしまいます。金魚がどこにいるか知っていても、何度でも探したくなるのは、まさに五味太郎マジック!
絵本は、仲間のいる池に飛び込み「もう にげないよ」で結ばれます。最後のページのきんぎょ、なんとも言えない、いい顔をしていますよ。
【書籍データ】
書名 『きんぎょがにげた』(幼児絵本シリーズ)
作 五味太郎
出版社 福音館書店
価格 972円
第2位 赤ちゃんに愛情が伝わるロングセラー『いないいないばあ』
『いないいないばあ』(松谷みよ子あかちゃんの本)
『いないいないばあ』には、「いないいないばあ」の安定した繰り返し、赤ちゃんを安心させてくれる動物たちの顔、やさしい語りかけなど、赤ちゃんの大好きなものが沢山詰まっています。単純に見えて、「いないいない」と「ばあ」では動物たちのしっぽの位置が違うなど、赤ちゃんが喜ぶ工夫も様々。
「ばあ」をしている動物たちは、「赤ちゃんが大好き!」「喜ばせたい!!」という表情をしています。『いないいないばあ』を読む人は、皆自然とこんな顔になるんでしょうね。赤ちゃんは、きっとそれがうれしくて笑うのだと思います。
【書籍データ】
書名 『いないいないばあ』(松谷みよ子あかちゃんの本)
文 松谷みよ子
絵 瀬川康男
出版社 童心社
価格 650円
第1位 赤ちゃんが本当に絵本を喜ぶのか? と思ったら『じゃあじゃあびりびり』
『じゃあじゃあびりびり』(まついのりこあかちゃんのほん)
初めて絵本と出会う赤ちゃんはもちろん、大人になって初めて絵本を読む方の「絵本デビュー」に最適な『じゃあじゃあびりびり』。
ページを開くとあふれてくる、身のまわりの沢山の音とカラフルな色。赤ちゃんは、目を丸くして絵本を見つめ、そして次第に笑顔になります。そして、「じどうしゃ ぶーぶーぶーぶー」「みず じゃあ じゃあ じゃあ」と読むと、赤ちゃんは、声に出して笑ったり、絵本を奪おうとしたりすることも。
赤ちゃんが読んでくれる人の顔を見て、読む人が赤ちゃんの顔を見る― 絵本を読む1番最初の幸せを教えてくれる絵本です。
【書籍データ】
書名 『じゃあじゃあびりびり』(まついのりこあかちゃんのほん)
さく まついのりこ
出版社 偕成社
価格 648円
惜しくもランクインを逃した、みんなの好きな絵本はこちら
■『ちょっとだけ』(瀧村有子さく、鈴木永子え、福音館書店)お姉ちゃんになったばかり、一人で奮闘するなっちゃんは、どうしても我慢できずに言いました。「ママ、“ちょっとだけ”だっこして……」。健気なななっちゃんに、大人は涙なしでは読めない絵本ですが、小さなお兄ちゃん・お姉ちゃんたちにも響きます。読んだ後、「うちもだよ」「お姉ちゃんだもんね」と、普段心にしまっている思いが外に出てきます。
■『おおきなかぶ』(内田莉莎子再話、佐藤忠良画、福音館書店)
長く読み継がれている、ロシアの昔話絵本。「うんとこしょ どっこいしょ まだまだかぶはぬけません」というリズミカルな文章のくり返しが印象的です。のびのびとしていてユーモアがあるので、穏やかな気持ちになれます。
■『ちいさなあなたへ』(アリスン・マギー作、ピーター・レイノルズ絵、なかがわ ちひろ訳、主婦の友社)
赤ちゃんを産み、育てることでより強く実感する、自分もまた生まれてきた赤ちゃんであり、誰かの子どもである、ということ。命が続いていくという大きな大きな流れ。いつ読んでも、そのときに合った何かが心に響きます。「すべてにおかあさんと その子どもたちに」読んでいただきたい、大人のための絵本です。